オリエンス編
Twitterしてます!是非フォローして下さい
https://x.com/sunano_kanten?s=21&t=ys_oDGiLIdLy69bO8Z7sFA
青髪の悪魔、オリエンスは鍛冶師である。自慢の青い火魔法で、炉の火を調節するのだ。
悪魔は基本的に武器を持たない。なぜなら争いばかりしていてそういう文化が育たないからだ。人間界に召喚された者の中には、武器を持つ者もいるが。なので、攻撃は基本的に魔法頼りである。
つまり、持ちたくないわけじゃないのだ。持てるなら持ってもいい。
オリエンスは武器に対するロマンが強い方であった。召喚された際に見た敵味方の剣や、人間界で暮らし始めてからのウィンドウショッピングで見た、ガラス越しの武器の輝きが忘れられない。
オリエンスも人間界に召喚されたことがあるので、その際には武器も報酬に貰った。大剣である。
なのでオリエンスは剣が扱える。
人間界にきてからは、鍛冶師の師匠、狼の獣人ガウルの元で修行を積んでいる。複数人いる弟子の中の1人である。筋がいいそうで、早くも商品になるような武器を打っているそうだ。
ガウルはルツェルン屈指の鍛冶師だ。高級で質の良い武器をいくつも作っている。
シュナは今日は、オリエンスが刀を作るところを見に行く。あまり人数がいると邪魔になるので、私とアスモデウスだけである。
暑い事が予想されたので、ラフな格好で来た。
ということで工房に来た。既に炉に火が入っているらしく、とても室温が高くなっている。ハーディログがいくつも置いてあった。
オリエンスが刀を作るところを見る。
1日で終わる訳では無いので、数日に分けて見に行った。
〜〜〜〜
まずは炭を切るところからの様だ。木炭を同じ大きさに切る。
次に玉鋼の選別。炭素量が多く硬い鉄は皮鉄用、炭素量が少なく柔らかい鉄は心鉄用に選別する。この見分けが難しいらしい。
次は折り返し鍛錬。高温に熱した玉鋼を打っては折り返し、不純物を取り除く。この際、オリエンスは火魔法で温度を調節する。その温度の見極めには修行が要る。
オリエンスは汗だくになっていた。
次に皮鉄と心鉄の鍛接だ。外側が硬いことでよく切れるようになり、真ん中が柔らかいことで折れにくくなる。
素延べという作業に移る。熱した鉄を棒状に延ばす。そして小槌で叩き、刀の形にしていく。
土置きをする。刀の波紋の模様に土を置き、焼くのだ。そうすると波紋の模様が出来る。焼く際は温度を色で正確に見極める為に、暗闇で行う。
頃合を見て急冷するのだが、その瞬間の見極めがプロの技なのだ。
そしてヤスリがけを行って刀は完成だ。
〜〜〜〜
「おぉ…綺麗な刀だね。流石オリエンス」
「おっす、シュナ様!ありがとうございます!」
「まだまだだがな。温度の見極めが甘いわい。じゃが腕を上げたな。前回よりはいい」
ガウルの評価は手厳しい。まだまだ成長の余地があるようだ。
「ねぇ、オリエンスが作った刀と、私の剣で斬り合いしない?」
私の剣とは、この世界に来た初日に作った、青い刀身の剣である。サファイアが持ち手に埋め込まれていてカッコイイ。
「いいぜ!」
「じゃあ庭でやるといい。広いぞ」
「えぇ、来る時に見させていただきました」
ガウルに私が答える。
庭に出た。オリエンスは作り立ての刀を構える。
「私がレフェリーを務めさせていただきます。」
レフェリーはアスモデウスだ。剣を向け合い、開始の合図を待つ。私はいつもの通り身体強化魔法とサタナのサポートを受けている。そうでないと話にならないのだ。なんたって前世も今世も剣を振るった経験がない。
「それでは…始め!」
掛け声がかかった瞬間、直ぐに私は切りかかりに行く。
「はああぁっ!」
が、キィンという甲高い音を上げて、簡単に防がれてしまう。
「おらぁっ!」
お返しと言わんばかりに切り返されるが、私も剣で防いだ。また甲高い音が出る。
しかしオリエンス、力が強い!!今の1回でも剣を手放しそうになってしまった。
続けて切りかかられる。今度は横に避けた。
そうして斬り合いを続ける。
暫く斬り合い、防ぎあっていた。
決定打は、オリエンスの斬りつけであった。芯の通った真っ直ぐな斬りつけ。それにオリエンスの強力が合わさって、力強い一線となったのだ。
その斬りつけは私の剣を折り、私の首元まで届いた。
