あけましておめでとうございます!
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。皆様の1年が素敵なものとなりますように。
去年なろう以外にいろいろ投稿したりしたんですけど全く続いてないのでそちらはご覧頂かなくても大丈夫です。内容同じですし。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
シュナ宅の玄関には門松を飾ってある。年神様、来るのかな。
朝起きたシュナ達はお雑煮を食べた。お花の形にくり抜かれた人参と大根の乗ったおぞうにである。醤油味。
メアリーが餅をびよーーんと伸ばしているのを尻目に、シュナは大きなお餅を欲張って、大きなお口で一口で食べた。
(あ、まずい)
しかしそれはマズイ。
思わず急いで食べてしまったが、これでは喉に詰まらせるかもしれない。シュナは口の中で小さくちぎって少しずつ食べ始めた。餅は口いっぱいに頬張ってはいけないのに。
「シュナお嬢様!そんなに口いっぱいに頬張ったら喉に詰まらせちゃうのです!」
「ほぉなの…だから今ちょっとずつちぎって食べてるの」
「まぁシュナ様なら詰まらせても死なないわよね。羨ましいですわ」
「うん」
もちもちイェッイェッ(ちい○わ)とお餅を食べた。
「ゴホッゴホッ」
「オリエンス!?急いで食べるからそうなるんですよ」
「大丈夫?神力で取り除く?」
「だ、大丈夫だぜ。危ねぇ、詰まらせそうだった」
「命の危険と隣り合わせだな」
侍のような渋い顔でお餅を食べるアメイモン。こんなめでたい日にそんな顔しなくても。
毎年沢山の死者を出しているお餅。クリスマスには冷凍七面鳥をそのまま油につっこんで爆発して火事になる家も多いらしい。皆気をつけよう。
食べ終わったら、振袖を着て元祟り神の神社にお参りに行った。シュナは青色の振袖を着た。パイモンは赤、メアリーはピンク。男性陣も髪色を渋くしたような着物を着ていた。
鳥居の前で、2礼2拍手1礼である。次に手水場で手と口を清める。神社の前まで行くと、おもっそうを貰えた。お赤飯である。
そしてお賽銭を投げて、また2礼2拍手をして、お願い事をする。
(平和で楽しい一年になりますように!)
シュナはそんなお願いをした。一礼する。
「よし!御籤引こう!」
「はーい」
ガラガラガラガラ。んぴょっ。
棒が出てくる。13番。
「13番、13番…あった!」
紙を開く。今年の運勢は…
「小吉。うん。無難だね」
可もなく不可もなく。
ガラガラ。神社の扉が開いて神が出てきた。
「あっ!久しぶり!」
「久しゅう、シュナ。息災か?」
「元気だよー!わざわざ出てきてくれてありがとう!」
「構わん。そなたも神だからな。それより、そなたに悪い運の流れが見えたのだ」
「え"っ」
なんと。新年早々嫌なことを知ってしまった。
「開運の兆しは…世元界司こと世界さんに相談すること」
「分かった!そうする!」
「幸運を祈ろう。では」
そう言って神社に戻って行った。世界さんに相談ね。忘れずにしなければ。
お守りも買った。ノーマルタイプのやつ。
メアリーちゃんがピンクの恋のお守りを買っていたのが可愛くてキュンときてしまった。
「へへ…唯理有さんと上手くいきたいのです」
「上手くいくよ〜!唯理有もメアリーちゃんもいい人だもん」
温かい気持ちになったのであった。
写真もちゃんと撮った。折角振袖を着たからね。
その後家に帰った。
ピンポーン
チャイムが鳴った。
「ん?こんな新年に誰だろう?」
不思議に思いつつ玄関まで行く。
扉を開くとそこには、身長の小さい白菫色と淡藤色の髪をした少女が出てきた。ウェーブのかかったボブくらいの長さだ。目は桔梗紫色。紫の振袖を着て髪も飾っている。皆さん誰だか覚えているだろうか。
正解は…
「ポペードール!」
