ダウン・トゥ・アース③
本編とは全く関係ないのですが、ここらでパイモン×シュナのライトな百合(GL)を挟んでおこうと思います。皆さんシュナ要素を求めてるかなと思いまして。しかしネタがないので苦し紛れに百合ミニネタを書くことにしました。
「パイモン、キスして!」
「キスですの?ん〜」
パイモンはシュナの唇に人差し指をチョン、と置いた。
「おあずけ♡」
「きゃあああ♡」
シュナは顔を覆って足をバタバタさせるのだった。
◈注意◈
性加害に関する描写があります。苦手な方は閲覧をお控えください。
高校生のこの頃になると、秋斗の友達だという黒の神様とやらが界司のもとに遊びにくるようになった。
というのも、神達は界司がある程度人生設計が出来てから、人間として成長してから記憶を思い出した方が舞月の気持ちが分かるだろうと考えたのだ。だからこの頃になるまでは関わってこなかった。そして、界司がある程度人生設計の出来た高校生の頃に会いに来たのだ。
我らが崇拝し敬愛すべき王が、どうやら子供になっているらしい。それは黒の神の興味をそれはもう奈落の底まで引きずり込む勢いで引いた。
彼らの欲望は、子供の界司と一緒に遊びたい、ということだ。そして、彼の人間としての新しい一面を知りたい。界司を愛する黒の神達からすれば、当然のことであった。
鈴はそのことをよく思っていない。彼らをキッカケに神の記憶を思い出すことで、将来の形成に影響が出たり苦しんだりするのが怖いのだ。運命に約束された事だとしても、できるだけ記憶を思い出すのは遅くしたかった。だから鈴は界司に、「神について探るのはやめなさい。神と関わるのもよくありません」と言っていた。界司は、神と関わることなんて滅多にないだろ、と思いつつ、不思議に思いながら従っていた。
しかし神は来る。よく来る。
休日とか。
というのも、世界さんと会えなくて皆寂しがっていたのだ。
最初は、界司も嫌がった。
「母に、鈴に神とは関わるなって言われてるから。悪いな」
「薄情者ですね。僕達は貴方に会いたくて来たのですよ?」
「そう言われてもな…。まぁいい、少し茶でも飲んで待っていてくれるか。鈴は今買い出しに行っている。帰ってきたら鈴に相談する」
「ッシ」
晴右は小さくガッツポーズをした。
「鈴さん、お久しぶりです。今日から僕たちは世界さんと遊ぼうと思いますか、いいですね?」
「いいですね、と言われましても。嫌ですが…」
「お嫌ですか。しかし構いません。遊びに来ますね。」
「…やはり避けられないことなのですね。分かりました。嫌ですが、仕方ないのでしょう。嫌ですが。」
その日から、彼ら彼女らは嫌がる鈴に構わずゴリ押しで界司の元に遊びに来た。
「世界さん!今日は感情を操作する香りを研究しようじゃぁ〜ないか!!」
「白ヰ。楽しそうだ。やろう」
「世界さん〜、宇宙まで届くドローンの新しい仕組み考えましょうぞ〜」
「面白いな。手伝わせてくれ」
黒の神達は、界司が人間の子供になったのをいい事に、様々な趣味の遊びや研究に付き合わせていた。界司はそれらの知識をスポンジのように吸収し、スーパーボーイになっていた。
彼らと話していると、なんだか初めての事じゃないみたいな、デジャブを非常に覚える。過去にこんなことあったか?いや、ないよな…と不思議に思いながら思考を巡らせて、まぁいいか、と放棄するのだった。
「ボスぅ、デスゲーム企画しよぉ?」
「しようぜ〜ww楽しいよ!!」
「デスゲーム?本当に人が死ぬ物か?非人道的だ。拒否する」
「こらっ夕鶴さん、霞央留さん!界司を危ない遊びに誘わないで下さい!」
「あぁっ、鈴〜。楽しいよぉ人が必死に死なないように頑張った後死ぬの見るのは」
