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神様にお任せ!!  作者: 砂之寒天


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63/101

世界さんハッピーバースデー!1/7

作中で缶缶様のドロシーの名前を出しました。高音の気持ちいい曲なので是非お聞きください。

私はまだ若輩者なのですが、マナーを知らず危うくシュナに鳳凰柄の着物を着せかけました。あぶね!!!このマナー知らず!!!めっ!!!

私も世界さんのネームプレートのついたチョコケーキを食べました。食べるのが勿体なかったです。

張り切って書いたので良かったら感想くださいm(_ _)m星5、ブックマークも嬉しいです。閲覧ありがとうございます!

 1月7日は世元界司のめでたいめでたい誕生日である。誕生色は、漆黒。黒の神のトップに相応しい、誕生日なのである。

 誕生石はガーネット。世元の少し錆びた色味の、血のような赤い瞳によく似ている。

 誕生花のベンジャミンには、「永遠の愛」「夫婦愛」などの花言葉もある。永遠の愛妻家の世元には似合う花言葉であった。

 ちなみに梅も誕生花である。


 麗子の誕生日は麗子の意向で城で豪華にパーティを開いたが、世元の誕生日はまた少し違った趣向を凝らした会となっている。


 世元家の城の中には、和室の宴会会場もある。そこで豪勢なご飯を、招待客と共に囲むのだ。すき焼きとか、お刺身とか。鰻の肝吸いとか、雲丹の茶碗蒸しとか、鯛めしとかもある。


 梅も飾っている。誕生花なので。


 シュナも招待された。着物を着て行った。


 シュナは、とても緊張していた。何にかというと、誕生日プレゼントを渡すことにである。手汗と冷や汗がやばくて、心做しか胃の調子も悪い。相当緊張している。

 シュナは、とても悩んだのだ。誕生日プレゼントに何を渡すのか。

 半端な物は渡せない。しかし派手すぎるものも目につくというか、女の私がそれをするのは麗子さんに悪い気もする。


 誕生石を渡そうかと思ったが、誕生石のガーネットとか沢山持ってそうである。掃いて捨てるほど。悩んで向かった宝石屋さんに16万円の35カラットのアルマンディンガーネットが置いてあって、「あ、これいいかも!」と思ったが。ガーネットなんて世界さんの瞳とマジで似ている超お似合いの宝石、世界さんが持っていないわけがないのだ。


 じゃあ何がいいか。私は一周まわってクマのぬいぐるみでも渡そうかと迷走すらした。無礼過ぎて首を跳ねられそうである。きっと地獄行きだわ…。うんうん悩む内に、私はぷしゅーと知恵熱を出した。

 神力で治そうかと思ったのだが、熱で浮かれた思考の方が突飛なアイデアが浮かぶかもしれないと思って放っておいた。このぽんこつは、ぽんこつを助長させる方向に向かって全力疾走している。


 シュナは知恵熱を出しながら、格付けチェックを見た。ルツェルンのテレビにも同じ企画が放送されているのである。違う世界なのに、不思議だ。

 パイモンも新人歌手として登場していた。結構正解していて凄い。魔界での教育が良かったのかな。


「これは…Aでしょうか?音の豊かさが違う気がしますわ」


 ちなみに天界でも格付けってやっている。世界さんが日本で言うGA○KTの立ち位置で、秋斗がそのペアになることが多い。秋斗は不憫枠なのである。あと梅千夜ね。世界さんの執事なので責任が重いのだ。


