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神様にお任せ!!  作者: 砂之寒天


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トップ就任報告会①

星5、ブックマーク、感想などお待ちしております!

ゼウスの力は全知全能ではなく、雷霆と気候の操作のみとします。

 来たる約束の日。シュナが白の神のトップになるという、超重要事項についての説明が行われる日。天界には無限の大空が広がり、春の太陽が燦燦と暖かい光を放っている。上に雲ひとつない景色はまさに雲の上の世界という感じで、放たれた神々しさを感じさせる。桜も開花してきた頃である。


 オリュンポスコロッセウムに集まった、神という超越者の中の更に上位者達。面白いものを見に来たぞ、とニヤニヤする男神に、シュナを心配する女神に、茶化しに来たポペードールなど、様々な思惑の交差する午後。


 控え室にいるシュナは、沢山の神々のオーラに緊張する。これから神々の前で自分をお披露目しなければならないのだ。神になりたての時に呑気に開いた集会とは意味が違う。これは、シュナをトップとして認めさせる必要がある会なのだ。


 シュナは唾液を飲み込む。手に汗をかいて、ふうふう言っていた。オレンジジュースの味がしない。


 隣で足を組んで目をつぶって座っている世界さんがシュナからしたら一番偉いのだが、彼と対等に自分はなるらしい。恐れ多くて意味がわからなかった。自分は元人間なのに。会を開くとなり、後戻り出来ない状況になってシュナはやっと状況を理解する。阿呆のシュナの脳に現実が辿り着くには鈍足の電気信号が一生懸命進む必要があったが、なかなか苦労したらしい。


(まぁでも神に友達沢山いるし…なんとかなるでしょ!悩んでも仕方ないね!)


 しかし能天気を絵に描いたようなお気楽さに遂に花を咲かせたシュナは、ニパ!と何も考えていない笑みを浮かべて、神々が集まるのを待つことにした。オレンジジュースが美味しい。ちょっと酸っぱめかな。


 暫くして、世界さんが、ふと、目を開いた。一つため息をつく。神々は集まるのが遅いのだ。マイペースな奴らめ、と思ったのだ。


「…やっと集まったか。シュナ、行くぞ」

「う、うん!行こう!」


 コロッセウムの席が埋まった。定刻から2時間すぎた時刻を針は刺す。マイペースな神はとことんマイペースなので、多分カフェとかで駄弁って時間を忘れた後にでも来たのだろう。あと寝坊とか、カラオケしてたら遅刻したとか。


 立ち上がった世界さんは、悠々と歩みを進める。シュナは小さく歩幅を刻みながら、チビチビとトタトタと歩いていた。さながらコーギーである。転けないようにしっかり足元を見る。


 遂にコロッセウムの中央に出る。神々の沢山の視線が集まっている。流石のシュナもこれには緊張した。オレンジジュースの痰が絡んで嫌な気持ちになる。


 世界さんがマイクを持つ。少し後ろに立っているシュナから見たその背中は大きく、安心感があった。


「…。世元界司だ。」

「ひゅー!!」

「やったー!!」


 世界さんが名前を言ったら囃し立てるのはお決まりである。鈴の透き通った声が大きく聞こえた。鈴は新人だが、秋斗と恋人なので偉くなり、この会議に参加した。

 世界さんが片手を上げると、スッ…と静かになる。


「本日の来訪に感謝する。さっそく本題に入ろう。此の度、シュナが白の神のトップに躍り出ることとなった。経緯としては、──────────、で、アンがシュナに立場を譲ることになった。」


 ふむふむ、ふーん、と小さく反応が上がる。分かりました!という鈴の大きな声が聞こえた。


「で、仕事の引き継ぎだが、明日からシュナかシュナの分身が遊空殿の奥の部屋にいる。白の神達は会議を開くなりして引き継ぎをしてやれ。質問があるやつは手を上げろ」


 幾らかの神々が手を上げる。

 発言を許されたのは1人の男神。


「えー、と。経緯は分かったんだけど。まずシュナって今なにしてんの?俺全然知らないんだけど、引きこもりだから。あと偉業とかある?いまいちアンタの実力とか掴みかねるんだよね。」