「そうだぜ?wwあはは、思い出したら笑えてきたww」
「変な奴らだな、お前ら…」
あくまで人間の界司は人道的で、人を傷つけることを嫌った。神の界司も、罪を裁く為に地獄の罪人に罰を与えているだけではあるが、人間の界司は全ての人を傷つけないよう大切にしていた。
「世界さんは将来何になりたいんですか?」
「そうだな、物理学者や生物学者になりたい。化学系の研究者もアリだな。システムエンジニアも面白い。」
「ほう、何故?」
「俺は物理が好きなんだ。世界の理を知る、解き明かすというのはロマンがないか?生物も好きだ。生き物について、その仕組みや種類を知るのは楽しい。それから、白ヰが教えてくれる化学の話は面白い。唯理有の話すプログラミングも面白いと思う」
「ほう。素敵ですね。もし、それらの全てを諦めて何か一つの望まない仕事に就くことになるとしたら、貴方はどうしますか?」
「?よく分からないが…拒否するだろうな?」
「そう、そうですよね…ふふ…」
「なんだ、怖いな…。」
これらのことは界司の魂に根付いた神としての精神が影響している。彼はかつて世界の理や生き物を創り、様々な法則を試行錯誤して作ってきた存在だ。だから物理や生物が得意なのである。また、法則やシステムを弄ることにも長けている。だからシステムエンジニアも向いているのだ。彼は色んな職業に適性があった。
だが、彼は結局そのどれにもならない。というのも、1つ大きな事件を経験したからである。
ある日。女性の中年の先生に、運んで欲しい荷物があるからと普段使われている教室から離れた位置の空き教室に呼ばれた。
しかし、教室に入っても荷物などなかった。あるのは重ねられて埃を被った机と椅子ばかり。
「?荷物なんてないじゃないですか?重ねられた机ばかり…」
先生は黙って扉を閉める。
「ねぇ、界司くん。私、界司くんの事が好きなのよ。恋愛的に、ね?」
「そ、それは…」
先生は低くねっとりとした声でそう言う。
界司はかなり気持ち悪くなった。かなり年上の、母親より上の年齢の人にそういう感情を向けられるなど、嫌悪以外の何物でもない。
「だから、下の相手をして頂戴?」
先生は界司に抱きついた。界司は恐ろしくなったが、恐怖で体が強ばって動かない。女性を殴るのは手加減が難しいから無理だ。そも、緊張で殴れそうにはないが。
股間に手が触れられる。
「ひっ」
界司は咄嗟に先生を突き飛ばした。先生は尻もちをついた。
界司は弾かれたように走り出して、逃げた。逃げて職員室に行った。逃げられてよかった。性加害を受ける人の多くは、怖くて逃げることが出来ないから。界司はたまたま、反射的に行動できる人だっただけなのだ。
体力はかなりある方なのに、緊張で息が上がって仕方ない。
「どうした、世元くん。廊下は走ったら駄目だぞ」
「せ、先生が、俺の、俺の事を襲おうとして、」
「なに!?本当かいそれは!?急いで警察に通報しなければ」
事は大事になり、先生は訴訟された。しかし…。
先生は無罪となった。性加害だと認められなかったのだ。異動はしたが、それ以上は裁かれなかった。
界司は絶望した。大袈裟ではなく、トラウマになりそうな気持ち悪さとショックを感じたのだ。にも関わらず、無罪。このやり場のない悲しみはどうしよう。
(この国を、変える必要がある)
界司は強い男だった。彼は性加害の経験から、こう決意したのだ。
「性加害を、厳罰化しなければならない。この世には厳しい罰が必要だ。」
リビングの椅子で足を組み、腕も組んで世元は宣言した。赤い眼が鋭い光を放つ。その姿は支配者らしいオーラと強い意志を兼ね備える。
彼は性加害を通して、罪に対して平等な厳しい罰を与える男になった。全ての人を傷つけないように、というのは綺麗事で、この世には厳しい罰が必要だった。神の頃の界司と似た思考だった。