そう、悪夢の神ポペードールである。ちゃちゃーん。メスガキみたいな性格のお子ちゃま先輩である。年神様が来る予定はないが、ポペードールは来てくれた。
「久しぶり!元気してた?」
悪戯な笑みで腰に手をあてて、にししと笑う。
「元気だよ〜!久しぶり!ポペードールも元気だった?」
「もちろん!色んな人に悪戯するのが捗った1年だったわ!あけましておめでとう!今年もよろしくね!」
「あけましておめでとう!よろしくね〜」
きちんと挨拶をするので偉い。
「ところで、何の用?」
「え?分からない?アレよアレ!子供に渡すといえば!」
「え"っ…まさか…お年玉貰いに来たの?」
「せいかーい!ほら!早く渡しなさい!」
「えー…分かったよー…ムーサの下4人にも渡すのかな…」
こんな図々しい可愛げのないお子様がいるだろうか。まぁシュナはよく稼いでいるので渡す分には悪くは無いのだが。
「はい、お年玉」
「えっ2万エニーもくれるの!?!?あんたってホント良い奴ね!!」
「まぁお世話になってるし…今年もよろしくね」
「あぁ、そうね!確かに世話してやった気がするわ!」
全くクソガキである。
「そうだ、アンタ、私の家の庭で羽根つきやる?ボッコボコにしてやるわよ!」
「いいよー!墨と筆持ってくね!あ、先にムーサの家寄ってっていい?お年玉渡さなきゃ」
「いいわよ!じゃあ家で待ってるわね!」
「…ん?見て、隣に蛇がいるよ」
「げえっ!へび!?」
なんと、玄関に干支の巳がいらっしゃったではないか。緑色の蛇である。この辺の、ルツェルンの種なのかな。
「ポペードール蛇苦手?」
「あんまり得意ではないわね。その時にもよるけど、怖いわ。シュナは?」
「私?私はまぁ好き…かな…?どっちでもないかな」
蛇が挨拶に来てくれるなんて嬉しい新年である。
お辞儀してみると、蛇も擡げた頭をお辞儀してくれた。
「あら、いい子じゃない」
「可愛いね」
何の話?とでも言いたげに首を傾げた後、もう一度お辞儀をして蛇は出ていった。
悪魔達に行ってくるねと伝えた後、ムーサ達の家に行った。
「こんにちはー!」
「あら、シュナじゃない。どうしたの?」
「うちの子達にお年玉くれるのですわ?」
「わー、シュナ良い奴ー」
「ねねっ!シュナお姉ちゃん!誰からくれるの?」
4女タレイアちゃんがきゅるきゅると期待した目でこちらを見る。
「それはね!タレイアちゃんから下の子達!」
「シュナ!私達にくれるの!」
「くれるのくれるのー?」
「あげるよー!」
「やったー!」
エラトー、ポリュムニアー、ウーラニアーが手を上げてくるくる回って喜んでいる。
「はい、どうぞ」
「「「ありがとー!!」」」
きちんと2万エニー渡した。
「わ!ポリュムニアー!2万エニーも入ってる!」
「やったやった!」
「大事に使うね!シュナ!」
「はーい。じゃあねー!」
「「「またねー」」」
無事お年玉を渡せたのでポペードールの家に向かった。
「あ、来たじゃない。準備できた?始めるわよ!」
「うん。実は私あんまり羽根つきやった事ないんだよね」
「へぇ!それはいい事を聞いたわ。この勝負、私の圧勝ね!」
「やだなー、頑張らなきゃ」
「いくわよー、それ」
「やっ!あっ…」
掛け声虚しく、シュナの羽子板は空を切り、羽は地面に落ちた。
「きゃはははは!ざーこざーこ!落書きするわよ〜」
「うー」
シュナはほっぺに○をかかれた。
「負ける訳にはいかないよ!」
(サタナ!ポペードールぼこぼこにして!)
『承知いたしました』
シュナの目の色が変わった。なんだか鋭く真面目な感じになった。
「なによ、やる気になったって結果は変わらないわよ?ふふーん!」
「いいから、いくよ!それっ」
「ほっ」
「よっ」
「あら、上手く、なった、じゃないっ!」
羽根つきしながら話すので途切れ途切れになる。
「あっ!」
遂にポペードールがミスをした。
「うわーっ最悪ー!」
「やーい!」
(ナイスサタナ!)
