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神様にお任せ!!  作者: 砂之寒天


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世界さんに相談事

私のTwitterに、シュナ、メアリー、パイモン(実際は鮮やかな赤髪)、ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ポペードールのイメージ画像を載せました。砂之寒天で調べると出てきますので何卒ご覧下さい。

 今日は(みぞれ)が降っていた。ぐしゃぐしゃとした地面は、滑りやすく危ない。シュナはスノーブーツを履いて、朝のルツェルンをお散歩する。

 白いコートとウシャンカも着けて、完全冬装備だ。中は白のニット(くまさんの絵柄付き)と白のミニスカート、白のロングブーツなので、真っ白白って感じ。


 たまたま元祟り神の神社前を通った。ついでだし参拝していこう。


 5エニーを投げ、手を合わせながら、考える。

 そういえばこの間元祟り神にお参りに行った時に、世界さんに運勢の事を相談するといいと言われたのを思い出した。アポをとってお話しに行こう。


 顔を上げ、少し離れて携帯を開く。


to世界さん


突然すみません。相談事があります。ご都合がよろしい日はありますでしょうか?よろしくおねがいします。


fromシュナ


 ちょっと堅苦しいかなと首を傾げてから、まぁあの世界さんだしいいか。と思ってそのまま送った。あの座るだけで魔王城のラスボスみたいに物々しくなる世界さんだし。それに、メールくらいは堅苦しくてもいいだろう。

 何に対してのよろしくか分からない、よろしくお願いしますは使いがちである。


 すぐに返信が来た。


toシュナ


 今日暇だぞ。来い。


from世元


 文面の圧にちょっと、おぉ…となってたじろいでから、了承の返事を送る。


 手ぶらで行くのもなんなので、ケーキ屋さんでケーキを買ってから行った。


(…何人分買えばいいんだ?ちょっと待てよ…)


 とりあえず、世界さん、執事の梅千夜さん、麗子さんの3人と、私の分でいいか。うん。


「ア、えーと、チョコケーキ1つ、モンブラン1つ、ショートケーキ1つ、いちごタルト1つください!!」


 元気よく注文を通す。好きなものを選べるように4種類買った。私はショートケーキを狙っている。


 ケーキを受け取って、転移門で黒の洋館に行く。


 多分黒の間にいるだろうなと思って、真っ直ぐそこまで向かった。


 黒の間は、冷たくて重い空気に満ちている。いや温度はある程度温かいのだが、なんか寒気がするのだ。


 奥の王座で、世界さんが足を組んで座っていた。オーラが物凄い。海のギャングのシャチみたいにカッコイイ。やっぱりラスボスである。隣には梅千夜さんがいて、談笑しているみたいだった。


 歩みを進めると、2人がピタリと談笑をやめて、こちらを見た。


「…来たか」

「こんにちはー!!ケーキ買ってきたよー!今日はよろしくお願いします!」

「こんにちはなのだよ」

「おう」


 梅千夜さんは中性的で色気のある笑みを浮かべて、手を緩く振った。口元のほくろが色っぽい。


 世界さんが指をパチンと鳴らす。すると、横に黒いテーブルと椅子が現れた。椅子は革張りだ。見るからに高級そう。テーブルはマーブル模様だ。


「まぁ座れ」

「失礼するね!」


 世界さんが椅子を指し示すので、座る。


「今お茶を持ってくるのだよ」

「あ、ありがとうございます!手伝う?フォークとお皿が欲しいんだけど!」

「あぁ、お盆に乗せるから大丈夫なのだよ」

「じゃあお願いするね」


 私は、足をピッタリ閉じて、お膝に手を乗せて背筋をピンと伸ばして待っていた。ちょっと緊張しているのだ。

 世界さんは相変わらず足を組んだままである。

 特に気を使って話しかけるとかはされない。気まずくないので。なんたって私達の仲だからね。とか自分で言ってみる。よく言われるので。


 少ししたら、お盆を持った梅千夜さんが来た。


「お待たせ〜なのだよ」

「ありがとう」

「ありがとう!」


 ケーキの箱を開けて、ケーキを選ぶ。


「俺はチョコケーキ」

「私はモンブランなのだよ」

「やった!じゃあ私はショートケーキね!麗子ちゃんには苺タルトね」

「渡しておこう」


 世界さんがパチンと指を鳴らすと、苺タルトが消えた。多分麗子ちゃんの冷蔵庫にでも転移したのだろう。


 ケーキをつつきながら、話し始める。


「それで、相談とは?」

「うん。えっとね。私、とある神社に初詣に行ったんだけど。そこで、悪い運の流れがあるって神様に言われたのね。で、それを世界さんに相談するといいって言われたの」

「悪い運…?何の話だろうな」


 世界さんは顎に手を添えて斜め上を見る。


「え、検討つかない感じ?」

「皆目検討もつかん。あ。…待てよ」

「お!何か思いついた?」

「あれが今年だとしたら…相当な厄年だな。うん、多分それだろう」

「え!なになに!」

「詳しいことは言えん。そういう制限だからな。ただ俺から言えるのは、"お前の誕生日の2月16日の日の出に、心身ともに生まれ変われるようにしておけ"ということだ」

「心身ともに生まれ変わる?比喩?」

「いや、言葉のままだ。物理的に転生のように生まれ変われ、特に精神を新しくしろ」

「わかった!」


 なんだか恐ろしい事が起きそうである。特に精神面に。


(サタナ!2月16日の日の出に生まれ変わるようにしといて!)