「ふぅん、俺らが痛めつけて殺してあげてもいいんだよぉ?」
「そうだぜ〜?ww」
「そうですよ、世界さん。僕達がその女を社会的に抹殺してもいいのです」
「いい。俺がこの手で国を、世界を変える。お前達は余計な手を出すな」
この国を変えないといけない。界司は使命に燃えた。自分が総理大臣になる。そうしたら、弱者を助けて、罪を厳罰化するのだ。
「…流石、世界さんですね。僕の尊敬する相手なだけあります。」
「へぇ、カッコイーじゃぁん!」
「ギャハハハ!!!サイコォー!!ww」
別に手伝えと言った所で黒の神達は喜んで手を貸すのだが、界司が自分達ではなく人間達を牽引して世界を変えていくのも見ものだ。
界司はあくまで、人間として世界を変えていくのだ。
「…ですが、僕達以外の上司になるなんて妬けますね。僕達の世界さんなんですが…」
「はぁ?俺がいつお前らの上司になった?ただの友達だろ?」
界司は心底意味が分からないという声を出す。それはそうである。現段階、界司は黒の神の上司ではない。
「おっと…そうでした。しかし寂しいですね。困ったらいつでも声をかけてくださいね?全力で力を貸しますので」
「暴力なら大歓迎〜」
「暴力は全てを解決するからな!!!ww」
「だから、お前達は非人道的なんだ。暴力は駄目だからな。お前達は神だから許されてるのかもしれないが…。」
「人間が神の俺達に法を説こうなんて1億年はえぇ〜の!」
「まぁその時にぁ人間は死んでるけどなwwははは」
「嫌な奴ら…」
〜〜~
とある休日。麗子と界司はデートの約束をしていた。
界司はスマホの時計を見る。集合時刻から40分が過ぎていた。
麗子は確かに少し時間にルーズだ。だが、界司とのデートで30分以上遅刻したことはない。珍しいな、と思いつつ、少し周囲を散歩することにした。
「〜!!!」
「ん?麗子さんの声がするな…」
少し歩いたところで、麗子の高くて可愛い声がした。怒っているような声音だ。
音の出処に向かう。そこは、路地裏に少し入ったところだった。
「だーかーら!!今からデートだから離してって言ってるの!!」
「ちょっとだけ、先っちょだけ遊んでこうぜ〜?彼氏の事なんて放っておいてさ〜」
「そうそう〜」
「楽しいこと教えてあげるからさ〜!」
「君やっぱ可愛いね〜」
路地裏で、麗子が複数人のDQNに囲まれて困っていた。タトゥーをした男に腕を掴まれている。界司は目を見開いて驚き、思わず走っていく。
「おい。俺の麗子さんに何してる」
「え?誰?」
「界司!来てくれたの!」
「あ、こいつが彼氏くん?」
「へぇ〜、君麗子ちゃんって言うんだ。可愛いね!」
麗子が渋く顰めていた、チワワみたいな威嚇の顔をぱっ!と明るくした。
「その穢れた手を離せ。話はそれからだ」
「あ"ぁん?俺ら今から麗子ちゃんと遊ぶんだけど!邪魔しないでくれる?」
「そうだぜ、邪魔!!××も知らないガキはどっかいきな〜ww」
「チッ、お前、麗子さんの前でそんな汚い言葉を言うんじゃない。麗子さんを返さないなら殴るぞ」
界司は別に喧嘩をよくする訳では無い。だからこんな言葉がするりと出てきたことに、界司は内心自分で少し驚いていた。
「へぇ〜、出来んの?まぁ確かにちったぁ骨がありそうな雰囲気してっけど」
「俺ら喧嘩で負けたことないけど?」
「知るか。麗子さんが困ってる。それが最優先事項だ」
DQN達と界司が睨み合う。界司の覇気に、少しDQNがタジタジとする。そして、同時に殴りかかった。
界司は、気付いたら1人だけ立っていた。彼は傷1つ負わず、しかしその場は返り血に染まっている。他のDQNは全員地に伏している。界司の真っ黒の影が冷たいアスファルトに落ちた。
