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虚無の刃:ロイド  作者: Yahia yt
第一章:決裂の夜
12/22

✦ 第12章:古の誓いの残響 ✦

見て楽しんでください

静寂が王の大広間を包み込む。

重々しい音を立てながら、巨大な扉がゆっくりと閉ざされた。

金属の蝶番が大理石の床をこすり、まるで古代の獣が息を吐くような深い残響を残す。

大臣たちは息を潜め、誰一人として声を発しない。

王の言葉がまだ脳裏に響いていた――それはまるで、新たな時代の到来を告げる鐘の音のように。


ロイドはカインと並んで白亜の大理石の回廊を歩く。

松明の炎が揺れ、二人の影が長く伸びては交わり、そして再び離れていく。

まるで運命に繋がれた師弟――過去と未来、その二つの影のように。


沈黙が二人の間に重く垂れ込めていた。

その静寂は、呼吸さえも罪に思えるほど。


やがてカインが立ち止まり、わずかに震える声で言葉を紡いだ。


> 「まさか、こんな形で再会するとはな……ロイド。

一週間でここまで変わるとは思わなかった。」




ロイドはゆっくりと顔を上げ、松明の光がその瞳に反射した。

穏やかな声――だがその奥には、嵐のような記憶が渦巻いていた。


> 「変化っていうのは……選択じゃない。

生き残るための、唯一の代償なんですよ。」




その言葉はカインの胸を鋭く貫いた。

拳を握りしめ、彼は叫ぶ。


> 「違う! そんな短期間で人は変わらない!

英雄には……一夜でなれやしない!」




ロイドはかすかに笑う。

それは運命を嘲るかのような、苦笑だった。


> 「ハハ……僕には僕なりのやり方があるんです。

あなたのテストから逃げてたはずが……死神から逃げてたんですよ。

“核”を持つ獣に追われながらね。」




カインの瞳が大きく見開かれる。


> 「ま……待て、それはどういう――」




ロイドが言葉を遮る。静かながらも刃のように鋭い声で。


> 「死にかけた回数なんて、もう数えきれません。

何度も、何度も――恐怖で壊れそうになった。

今でも“核”を持つ存在を見ると……心のどこかが砕ける気がする。

それが僕を壊したんですよ、師匠。」




カインの顔に後悔の色が浮かぶ。

そっとロイドの肩に手を置き、優しく微笑む。


> 「……すまない、ロイド。

お前を守るべきだった。

けれど……生きていてくれて、本当に嬉しい。」




ロイドは目尻に滲んだ涙を拭い、微笑んだ。


> 「ありがとう、師匠。

その言葉を聞けるなんて、思ってもいませんでした。」




> 「さあ、全部話してくれ。

お前の“狂った冒険談”をな。」




ロイドは目を伏せ、小さく呟く。


> 「……誰かに気にかけてもらえるなんて、

それだけで救われる気がしますね。」




そして、彼は語り始めた――

森での最初の夜、闇を裂く咆哮、体の奥から溢れた“気”の奔流。

そして――あの瞬間。

彼の瞳が、紅に染まった瞬間を。


時間が歪み、世界がゆっくりと沈む。

鼓動が雷鳴のように響き、全身を灼く痛みが襲う。


> 「……目が赤くなった、だと?」

カインの声が震えた。




> 「はい。時間が遅くなって、すべてが見えた。

でも、終わった後は地獄のような痛みが……。」




> 「ロイド、それは“特別”だ。

贈り物か、あるいは呪いかもしれん。

いいか、使いすぎるな。そして……誰にも見せるな。

見せた瞬間、お前は“狙われる”。」




ロイドは自信に満ちた笑みを浮かべた。


> 「心配いりません。

あれは僕の意思で出せるものじゃない。

勝手に現れ、そして消えたんです。」




カインは月明かりの窓を見上げ、低く呟いた。


> 「紅の瞳……まさか、彼が覚醒するとは。」




ロイドが首を傾げる。


> 「師匠? 何か言いましたか?」




だがカインは答えない。

月光が雲に隠れ、闇がすべてを覆い隠した――。

彼の脳裏に、遠い昔の声が響く。


> 『目が覚めし時――運命は動き出す。』





---


夜が明け、黄金の光が王都を照らす。

競技場には王と貴族、騎士たちが集い、息を呑んで見守っていた。


ロイドが一歩、前へ出る。

銀の剣が光を反射し、彼の瞳に決意の炎が宿る。


> 「さて……今回の相手は誰ですか?」




重い扉が開き、黒鎧の巨騎士が姿を現す。

その斧には稲妻が走っていた。


> 「我は“雷核”の第三円、ハルノ・サトウ!」




ロイドは驚き、眉を上げた。


> 「第三円……?」




――「核」とは“内なる力”の源。

その制御の深さは“円”として数えられ、十二段階に分かれる。


ハルは口元に笑みを浮かべた。


> 「若いな、坊主。

だが悪くない。これは――授業だと思え。」




> 「では、全力で学ばせてもらいます!」




カインの声が響く。


> 「両者、構えよ――始め!」




――刹那。

空気が震え、沈黙が裂けた。


剣と斧がぶつかり合い、火花が散る。

王は身を乗り出し、眼差しを鋭くする。


> 「……防御が完璧だ。」




ロイドは息を荒げながら後退した。


> 「速い……それに硬い。」




再び踏み込み、斬撃の嵐を放つ。

だが全て受け流される。

そして、腹部への蹴り――


> 「ぐっ……!」




> 「まだ終わらんぞ!」




斧が閃光のように振り下ろされる。

ロイドはギリギリで回避し、気を高める。


> 「くそっ、防御が鉄壁すぎる……!」




観客席では王が呟く。


> 「なぜ“核”を使わぬ?」




> 「侮っているのかもしれませんな。」




> 「いや……カインの弟子がそんなことをするはずがない。」




> 「本気を出せ、少年! さもなくば叩き潰す!」




ロイドは静かに息を吐き、笑った。


> 「倒れませんよ。」




再び二人がぶつかり合う。

雷と鋼が咆哮し、大地が震えた。


ロイドは吹き飛ばされながらも立ち上がる。


> 「まだだ……まだ終わっていない!」




血を吐きながらも笑うロイド。


> 「何度倒れても……何度でも立ち上がる。それが僕です!」




観客がどよめく。

カインは小さく呟く。


> 「それでこそ……俺の弟子だ。」




ロイドは最後の力を振り絞り、突撃する。

地面が裂け、風が唸る。


だが――

雷が一閃。


彼の体が宙を舞い、静寂が訪れた。


ハルが歩み寄り、穏やかに言う。


> 「見事だった、ロイド。

核を使わずにここまで来るとは……想定外だった。」




> 「試合、終了だ。」




去り際に、彼は一言だけ残した。


> 「いつか……この少年は、私を超えるだろう。」




カインは静かに目を閉じた。


> 「ああ……間違いない。」




その瞬間――

ロイドの体内で、何かが“目覚めた”。


再び、紅の瞳が――開く。



第12章・完


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