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神様にお任せ!!  作者: 砂之寒天


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新年(遅刻)に縁起と消化と食べ合わせが悪いものを食べて厄を受け切ろう!

アイデア元は月○美兎さんの「クソ縁起の悪いおせちを作って最悪のスタートを切ろう!」です。内容はきちんと変えておりますが本家も面白いので是非ご覧下さい。

 日本の関東では1月7日の松の内まで、関西では1月15の小正月までが新年とされるらしいですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 シュナ宅はもう門松も片付けた。


 天界のシュナは、とある動画を見て、面白いなと思ったのだ。


 曰く、「クソ縁起の悪いおせちを作って最悪のスタートを切ろう!」とのこと。中では、いろいろ面白い理由付けをした縁起の悪い食べ物がおせちとしてならんでいる。

 もう新年は過ぎてしまったのでおせちは食べられないが、まぁ1月中なら誤差だろう、とシュナは思った。


 そのまま真似しても面白みがない。ということで、天界のシュナ達は、縁起と消化と食べ合わせが悪いものを食べることで厄を受け切る、というパーティをお昼に開くことにしたのだ。


「ということで!食材を用意して料理を作りました!こちらです!」

「「「どどんっ!!」」」


 シュナは10人いるし、アルマロスもいるので食材は沢山用意した。種類がある方が面白そうだったのだ。


 まずは、縁起の悪い食べ物から。


 からし入りのシュークリーム。ロシアンルーレットではなく全てカラシ入りである。全員ハズレを引く、という意味で。

 バウムクーヘン。場生む苦変と読めるので、苦しく変な場を生むという意味で縁起が悪い。

 脂肪が多い肉。死亡が多い、とかけている。

 梨。いい事無し、という意味だ。

 海藻の、ワカメの味噌汁。海で遭難、海遭(かいそう)である。

 