『承知いたしました。設定しました。』


「俺が戻ったのはシュナがこちらに来るより前だったんだが。忙しくて伝えるのを忘れていた。危なかった、これを伝えないと、…。ん?これも言えないか」

「戻ったってどういう意味?」


 シュナは首を傾げる。どこかに行っていたんだろうか。


「時を遡ったんだ。用があってな。用はたった今済んだが」

「へー!世界さんそんな神力持ってるの?」

「いや、俺のじゃない。朔のだ」

「朔?誰?」

「舞月朔太郎。黒の神の元副ボスだった男だ。」

「へえ"っ!!」


 びっくりして変な声が出た。とんでもない大物である。目の前の世界さんが1番大物ではあるのだが。


「皆に推薦されて副ボスになったはいいんだがな、責任が重いのがどうも駄目だったらしい。アイツはもう辞めた。今も仲はいいがな」

「ふぅん…」


 どうやらカリスマ性溢れる人らしい。皆に推薦されて副ボスになるほど、人望と魅力に満ちた人なのだろう。


「お前、これから相当苦労するぞ。黒幕はまぁ…言わないでおくか。俺もソイツには相当怒ってるんだが…相当の罰は用意してあるからな。楽しみだ、アイツを罰するのが」


 紅茶を啜りながら世界さんが悪い笑みを浮かべる。ゾワッとしてびっくりした。


「因みに罰するのは俺じゃない。誰かは秘密だ」

「秘密ばっかりだ」

「その方が面白いからな」


 そういう事なら探らず楽しみにしておこうと思う。


「それで、相談事は終わりか?」

「うん!ありがとう世界さん!」

「まぁ折角来てくれたんだ、ゆっくりしていけ」

「ありがとう!ゆっくりしてくね」


 にこ!とする。


「そうだな…。お前、アポロンとは最近どうだ?」

「うん!仲良いよ、デートもよくするし!ただね…」

「ただ?」

「アポロンがいない時の私のことも把握してて不思議なんだよね。なんでだろう…。あと、スケジュールとかも」

「あぁ…。…これ言っていいのか…?」

「なんか知ってるの?」

「あぁ…知ってるというか神力で分かる。俺は真実を見抜く神力をもっている」


 絶句した。そんな強力な神力を持っているのか。私も人の事言えないけど。日本で言う閻魔大王みたいなものだから、そういう事が出来てもいいのかもしれない。


「恐らく、このことを言ったらアポロンは怒るだろうな。言うのはやめておこう」

「私は何をされているんだろう…」


 実際は天使に毎日監視されている上にスケジュール帳も覗かれているのだが、それはシュナは知らない所なのだ。


「世界さんってカッコイイよね。なんか、圧倒的支配者って感じがする。頼りになるし、なにかあったら最終手段は世界さんへ!って感じ」

「そうか。ありがとう」


 眉ひとつ動かさず感謝を告げる。麗子以外に褒められても照れないのだ。喜んではいる。


「梅千夜はセクシーなお姉さん?お兄さん?って感じ!」

「ふふ、嬉しいのだよ。ありがとう」


 口を手で隠してほろほろと笑う姿は、大和撫子のようなしっとりとした美しさを感じさせた。


「シュナは…なんだ。平和なやつだな」

「なに、バカって言いたいの!」

「いや、…まぁアホっぽいだろ」

「それポペードールにも言われたんだよね。私ってそんなにアホっぽいかな〜」

「まぁ、愛嬌なのだよ」

「癒し枠といえばそうだな。犬みたいな」

「ふーん…じゃあまぁいいか」


 私はすっかりリラックスして足をプラプラさせながら紅茶のお代わりを貰っていた。


「そのウシャンカ。ロシアにでも神力で行ったのか?」

「ううん、ネットで買った!天界の。でも私ロシア好きなんだよね。文豪が出てくるアニメのさ、フョードルってキャラクターが好きで」


 完璧にヴィランなのだが、人々を救済しようとする思想の持ち主なのだ。ロシアの文豪、フョードル・ドストエフスキーが元ネタになっている。


「あぁ、あれな…謐華に勧められて見たが…面白かったな。そうか、お前はフョードルが好きか」

「実は私二次創作とアニメの切り抜きしか見た事ないから詳しいこと知らないんだけどね」

「最近のオタクにありがちなやつだな」

「うん。まぁそれで、ウシャンカが可愛くて好きだったから、買ったの。ずっと欲しかったんだよねー」

「買えてよかったな」


 その後もぽつぽつと雑談をして、少し時間が過ぎた。


「…うん!そろそろ帰ろうかな!」

「おう、気をつけて帰れ」

「今日はありがとうなのだよ」

「こちらこそ!紅茶ごちそうさまでした。じゃあね!世界さんもありがとう!」


 黒の間を出て、レッドカーペットを歩く。壁は黒くて、燭台が怪しい光を放っている。


 階段を上り、そのまま洋館を出たところで、転移門で家に帰った。


 にしても、これから私に何が起こるというのだろう。誕生日の2月16日。私は未知が楽しみなような、恐ろしいような気がしたのだった。

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