 白ヰがペアになった時もあったが、本当に凄まじかった、アイツは。世界さんを移す価値なしに最速で連れていった伝説である。


「はーっはっはっは!これはBだねぇーっ!!甘みが強くて美味しいっ!!」


 選んだのはカンガルーの肉。自信満々にそう言うと毎回Bが絶対アカンなのだ。確実にハズレを引くのでかえって特別部屋がある方が良いかもしれないレベル。


「お前は毒物を食べすぎて舌がおかしくなったのか?」

「おや、痛み、苦味、酸味など毒物にありがちな要素はきちんと把握できる舌だよ!!」

「格付けで出る料理に毒物はねぇんだよ」


 世界さんもちょっと怒っていた。勿論本気で怒ったらショック死する人が出てくる放送事故になるのでネタなのだが、まぁそれなりに怖い。顔が既に怖いから。


 天界のマンションで蜜柑を食べながら格付けを見ていた鈴は、怒っている世界さんをみて、


「ファンサだ…」


 と涙ぐみながら喜んだ。世界さんのファンは皆こんな感じである。この蜜柑、涙でしょっぱいや…。


 シュナはソファで蜜柑を剥きながら、メアリーは私の為に林檎を剥きながら格付けを見る。


 …そして。そこで私は、天啓を見た。


_人人人人人人人人_

>100万円のワイン<

 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


「っこれだーっ!!!!!!!!!」

「うわっなんなのです!?大きい声出さないでくださいなのです」


 110db(前方2mで車のクラクションを鳴らされる位の大きさの音)で叫んだシュナ。メアリーは迷惑そうに可愛い顔を顰める。喉にきてしまったので、ゴホゴホと咳き込む。

 しかし、これ、これだ…!!


(半端なものじゃなくて且つ派手すぎない、しかも消え物…!これが世界さんへの私からの誕プレの、トップオブトップ!富士山のてっぺん!!)


 シュナは熱でちょっと変になっていた。熱で浮かれた思考は使い物にならなかったが、テレビはいつも為になる情報を提供してくれる。


 ということで、シュナは160万円のワインを渡すことにした。スクリーミング・イーグルのワイン。カルトワインの最高峰に君臨すると言われている。

 しかしこれは世界さんに気に入っていただけるだろうか。

 誕生日会までに無事知恵熱を治したシュナは、小さな和風のバッグとスクリーミング・イーグルの入った分厚い紙袋を持って、戦地に向かう兵士のような顔で会場へと赴いた。


「っふー…」


 会場の前で1つため息を吐いて呼吸を整える。冷や汗は止まらず、ちょっと気が遠くなりかけていた。


「おー、シュナ、大丈夫か?この間の会議ぶり」


 そこに、商業の神メルクリウスがやってきた。メルクリウスは、ノリの軽いお兄さんである。亜麻色の髪をひっつめていて、触覚が長い。センター分け。目は金色だ。


 以前正月向けの新商品をシュナ教は出したので、その際の会議で一緒になった。話には出てないがちょくちょく会っているのだ。今では気さくに呼び捨てし合う仲である。

 ちなみに新商品には蛇のコスプレ(神力で見た目を色々変えた)をしたシュナのキーホルダーとか、シュナのおまじないが籠ったお守りとかが出た。シュナは教祖で言わばアイドル的存在なので、そんな感じなのである。


「あ、メルクリウス。貴方も来てたんだ」

「そりゃ、俺も世界さんのファンだからな。祝いたかったんだ。にしても、大丈夫か?顔色悪いぜ」

「うん、私世界さんに誕生日プレゼント用意したんだけど、気に入ってもらえるか心配で…」

「あー、何用意したんだ?」

「スクリーミング・イーグルっていうワイン。160万したんだけど」

「あー。センスいいな、普通に。喜びそうだわ世界さん。まぁ渡してみたらいいんじゃね?頑張って考えたものに怒んねぇよ多分」

「そうかな、そうだよね…!ちなみに1回クマのぬいぐるみにしようかと迷ったよ」

「そっちにしなくて正解だったな。いや、ある意味貰ったことなくて面白いか?」


 カラカラと笑うメルクリウス。


 対してシュナはコップを割った子供が親に報告しにいくみたいな、怒られに行くのかみたいな萎んだ顔をしていた。


「あらぁ〜?シュナちゃんじゃなぁい」


 そこに、おっぱいの大きいデメテルお姉様がやってきた。豊穣の神である。ウェーブの金髪が艶々で美しい。


「デメテルさん…!」

「こんにちはぁ。私ねぇ、今回のお誕生日会の料理の材料の提供も手伝ったからやってきたのよぉ」

「なるほど…!」


 流石豊穣の神。シュナの神集会の時も手伝ってくれたのだ。


「にしても、今にも死にそうな顔してるわねぇ?大丈夫かしら〜?」

「大丈夫じゃないです…プレゼント渡すのに緊張してて…」

「あらぁ、じゃあ私も一緒にいってあげるわよぅ?」

「ホントですか!心強いです」


 ということでデメテルさんが仲間に加わった。


 シュナは強い仲間を引き連れて、いざ、閻魔大王のいる会場へと足を運んだ。


「たのもうっ!!」

「あら〜、道場破りじゃないんだから〜」


 シュナは緊張しすぎであった。


「お、シュナ。来てくれてありがとう。好きな所に座ってくれ」

「あ、シュナちゃーん!」


 世界さんは感情の色のない瞳でこちらを見据える。何を考えているのか分からない。麗子ちゃんも着物を着て髪の毛を夜会巻きにしている。


「は、はい…!世界さん、誕生日おめでとうございます!こちら、プレゼントです!どうぞ!」

「どうした?畏まって。俺とお前の仲じゃないか。ともかく、ありがとう。これは、ワインだな?」


 この"俺とお前の仲"って言われると本当にどう反応したらいいか困ってしまう。怖いのだ、本気で。怖い人に冗談を言われているような、でもギリ冗談じゃないような気もする。