『当然です』
ポペードールのほっぺには✕を書いてやった。
その後も私の、というかサタナの圧勝。私の素の実力ならボコボコにされていたことだろうが。サタナも私の力なので私の勝ちである。
ポペードールの顔は墨で落書きだらけになった。
「むきーっ!なによいきなり上手くなっちゃって!ズルしたんじゃないのー!?」
「ギクッ…してないよ!」
「ホントでしょうねー!!もー!」
地団駄を踏んでポペードールは悔しがった。
「まぁお年玉渡したしチャラじゃない?」
「それはそうね。許してやってもいいわ!」
ふん!と墨だらけの顔を逸らす。
その後ポペードールの家で顔を洗って、お家に帰るのであった。
「また来るのよ!」
「うん!またねー!」
(あ!異折ちゃんにもお年玉渡そうかな)
黒の神の幹部、異折ちゃんである。暴走の神なだけあって暴れん坊な子だが、なんだかんだ縁があるのでお年玉を渡しておこうと思う。
黒の洋館に転移門で行って、地下に降りる。
異折のネームプレートが掛かった扉をノックする。
「なにー」
中から水色と白色の混ざったツインテールの女の子が出てくる。異折ちゃんである。
「あ!シュナじゃん。あけおめ、ことよろ!」
「あけましておめでとう!今年もよろしくね」
こんな穏やかな会話をしているが殴りかかられている。仲良くなってもこれは変わらない。
「これ、ねっ!お年玉!」
「えーっ!!お年玉くれんの!ありがとう!」
お年玉を出した途端ビタっ!と止まって喜んでくれる。子供らしくて可愛らしい。
「またきなよ!シュナ!」
「うん!今度ご飯行こうねー、またねー」
パタム。扉が閉まる。よし。
(あ、そうだ。アポロンの家にも行こう)
新年の挨拶は大事である。折角振袖も着たので会いに行こう。
「こんにちはー!アポローン!」
「お、シュナ。あけましておめでとう。今年もよろしくな」
「あけましておめでとう!今年もよろしくね」
「にしても振袖似合ってるな。写真撮っても良いか?」
「いいよー!」
アポロンの家にも立派な門松が立っていた。そこの前で写真を撮ってもらう。
「新年っぽくていいな」
「でしょー!」
アポロンが優しく笑う。
(ホーム画面にするか…)
季節感のある、愛しい恋人の写ったホーム画面になる。
「もう帰るのか?」
「うん!帰って書き初めしたいんだよね」
「そうか。何書くんだ?」
「迎春!」
書き初めで何を書こうかと思って天界のスマホで調べたのだが、勝負とか挑戦とか飛翔とかが出てきた。そんな挑戦的な一年にする気はないので、穏やかに"迎春"にしておいた。
帰ってから、着替えて書き初めをした。シュナの習字の腕はそこそこである。ペンで書く分には上手いのだが。ちなみに文字は日本語で書いた。
"迎春"
アスモデウスが緊張した面持ちでこちらを見ているので私も緊張した。
「よしっ!」
そこそこ上手く書けた。
「なんて書いてあるのですか?」
「迎春!」
「なるほど。私も日本語を学びたいですね」
「難しいからねー、大変かも。サタナに頼もうか?先生してって!」
「そうですね。また時間がある時に師事していただきましょう」
『承知いたしました。きちんと教えておきましょう』
頼もしい限りである。
お昼ご飯には、おせちを食べた。乗っているおかずは、伊達巻、黒豆、蒲鉾、海老、栗きんとん、数の子、etc。
日本にいた頃はこの時期は親戚と集まって、すき焼きとお寿司とおせちなんかを食べていたのを思い出す。
(全知全能の神になったし、家族に会おうと思えば会えるな…)
まぁでも自分は1度死んだ身だから、会わない方がいいか。第2の人生を大事にしよう。シュナはそう思い、独り頷いた。
そんな感じで一日の用事は終えたのであった。
タレイアのシュナの呼び方をシュナお姉ちゃんにしました。