「わかる〜!私もそれ質問しようと思った!」

「だよね〜」


 ギャルみたいな神様が共感を示し、男神はギャルを指さして返事をした。このギャルは今までシュナに興味がなかったのである。

 普段神々に関心を示さない立ちの神は、時事に疎い。恐らくシュナの開いた神集会にも来なかったのだろう。


 シュナにマイクが渡される。


「う、うん。えっとね、普段はルツェルンで信者の人達の願いを叶えたり、不知の病治したり、グッズ出したりしてるよ。メルクリウスさんにも協力して貰ってる!それから、マッチングパーティも開いてて、それはエロスに手伝ってもらってる。天界では白の神としての仕事を進めているよ。あとはアポロンと恋人で、黒の神達とかポペードールとか、舞月とかと仲良くしてて、時々遊ぶよ!」

「ふーん、人脈はあるわけね。神としての仕事もちゃんとやってて、個人事業も拡大してる、と。」

「え、シュナ舞月さんとも仲良いの!?やべぇな…」


 そんな声も聞こえた。男神はニヤニヤしながら、頷く。


「それから、偉業としては、前ルツェルンとシュウィーツで戦争をした時に、戦死者を全員生き返らせたかな。それで私のシュナ教がほぼ国教みたいになった!私の能力は全知全能だよ。」

「えぇっ?wwおもしろ、そんなことしたの?全能持ちやべーww規模がちげぇww」


 男神は腹を抱えて笑う。いくら神と言えどもやることが違いすぎる。面白すぎた。


「ふふん!あとは、神になったばかりの時ポペードールに騙されて神集会開いたかな。うちの悪魔と一緒に歌歌ったり、うちの悪魔とアレスさんが戦ったり、ムーサ達とバレエ踊ったり、ご飯振舞ったりした!その際にはデメテルさんにもお世話になりました」

「ちょっと!その話は言わない約束でしょ!?」

「そんな約束したっけ?してないよ!」


 シュナは鼻高々と鼻息荒くする。中々凄いことをしたのだ。


「あー、悪魔と仲良いんだっけ。あーそれって難しいなー…えその悪魔ってどんな立場?」

「魔王と四天王って言ってたよ!」

「意味分かんねぇ〜www権力集中しすぎじゃね?大丈夫?まぁでもそれが味方になるなら悪魔達と戦うことも多分ない、か…。」

「いや、下の悪魔達がなにするかは分かんないから、それは分かんないかな!」

「ふーん。魔王って下のやつらそんな強く圧政してないの?」

「どうだろう…割と自由にさせてるんじゃないかな?でも何かあったら口出ししてくれると思うよ」

「おっけー。大体把握出来たわ。俺はシュナがトップになるの認めるよ。友達も多いみたいだしな」

「ありがとう!よかったよ」


 シュナは安堵して一息ついた。


「シュナは信用出来るわよー!あいつバカだから苦労するだろうけどね!」

「ふーん」


 ポペードールが声を上げた。どうやら味方してくれているらしい。男神も面白そうに見ている。


「ありがとう!バカじゃないけどね!」

「ホントの事をいっただけよ!」


 褒めているのか貶しているのか分からない。

 男神は2人の友情を見届けた。


「…他は?」


 今の質問で殆どの手が降りたが、1人、高々と手を上げる男がいた。


 ゼウスだ。彼は浮気魔でだらけた性格をしている。しかしいざという時のギャップが激しいタイプの神だ。長い白髪をオールバックにしている、金色の目をした若々しい男神である。神々の中でも特段オーラが輝かしい。


「えー、世界ぃ。俺様納得いかねーんだけど。なんで神のトップスリーの俺様を差し置いてシュナがトップになんの?俺様そいつのことよく知らねぇし。関わりねぇんだよね。遺憾の意だわ〜」