「うん!スクリーミング・イーグルっていうワイン」

「あぁ、そうか。嬉しい、ありがとう」


 すると、麗子ちゃんや仲良い人以外に滅多に見せない笑顔を、世界さんは浮かべた。


「っ!!!」


 シュナは雷が落ちたような衝撃が走り、真横で鳩が突然飛び立ったくらいびっくりした。

 そしてその後、少し固まってから、ため息を吐いてその場にへたりこんでしまった。


「よ、よかった〜」

「どうした、シュナ」

「よかったわねぇシュナちゃん」

「シュナはな、世界さんにプレゼント喜んでもらえるか心配だったんだよ。見ての通り死にそうな顔してたぜ」

「あぁ、通りで。安心しろ、シュナ。お前の贈り物のセンスがアレでも怒ったりはしない。心の底から嬉しい。このワインは美味いから。ありがとな」


 さりげなく160万円のワインを飲んだことがある世界さん。恐ろしい。


「ぐすっ、ぐすっ」

「あら、泣いちゃったわ」


 シュナは安心して泣き出してしまった。


「あ?世界さん、シュナのこと泣かしたのか?」

「アポロン、違う。勝手に心配して勝手に泣き出したんだ」


 ちょっと遠くで見守っていたアポロンがズカズカと早足でやってきた。シュナが泣き出したのが見えたのだ。その顔は少し怒っていて影が差している。流石の世界さんも少し焦った。アポロンは恋人が傷つけられると本当に大変なことになるのである。


「シュナ、大丈夫か?怖かったな」

「…悪かったな、怖がらせて」


 アポロンがシュナを抱きしめて撫でる。デメテルもシュナをよしよしした。シュナは雄っぱいの大きいアポロンとおっぱいの大きいデメテルによしよしされて役得だった。雄っぱいとおっぱいに挟まれて、少し元気が出たのであった。

 世元は、言い訳したかったが素直に謝る方がいいかと思って謝った。世元は別に悪くなかったが。地獄の王様なんて怖くてなんぼなので。


「…まぁ、今日は寛いでいってくれ。シュナ、オレンジジュース出るからな」

(幼稚園児だと思われている…?)

「あ、ありがとう…楽しむね。ぐすん」

「あ、御手洗あっちにあるからねー!化粧直す時はあっちね」

「ありがとう、麗子ちゃん!デメテルさんも、アポロンもありがとう」

「おう」

「成功して良かったわぁ」


 にこにこデメテルさんと、穏やかな笑みのアポロンに背中を摩られながら、シュナは化粧を直しに行った。


 化粧を直した後、アポロンの隣に座ってシュナはオレンジジュースをちびりちびりと飲んでいた。


 やがて、世元がマイクを持って挨拶をした。


「こんばんは。世元界司だ」

「ヒュー!!」

「よっ色男!!」

「わーい世界さーん!」


 世元が自己紹介をしたら囃し立てるのが平時のことである。鈴の透き通った声もよく響いていた。


「今日は、俺の誕生日会に来てくれてありがとう。最近は寒くなってきたかと思ったが、慣れるとあまり寒くないな。だがまぁ、お前らも体調を崩さないように気をつけろ。今日はうちの料理人が腕によりをかけたから、楽しんでいってくれ。以上。」


 やっとの事で、誕生日パーティーが始まった。


〜〜〜


(気合いが入りすぎて沢山書きました。ここらで4000字です。今回は2話分、8000文字書いてあります。1話の大きさでは今までで1番かも。最後までお付き合い頂けると幸いです。)

(こちら小休憩場所です。)