 続いて、消化の悪いもの。


 油物、揚げ物である。本日は串揚げを用意した。海老、チーズ、エリンギ、ソーセージ、ナス、帆立、うずらの卵、南瓜、玉ねぎ、牛肉、鶏もも肉である。

 辛いラーメン。シュナは牛乳を使ってマイルドに作るのが好きなので、そうした。それでは辛い意味がなくなりそうだが、普通に辛いので問題は無いとする。

 キノコのアヒージョと、ゴボウのサラダ。食物繊維が多くて消化が悪い。


 あと食べ合わせの悪いもの。


 カラシと酒。どちらも体温を上げる作用があるが、胃腸への負担が大きく消化不良を起こす。カラシシュークリームとお酒を一緒に飲む。

 カニとフルーツ。どちらも体を冷やす作用があるため、内臓の機能が低下し消化不良を起こしやすい。上の2つと食べたら相殺してしまいそうである。


「やったー!カニだー!!」

「やったやったー!」

「嬉しいな」


 シュナ達は雪が降った時の子供みたいに無垢な顔で喜んでいた。アルマロスも、それを見守る保護者みたいな顔をしたのだ。


 イヌスタグラムにもストーリーと投稿を上げて、皆にも自慢することを忘れない。


 しかし、ここでシュナの1人が反乱の声を上げた。


「私は食べないよ?なんでそんな子供みたいなことしないといけないの?至上の神に顔向けができない」

「ガーン!!!」


 そう、シュナの1人が刺々しい性格になってしまったのだ。なにやら、至上の神とやらを崇拝していて、シュナのやるふざけたことに付き合ってくれないのだ。


 まぁ、そういう個性が出てくることもあるかな、と思いあまり気にしてはいない。ふざけた事に付き合いたくない人もいるだろう。仕方ない。


 1人だけ性格に差が出たので、その子は名前を自分でつけた。

 その名は、パール。シュナ→珠雫→珠→パール、という具合で決めたらしい。


「で、でもさ!食べ合わせが悪いやつは片方だけ食べればいいじゃん!カニとかあるし!」

「…うん、じゃあそうするね」


 そういう事になった。ご飯がないのは可哀想なので良かった。


「じゃ、いただきまーす!」

「「「いただきまーす!!」」」


 みんなで厄ご飯を食べ始めた。


「ねぇねぇ!最初にカラシシュークリーム食べちゃおうよ!」

「お、いいね〜。みんなで一緒に食べよ!」

「私は食べないからね」

「パールはいいよ!アルマロスがふたつ食べるから!」

「えっ!?」


 アルマロスは、そんなの聞いてない、と悲愴な顔をした。口がはくはくと開いては閉じる。


「え、アルマロス可哀想!私が食べてあげるね」

「あぁシュナ…優しいね…」


 捨てるシュナあれば拾うシュナありである。


「じゃあいくよー!お水は用意した?せーの!」


 パク。


「ん"ん"ん"ん"!!!!」

「かっっ、!」

「おっ、うぐっ」

「みずみずみずみず」


 三者三様の具合であった。ともかく辛くて、ツーンと来たのは間違いない。


「え、私これもう1個食べるの…?」


 シュナが捨てられた子犬みたいな顔でぴるぴる震えていた。


「いい、シュナ、私が食べる」


 見かねたアルマロスが苦渋の決断を下す。


「えー!あ!とっといて後で食べればいいんじゃない?口直しに!」

「逆の意味の口直しになるけど…まぁいいな」

「あ!お酒飲もう!食べ合わせ悪いらしいし!」


 お酒を飲んだ。普通のビールとか、ジュースみたいなお酒とかを用意した。


 落ち着いて他のご飯も食べ始めた。


「カニはね〜焼くのが美味しいんだよね!皆も焼く?」

「あ!じゃあお願いしようかな」

「私のも焼いて!」


 ピンポーン

 しばらく食べているうちに、来客があった。


「あっ誰か来た」


 シュナのうち1人が炬燵から出て玄関へ向かう。


 そこに居たのは…


「こんにちはァーッ!!!」

「わぁ、元気。白ヰ(しろい)!いらっしゃい」


 白ヰである。キラキラの目とよく通る声で挨拶をした。リビングにいた他のシュナ達も、あぁ白ヰが来たのだなと分かった。


「何しに来たの?」

「なに、君のイヌスタグラムを見て、面白そうなことをやってる事を知ってねぇーっ!!」

「うんうん。それで、その手に持っているビニール袋は…?」

「ふっふっふ、聞きたいかい?」

「嫌な予感するけどねー」


 シュナは冷や汗をかいた。


「ふっふっふ。



…そうっ!差し入れに来たのさ!!」


 テッテレー、と紅白の背景でそういう白ヰは、とてもいい笑顔をしていた。シュナは冷や汗が止まらない。


「あ、白ヰ〜これあげる」


 奥からもう1人シュナが出てくる。その手には…


「なんだい?これは!」

「これね…



…カラシシュークリーム!余ったからあげるね!」

「ぶっwwそれ渡すのww」


 あっちが差し入れしてくるならこっちも差し入れし返す。これがやり返しのマインドである。但し白ヰのそれは善意である。


「ほぉーッ!!それは面白いーッ!!是非頂こう!!!」


 しかし白ヰはシュナの手からカラシシュークリームをひょいと手に取り、パクっと食べた。


「んー、まぁまぁ辛いねぇ!!」

「えっ、嘘…結構辛かったと思うんだけど…」


 白ヰは辛いものにも耐性が付いているらしい。恐ろしいことであった。毒ばっか食べてるからだ。


「で、そのビニール袋の中身はなになの?」

「ベニテングタケさ!!美味しいよ!!昆布の旨み成分のグルタミン酸の10倍美味しいイボテン酸が入ってるのさ!!」


 中から赤色に小さな白斑点のついたキノコを取り出す白ヰ。少し高めに掲げ、もう片方の手を胸元に当てて得意げな顔をする。


「え、美味しいの?毒キノコ?」

「もちろん!毒キノコさ!!」


 パシン。


「いてっ」


 シュナは白ヰの頭をはたいた。このバカが。


「ま、まぁ君は毒があっても食べられるだろう?私と同じ神だから!美味しく食べておくれ」


 白ヰは珍しく焦ったような顔を顔をしてそう弁明する。


「まぁいいけどさ…面白いし。どんくらい食べていいの?」


 シュナは袋からベニテングタケを取り出しながら聞く。


「まぁ12cmの幼菌を2つ食べたら人間は中毒になるかなァッ!!」


 大分猛毒である。


「白ヰも厄ご飯食べてく?白ヰの体なんて厄の方から逃げるとは思うんだけど」

「おや!いいのかい!じゃあ少しだけ頂くよーッ!!」


 ということでご飯に白ヰが加わった。


「こんにちはーッ!!!」

「「「こんにちは!!」」」


 バァン!!と扉を勢いよく開ける白ヰ。コタツでご飯を食べていた一同はそちらを見る。


「お邪魔させていただくよ!私は辛いラーメンを頂こうかなァッ!!辛いものは刺激が強くて好きなのさ!!」

「じゃあ取り分けるね」

「あ、白ヰが美味しい毒キノコおすそ分けしてくれたから焼いてくるね」

「毒キノコ…!?私はやめておこうかな…」

「アルマロスは神じゃないもんね」


 ベニテングタケはバターソテーにした。それもイヌスタグラムに上げた。それを見たアポロンは、シュナと食事の席を共にするという事への嫉妬で、


「は??白ヰ??」


 と声を上げた。


「いただきまーす」


 一口、食べる。


「うっっま!!!」


 それはチーズのような濃厚な旨みだった。旨みがべったりと舌にくっついて、只管旨いという信号を送り続けている。


「え!これ凄い美味しいよ!白ヰ凄いね!」

「だろーうッ!?このベニテングタケはとても美味しいのさ!!」


 皆でちょっとずつ食べて食べきってしまった。


 そして15分後。


「なんか…冷や汗?が止まらない」

「私も悪寒がするよ」

「浄化しよ、浄化!」


 シュー。神力で胃の中を浄化する。そうすると、胃の違和感は消えた。

 シュナは神だが耐性は一般人並みにしていて、それを神力で補っている形だ。こちらに来た当初は体に状態異常無効の神力をかけていたのだが、味気ないと思い辞めたのである。とてつもない狂人かとてつもないバカの選択であった。シュナは後者である。