「ふん。弱いな。二度と麗子さんに関わるな」
口ではそう冷たく貶すが、界司は内心自分の喧嘩の腕に驚いていた。
(俺、喧嘩強いな…)
界司は人を殴るのなんて滅多にしないのに、喧嘩する時はいつも、体に染み付いているかのように滑らかに素早く腕が伸びて、相手を蹴散らしている。確かに体育の成績は良いし握力は測定不能だが、毎度自分で驚くのだった。魂に染み付いた喧嘩の腕なのだと、界司は知らない。
「麗子さん、大丈夫か?返り血は飛んでないか?」
「うん!大丈夫!ありがとう〜、困ってたからさ!!助かったよ」
「良かった。俺も、気づくのか遅れて悪かったな。無事で良かった」
「うん!界司、カッコよかったよ!でも返り血で汚れちゃったね〜。服買いに行く?」
「あぁ、そうするか」
「私がコーディネートしてあげる!」
「嬉しいな。お願いしよう」
そうして2人は街中をデートした。キッチンカーのジェラートをシェアした。
「麗子さん、ジェラートがついてる」
「ん、とって?」
麗子は目をつぶって、キス待ちの顔をする。界司はジェラートのついてる口の端にキスして、ジェラートを舐めとった。
「界司、照れてるの?顔赤いよ」
「言うな。ますます照れる」
(かわい〜!!若いな〜)
まだ高校生の界司なんて、記憶を持ってる麗子からしたら子供もいいところである。初々しさが可愛いのであった。大人になった界司は、すっかりエスコートに慣れて照れるなんてあまりないから。綺麗な切れ長の赤い目を逸らして、頬を赤く染める界司が可愛いのなんの。
プリクラも撮ったりした。高校生の多いところに来ると、なんだか遠慮なく指差しで噂される。
「ね、あの人かっこいー!」
「え、ホントだ!まじのイケメンじゃん。敵国顔と護国顔の間って感じ?隣の子も可愛くない?」
「めっちゃ可愛い!!お似合いだ〜」
「プリクラめっちゃ盛れそ〜、いいな〜」
「…麗子さんは加工しなくてもこの世で1番可愛らしいが…」
「いいからさ!スマホのカバーに入れるの!そうしたら自慢になるでしょ?イヌスタグラムにも上げるからね!」
麗子は不服そうな界司の腕を引っ張って、盛れると噂のプリ機に行く。
麗子はプリを撮る最中、笑いを堪えるのに必死だった。別に撮るのは初めてではないのが、毎回シュールで面白いのである。
「ぶふっ、界司が可愛いポーズしてるの、おもしろwふふ」
出てきたプリクラを見ながら、麗子は口元に手を当ててむふむふ笑う。
「麗子さんが頼んだんだろ…」
界司も呆れ顔である。自信があるので可愛い格好をさせられても別に恥ずかしがらない。ちなみに遊園地に行けばお揃いのカチューシャを喜んで着けてくれるし、文化祭があれば女装とかメイド服も着る。女装だが、界司は割と雄々しい顔なので、あまり女性らしくはならない。髪は地毛の漆黒ロングをポニーテールにする。
ナンパされたことなんて忘れて、幸せな気持ちで楽しんだのであった。
閲覧ありがとうございます!星5、ブックマーク、感想、リアクションなどお待ちしております!よろしくお願いします!
書いてて思ったんですけど、結局世界さんって統治に向いてるのでしょうか…。まぁ彼のことですから、上手くやりますよね!そう信じています。
世界さんはスマホカバー持ってると思いますか?私は持ってないのもありだなと思いますが、持ってる方が好きなので持ってることにします。皆さんの意見も教えてください!
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新作です!こちらのシュナちゃんとは少し違うキャラのシュナちゃんが活躍します!皆様ご覧ください。