〜〜~


「まずはねー!私から誕生日プレゼントを渡すよー!界司!誕生日おめでとう!」

「ありがとう」


 世元は温かい笑みを浮かべて、心に温もりを感じながらプレゼントを受け取った。

 麗子からのプレゼントは、Buccellatinの指輪。オペラ ハイジュエリー リングである。1232万エニーする。扇と花輪の形にダイヤモンドが置かれていて、結構派手だ。だが何を着てもイケメンの世元なら付けこなすだろうと思い、送った。

 だって世元は、例えばマフィアみたいな服だって着こなすし、ヤンキーみたいな格好も成金な趣味の悪い格好も、全て着こなして様にするのだ。ちょっと派手なダイヤの指輪なんて、そんなのちょちょいのちょいである。


「これまた高そうなものを…」

「愛だな〜」


 メルクリウスは顔が引き攣っていた。商業の神様ってお金持ちそうだが感覚は庶民なのだろうか。シュナは呑気にバカの顔で愛だな〜、とか言っていた。


「それから、恒例の歌な」

「待ってましたー!!!」

「録音していいですかー!」

「落ち込んだ時再生していいっすか!!」

「ほぼ水の泡か?いいぞ。」


 椎名○檎ネタである。


「今日界司と歌う歌わねー!ドロシー!」


 缶缶様のドロシーである。この曲は男性と女性のデュエット曲である。

 短い前奏の後、すぐ麗子が歌い出す。可愛らしい声が響く。

 その後は、世元のターンである。色っぽい低い声である。

 段々テンションが上がっていく。囃し立てるように、合いの手をお互いが入れる。


「はぁドロシー!ドロシー!」


 可愛いのに迫力のある声で麗子がサビを歌う。


「はあ"ドロシードロシー」


 世元も濁音の付いた声でサビを歌う。


「「ドロドロシー」」


 曲は終わった。短い曲だったが、満足度が高い。


 沢山の拍手が起こった。


「聞いてくれてありがとう。後は好きに過ごしてくれ。何かあったら近くのスタッフまで」


 ということでシュナは料理に向き直ってご飯を食べ始めた。


(えんがわ、えんがわ…)


 シュナは最近えんがわにハマっているのでえんがわをビールで食べていた。とろっとろの炙りえんがわは最高である。大トロみたい。


「シュナ、これも美味しいぞ」

「あ、うん、後で食べるね」


 アポロンがなんだか色々食べ物を勧めてくるので、それも黙々と消化している。すき焼きもよそってくれるし。どれも1口ごとに感動のあるご飯で飽きがこない。


 なんかどれも明らかにいい食材を使っていて、なんだか気がそわそわする。やっぱ金持ちなんだな…大谷○平とどっちが金持ちだろ。流石に世界さんかな…。億エニー無くなっても気づかないのかな。


 世界さんは飲むと少し笑いやすくなるらしい。


「飲んでるか?ははは」

「怖いねん世界さん!!光がない目で笑わんでもろて!!」


 世元は秋斗に肩を組んで酒を勧めた。絡み酒である。笑ってるのにどこか底冷えする声で秋斗は本当に泣きそうだった。いくら下層の秋斗といえど世界さんには敵わない。

 隣にいた鈴は慣れないビールをちびちび飲みながら、大好きな秋斗を応援していた。普段はカシオレとか甘いお酒しか飲まないのだ。

 間近でみる世界さんに目をキラキラさせる鈴。


「世界さんの名前とか時期に四字熟語になりますよね。閻魔大王、冷酷で怖くて時折ドジでとても尊いの意味とかで」

「鈴は面白いな」

「はわわわ…!」


 最近鈴を見る目が姪っ子を見るような気持ちになっている世元。ついついお年玉とか渡してしまったし。


「梅千夜、1発芸」


 世界さんがおもむろにそう言う。視線すら向けずに言い放った。


「あ〜出たのだよ世界さんの悪ノリ、毎回これの為に頭をひねらす身にもなって欲しいのだよね」


 渋々と言った風に立ち上がる梅千夜に、酔った男神共が色めき立つ。梅千夜が立ち上がる拍子に、雀茶色の髪の毛が揺れる。シュナには、その後ろ姿が大きく見えたのであった。長年世界さんにダル絡みされている者だ、面構えが違う。面構えというか背中が。