「因みにそのまま放っておくと、嘔吐、下痢、幻覚などの症状がでてくるよォーッ!!」

「わー怖い。白ヰは大丈夫なの?」

「私は耐性があるからこの程度では中毒にはならないのさッ!」

「怖っ」


 マッドサイエンティストは体の作りが違うらしい。

 もしかして厄を招いてしまっていただろうか、とシュナは頭を傾げた。


「これ思ったより辛くて食べられない〜」


 シュナの1人が辛いラーメンに悲鳴を上げていた。どうやら辛味の感じ方には多少の個体差があるらしい。


「おや、私が食べてあげようか?」

「いいのー?白ヰ!ありがとう」


 間接キスとか気にしないかな…?と思いつつお椀を渡した。


「なんか白ヰってさ、焦げちゃった炒め物とかも代わりに食べてくれそうだよね。メロいな〜」

「まァ大概の物は食べられるかな!!食べ物なら!!」

「食べ物じゃなくても食べるだろ貴方は」

「おや!毒物が食べ物じゃないとでも言うのかな!!!」

「食べ物じゃねぇよ」


 毒物を食べ物だと思うのは白ヰだけである。


「あとさー、嫌いな人のご飯とかにこっそり長く苦しむ毒入れてくれそう!」


 発想が物騒であった。


「おや、毒とは歓迎の意を示すものさ!勿論君の嫌いな人にもおすそ分けしてもいいよッ!」

「いいねーメロいよ〜」

「なにかあったら白ヰに頼むね」

「楽しみに待っていようーッ!!!」


 味方につけたい神の中でも有力候補な白ヰであった。いや、味方なのに敵より敵らしいかもしれないが。


 ピンポーン


「ん?また誰か来た」


 シュナの1人がまたコタツから出て玄関を開ける。


「来てやったわよー!!!」


 そこにいたのはポペードールであった。


「あっ厄が来た」

「誰が厄よーっ!?失礼ね!!」


 むきゃー!とポペードールは怒る。


「ごめんごめん。で、何しに来たの?」

「え?遊びに来ただけよ?ダメだった?」

「いや別にいいけど…まだご飯中だよ?イヌスタ見た?」

「いや、見てないわ。今見るわね」


 上着のポケットからスマホを取りだしてぽちぽち弄り、イヌスタを見る。


「貴方変なことするの好きね…。というか、げっ、白ヰ来てるの?」

「呼んだかなーッ!!!ポペードール!!」

「呼んでないわよ!!このマッドサイエンティスト!!しっし!!」

「そんな褒めないでくれたまえ!!」


 奥から地獄耳で名前を聞き取った白ヰが出てきた。


「ごめんね、毒キノコはもう食べきっちゃったの」

「要らないわよ、誰か食べるのよそんなもの。貴方達とは違って私はバカじゃないから食べないの」


 目をつぶって手をひらひら、しっし、と振る。


「え、ポペードールって馬鹿じゃないの?嘘だよね?」

「誰がバカよ!!あなたのアホさ加減も大概なんだから!!」

「まあまあ。ポペードールの分残ってるかな?デザートは残ってるかも」

「あら、気使わせて悪いわね。いらないわよ、別に。厄なんて受けたくないし。というか、てっきり食事も終わってるものかと思ったのよ。もう14時だから。待っててもいいかしら?」

「いいよー!ゲームして待ってて!」


 ポペードールはゲームをして待った。

 そして、場生む苦変(バウムクーヘン)も食べきって、ご飯はお終いとなった。因みにバウムクーヘンはポペードールにも出した。


「「「ごちそうさまでしたー!」」」

「うん!(ポペードール)も来たし、きちんと厄は受けきったね!これで他の皆は健康安全!よし!」

「ちょっと!!だから誰が厄なのよ!!白ヰの毒物の方が大分厄じゃない!!」

「おや?趣旨には沿っているはずだがね」

「それはそうだな」


 ということで厄を受け切るパーティは終了したのであった。


「じゃ!遊ぶわよー!何して遊ぶ?やっぱりテレビゲームかしら!」

「好きなの選んでいいよ〜」


 その後皆でゲームをして遊んだのでした。

ベニテングタケに関してはこちらを参考にしました。https://www.outdoorfoodgathering.jp/ediblemashroom/beniten/

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