 恐らくゼウスが今回一番の難関だろう。ぽっと出のシュナに立場を越されたゼウスにも、プライドがある。


「まぁ1番はアンがシュナに譲ると言ったことだろうな。その事実は変わらない。それでも認めたくないというなら、戦うか?シュナと」

「おー、戦うわ」

「え"っ」

「うおっおもしれーっ!!」

「盛り上がってきました」


 シュナとしては想定外のことが起きた。神々は面白くなって来たと盛り上がる。


(まずいまずいまずいまずい、私弱いんだよね…サタナに任せようかな…)

『完璧にサポートしてみせましょう』

(ほんと!頼むよホントに…!)

『勿論です。作戦ですが、まず───────』

(なにそれ!反則じゃない!?全能ってなんでもできちゃうな…。でもそれなら勝てるかも!)


 ゼウスが客席からステージに降りてくる。マイクは退かされ、世界さんはレフェリーだ。


 服装は自由だったのでいつものかわいい服で来たが、運動服に着替えるべきだろう。シュナは指パッチンをして、水色のジャージに着替えた。


「おぉ、便利だねぇ」

「うん、楽だよ!」


 ゼクスはでろんと舐めた目をして、顎を突き出して上から目線である。腕を組んで、後ろに下げた足に体重を乗っけていた。態度が悪い。しかし神々しい雰囲気は失わないのが不思議である。


 2人は数m開けて対峙する。世界さんが中央の端に立つ。


「始め」


 低く恐ろしい声が始まりを告げると、シュナは即座に詠唱した。


「"ゼウスの神力使用不可!!""ゼウスの行動不可!!"」

「は、はぁ!?!?なんじゃそりゃ!?!?」


 シュナの全能をフルに発揮した魔法の言葉。

 シュナは白の神のトップになったから、神力を完璧にかけられない相手はほぼいなくなった。流石にまだ年功や高尚ポイントなどの差で完璧にはかけられない相手もいるが、ゼウスにはかなり強力な力でかけることが出来た。


 ゼウスがピキーンと固まって動けなくなる。


 身動きが取れなくなったゼウスを、シュナはそのまま足払いして倒す。そして袈裟固めで固めた。この間舞月と遊んだ時に、柔道も少し習ったのだ。

 かろうじて少し出た雷霆がビリッとした。ゼウスも僅かに身動ぎする。しかし無事倒し切る。


「痛っ」

「…シュナの勝利」


 世界さんの低い声でそっと勝利が告げられる。


「"解除!"」

「お、俺様の力が何一つ発揮できなかった…だと…!?お前なんだよ強すぎるだろ!!意味わかんねぇ!!」

「私の勝利だよ!これで認めてくれる?」

「おー、お前強すぎ。流石に認めるしかねぇわ。はいはい、お前がトップですよー。好きにしろ!」

「やったー!よろしくね、ゼウス!」

「はいはい…」


 ということでシュナvsゼウスは、シュナの圧勝であった。トップになったシュナに、怖いものは世界さんと白越くらいしかない。


 周りの神々はというと、かなり感心していた。


(これが全能持ちの力かぁ…)

「つえー!!尊敬するわシュナ!!」

「すごーい!!」

「なによシュナのくせにー!やるじゃない!」


 反応は様々だが、どうやら神々にもシュナがトップだと認めさせることが出来たらしい。


「他に用事がなければこの会議は終わるが、いいか?そのまま引き継ぎの会議をしてくれても構わんが」

「では、私が引き継ごう」

「白越。分かった、じゃあ頼む。白の神以外は解散だ。お疲れ様」

「うぃーす」

「お疲れ様です!!」


 相変わらず鈴の元気な透き通る声がよく響くが、各々帰って行った。



ほんとはこの回くらいずっとシュナを無双させたかったんですけど、話を作る上で全能って難しくていまいち活かしきれていませんでした。これができて良かったです。

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