「謎かけをするのだよ。スープとかけていい夢とときます」

「「その心はー?」」

「どちらもさめてほしくないでしょう」

「「おーっ!!」」


 拍手が起こった。上手い謎かけであった。


「俺も俺も〜!!料理が下手な人とかけましてー!白ヰとときます!」

「「その心はー?」」

「どちらも毒物を作るでしょう!」

「下手くそー!」

「やめちまえー!」

「くすくす」


 下手な謎かけも飲みの場では笑いの種になるのだった。


 異折は会場を夕鶴と一緒に走り回っていて、白ヰはその隙に異折と夕鶴のコップに毒物を入れていた。犯罪である。


「あ、俺ちょっと煙草いってくらァ」


 銀千犀(ぎんせい)も煙草休憩に外に出たので、銀千犀のコップにも毒物が仕込まれた。犯罪である。


 会の途中で、ビターチョコレートケーキが出た。世元も別に甘いものは食べられるが、ビターな方が好みである。


「「はっぴばーすでーとぅーゆー!」」


 酔ってノッた男神達が大声で歌を歌いながら、世元を祝う。4つくらいのケーキに蝋燭を立てて、真っ直ぐ並べて世元が一気に火を消した。見事な肺活量である。


 ビターチョコレートケーキは、ナッツと苺がいいアクセントであった。チョコの甘さと苺の酸っぱさがよく合う。スポンジはふわふわ、クリームはとろとろ。チョコも美味しくて、いいケーキだった。


「お腹いっぱいだなー」

「もう食べないのか?シュナ?」


 アポロンは両手に料理を持ちながらシュナに首を傾げる。どうしてそんなに私にご飯を食べさせたがるのだろう。


「も、もういいかな。ありがとう」

「そうか…」


 アポロンは散歩をキャンセルされた犬のようにしょんもりしてしまった。適当に抱きしめておく。そうすると尻尾をブンブンするように喜ぶのだから可愛い。


 その後は談笑しながらお酒やジュースを飲んでいた。


 謐華(しずか)ちゃんが途中裏から出てきた。


「あ、ども…料理運ぶの手伝ってました…」


 話し方は頗る陰キャだが仕事は出来る謐華。ご飯を食べるために休憩を貰ったらしい。


「あ、世界さん…プレゼント…どぞ…」

「ありがとう。中身はなんだ?」

「えと…




…ピュアキュアのフィギュア…」

「「ぶっ」」

「あっはははは!!!」


 世界さんにピュアキュアのフィギュア…??その場にいた誰もが耳を疑ったし、何人か吹き出した。あまりにも似合わない。


「ほらな、シュナ。こんな奴もいるんだ、お前が何を送ろうと怒れたものじゃない」

「す、すごいセンスだね…」

「シュナ、クマのぬいぐるみでも良かったかもな」

「お前俺にクマのぬいぐるみ送ろうとしたのか??」

「あ…あとその下にルイ・ヴィトロンのハンカチ」

「ルイ・ヴィトロンのハンカチを台座にするな」

「そっちが本命?」

「え?いや、ピュアキュアのフィギュアが本命だけど…面白いし。」

「分かってて贈ったのかお前。…まぁいい、ありがとう。有難く受け取っておく」


 世界さんは少し微妙な顔をした後、スンっとして感謝を告げた。

 とんだジョーカーが来たものであった。


 そんなこんなで楽しい宴はゆっくりと終わりに向かった。世界さんがマイクをとる。


「宴も(たけなわ)だが、そろそろ会を終わりにしようと思う。準備してくれた方、手伝ってくれた方はありがとう。お前ら、寒いから風邪ひかないようにしろよ。今日は来てくれてありがとう。じゃ。お疲れ様」

「あざしたーっ!!」


 挨拶をして、会は終わった。


「いっぱい飲んじゃったな〜」

「シュナは酒に強いんだな」

「えぇ〜?うん、確かにそうだね」


 頬が火照っているが、あまり普段と様子が変わらないシュナ。


「じゃ、転移門で帰るからまたね!」

「おう。またな」


 シュナは家に帰って、楽しかったなぁと思いながらお風呂に入って寝る支度を整えたのであった。


 世元界司こと世界さん、誕生日おめでとう!いい一年にしてください。


実際クマのぬいぐるみを出したら世界さんはどんな反応をするのでしょうか。シュナに対してだったら、

(あぁ色々考えたんだろうな…こいつちょっと馬鹿だから変な方向に走ったんだな…)

と慈悲をくれて怒らないと思います。

一般人のファンに渡されたら、怒ります。

「馬鹿にしてるのか?」

ファンサです。人の贈り物で本気で怒るタイプでは無い気がする。

なぞかけは適当に調べました。

最後までご覧下さりありがとうございました!

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