「そこまで!オリエンスの勝利です」
「よっしゃああぁ!」
「わぁ負けちゃった…オリエンス強かったよー。」
「シュナ様も強かったぜ!」
「うむ、中々良い技であったぞ」
「ありがとうございます」
褒めて貰えて嬉しい。初めてにしては上出来だったんじゃないだろうか。サポートありきではあったが。
その後は、ガウルさんとそのお弟子さんが出している店を見に行った。
「剣折れちゃったし、新しい剣買おうかな」
「儂の作った武器は、どれも一級品だ。好きなのを買うといい」
見てみると、中には魔剣や魔槍もあった。炎が出るもの、雷が発生するもの。シンプルに切断力が強くなるもの。色々な魔法の効果が付与されていた。
使いやすいのは、無難に片手剣であろうか。鍔の部分にカルトゥーシュ模様が彫られていて美しい。
細身剣もいいかもしれない。軽くて細いから使いやすそうだ。柄の部分が派手になっていてお洒落だ。
槍も魅力的だ。柄の部分に蛇が巻きついたような装飾が施されている。柄と穂の間に宝石が嵌め込まれていて綺麗だ。
どれも素敵で迷ったが、最終的に選んだのは片手剣であった。先に持っていた剣も片手剣だったので、多少勝手が分かる。1番使いやすそうだ。
それから、予備として細身剣も買った。お洒落で持ってみたいなと思ったので。
「これにするよ」
「おう。400万エニーな。」
「カードで」
「洒落てんな」
(カードが…?)
「スマートですよね」
「あぁ」
そうなのかもしれないと思った。
テッテレー。新しい片手剣と細身剣を手に入れた。鞘もセットである。
「カッコイイな!」
「素敵ですね」
「うん、ありがとう!」
「なぁ、試し斬りするために迷宮行かねぇか?」
「迷宮?いいよ」
「硬アルマジロの甲羅が欲しいんだ」
「なるほど」
迷宮はルツェルンの西にある、アレット森の中にある。因みにアレット森はルツェルンの東以外を囲む森だ。魔物が出るので、自然の要塞のようになっている。
硬アルマジロは迷宮の1~10階層の森ゾーンに出る。アレット森も魔物が出るが、硬アルマジロはいない。なので迷宮に行く必要があるのだ。
「じゃあ、行こっか」
「おう!」
「はい!」
「またな」
ガウルさんと別れて、迷宮へ向かった。
今日はラフな格好で来て良かった。これなら迷宮にも行ける。
特に何事もなく迷宮についた。入口は洞窟のようになっている。
が、少し中に入ったらそこは神秘的な森の姿をしている。カラフルな蝶が舞い、キラキラと鱗粉を散らす。屋内なのに光る鉱石のお陰で明るかった。紫色の、見るからに毒っぽいキノコも生えてて面白い。
『あのキノコはコウキノコ。生では毒ですが、精製によって風邪薬になります。』
へー。毒と薬は表裏一体、みたいな話か。
「硬アルマジロは5階層の岩場に多く生息してんだぜ。だからそこを目指そう」
「分かった。途中の戦闘は、私に任せて!剣試したいし、練習もしたいから」
「分かりました。手出し無用ということですね」
勿論サタナのサポートありである。それでも練習になるのだ。
歩いていると、熊のような魔物が蜂の巣を落としていた。
そこから始まる戦闘。熊の爪が蜂を切り裂き、蜂の針が熊を突き刺す。
「おぉー、大迫力だね」
「あれは軍隊蜂と蜜熊だな。よく争ってるらしい」
「詳しいですね。召喚された際に迷宮に来られたのですか?」
「いや、ガウル師匠と素材取りに来たことがあんだ」
「通りで。私も図鑑を買って読むことにします。シュナ様の力になりたいので」
「わ、ありがとう!」
勤勉なことである。それに私のためとは嬉しいことを言ってくれる。
激戦の上に勝ったのは軍隊蜂であった。大量の毒に侵された、熊の巨体がズシンと倒れる。
「ねぇ、あの蜂なんかこっち来てない?」
「ほんとですね」
どうやら蜜熊に怒った軍隊蜂が興奮してこちらに来たようだ。
「私がやるね」
「頼んだぜ」
「お願いします」
2人は少し離れて見ててくれるようだ。
剣の練習の為に、魔法は使わず蜂を捌く。ガウルの剣は優秀で、軍隊蜂の硬い装甲も難なく切れる。スパスパ切れるので快感であった。
「おぉー、凄いよこれ。よく切れる」
「カッコイイですシュナ様!」
「えへへー」
しかし大量の軍隊蜂を捌ききれず、攻撃を受けてしまった。
「あっマズイ。痛っ」
「シュナ様!」
「大丈夫ですか!!」
少し遠くで見守ってくれていた2人が駆けつけてくれる。
「黒銃弾!」
「蒼火炎獄!」
アスモデウスが闇魔法で、オリエンスが火魔法で蜂を倒してくれる。
私は蜂に刺されて穴の空いた服を見ていた。
軍隊蜂には熊を殺す程の強力な毒がある。あわや大怪我かと思われたが…
「もー…服に穴が空いちゃった」
「え…それだけか?毒とか大丈夫なのか?」
「そうですよ、シュナ様は人間でしょう?」
「私、毒効かないんだよね」
2人ともびっくりした顔をしている。巣の方に残っている軍隊蜂もなんだか居場所が無さそうな様子をしている。
なぜ効かないのかというと、体に状態異常無効の神力をかけてあるからだ。それから温度変化も無効になるし、血液や酸素もいらない。
私は人間の形をした神なのである。
「毒が効かない?特殊体質ですか?」
「まぁそんな感じ。だから大丈夫だよ。服もほら、魔法で元通り」
「そういえば、出来ないことは特にないと仰ってましたもんね」
「そうだっけ?」
そんなこと言ったような言ってないような。
倒した蜂達から魔晶石が出てきた。
「迷宮の魔物は倒すと魔晶石が勝手に出てくるんだね?」
「そうだな」
私は魔晶石と軍隊蜂の死骸を拾ってポイポイ亜空間に突っ込んでいく。
「空間魔法ですか?」
「ん?うん、そうそう。はい、こっちはアスモデウスの分ね」
「ありがとうございます」
空間魔法か。収納魔法は、そういう分類になるのだろう。
取り敢えず大きな問題はなく軍隊蜂を倒せた。
その後は無事5階層に着いた。
岩場で硬アルマジロが屯している。こちらに気付いた1匹が、丸くなってこちらに突進してきた。
オリエンスが大剣を盾にしてそれを受ける。突進が重そうだった。
「ぐっ…おらあぁ!」
オリエンスは大剣から硬アルマジロを弾き、近くの岩にぶつける。慌てて装甲から出てきた硬アルマジロを、大剣で切った。
見事な手腕である。あっという間に硬アルマジロを1匹倒した。
倒した硬アルマジロから魔晶石が表面に出てくる。オリエンスはそれを取り、さらに硬アルマジロの装甲を剥いだ。
「これで用事は終わったな」
「お疲れ様!上手かったね」
「では、戻りましょうか」
「転移魔法使っていい?」
「構いませんよ」
転移の門を作って、冒険者ギルドに繋げた。対象が通った後は基本的には自動的に消えるようになっている。事故防止の為である。
冒険者ギルドで魔晶石を換金した。それから、軍隊蜂の死骸も換金してもらった。
「これだけの量、よく倒しましたね。」
ギルドのお姉さんが感心したように言う。
「これだけ倒せば、Dランクに昇格できます。カードの印字を新しくしますね」
ということで銅色のカードに、Dランクの文字が踊った。
テッテレー。Dランク昇格。
「おめでとうございます、我が君」
「おめでとな」
「ありがとう」
ランク上げも楽しそうだ。また今度迷宮に潜ってもいいかもしれないと思った。
(ねぇサタナ、ルツェルン西の迷宮以外にも迷宮ってあるの?)
『あります。南にある砂漠地帯には、古代の技術によって作られた迷宮があります。近くにはバレという国があります』
なにそれ面白そう。今度行くか。
次の予定も決まった事だし、一旦家に帰ろう。
「帰ろっか」
「あぁ」
「えぇ、お疲れ様でした」
転移門を作って、家に繋げる。潜れば我が家であった。
「ただいまー!」
「おかえりなさい!晩御飯作りましたわよ。ドリアですの」
「「おかえりなさいませ」」
パイモンとアメイモンとアリトンが温かく出迎えてくれる。
人の待っている家とはこうもいいものなのだ。これだけで幸せである。
皆と夕食を食べ、温かくて広いお風呂に入って、程よい疲れの中広いベッドで眠る。こんなに幸せなことはない。これが日常だというのだから神様も優しいものである。私だけどね。
そうして今日1日は終えたのであった。
参考文献 https://www.google.com/gasearch?q=%E5%89%A3%20%E4%BD%9C%E3%82%8A%E6%96%B9%20%E6%9C%AC%E7%89%A9&source=sh/x/gs/m2/5#vhid=35du4isvei7hdM&vssid=l&ip=1 刀の制作方法について参考にさせていただきました。