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神様にお任せ!!  作者: 砂之寒天


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年末のシュナ達とパイモンの歌合戦

パイモンの歌った曲の元ネタは椎○林檎の「罪と罰」です。勝手に最優秀新人賞に選びました。因みに11年前の曲です。

救急車はないので救急隊が走る時にサイレンを鳴らしながら走ることにしました。

追記:ルツェルンには車はありませんが天界には空飛ぶ車があります。

 年末の歌合戦にはパイモンが出る。シュナ達もチケットを勝ち取って、会場で生で観覧することができた。地上波である。


 会場に行く前、夜ごはんには年越しそばを食べた。そばの香りが高い、美味しいお蕎麦である。ちょっと良い所で仕入れた。天麩羅も買った。この季節は柿の天麩羅があって、甘くとろけてとても美味しい。


「やっぱり年末はお蕎麦だよねー!」

「なのです〜」


 蕎麦を啜ってご満悦のシュナ。神なので不老不死だが、細く長く生きられることを願おう。何か不測の事態があるかもしれないし。ないといいんだけどね。


 会場までは、日の暮れた暗い中徒歩で行った。ルツェルンの城の近くにあるのでそれ程遠くは無い。


 会場は混みあっていた。やはり年末の歌合戦は席も多いし人気なのだ。

 席に座る。前の方の席をとってあるので、舞台がよく見えた。


 放送が始まった。司会者がお話をして、さっそく歌が始まる。


 初めは正統派アイドル。キラキラの衣装を着て可愛い振り付けを踊る。皆顔が整っていて可愛らしい。シュナのタイプだ。


「君の一番になりたいんです!」

「キャー!!!」


 シュナも手を振ってはしゃぎまくった。可愛い子達が生で見れる!声も衣装も踊りも可愛い。メアリー達がいるので私の1番には出来ないが、ランクインはする可愛らしさであった。推せる…!


 続いてはpop系のアーティスト。恋愛ドラマの主題歌を歌ったらしい。


「どれ程遠くにいたとしても、君を思い続けるよ」


 今年はお店とかでよく聞いた曲だったなーと思いながら、感慨深い気持ちで聞いている。


 次はアニメの主題歌。ラップ系の曲である。子供から大人まで幅広い層に流行った曲であった。


「清楚!清純!あらやだもうね!可愛いことこの上ないですそうね」


 ノリノリで聞いた。ちなみにシュナはちょっとだけこの歌が歌えるので、家で歌ってイキっていた可愛い出来事がある。


 次はマルチクリエイターの方が作った曲。動画配信サイトで1億回再生を突破した曲だ。


「ビリビリダンス、ビリビリダンス、踊れ!」


 シュナはあまり聞いてなかったのだが、サビは癖になる感じでとてもいい曲だった。


 そして遂に来た、パイモンの出番。

 パイモンはドレスを着ている。巻かれた赤髪に似合う赤いドレスだ。綺麗なボディラインが強調されていて、とても色っぽい。

 どこから見ても光り輝く程の美人で、他のアイドル達にも負けていない。シュナは上司バカなので、顎に手を添えながらパイモンが1番だな…と思っていた。


 今回歌う曲は、「罪」。ダウナー系の曲で、最優秀新人賞にも選ばれている。


 曲が始まる。

 救急隊が道を走る時に鳴らすサイレンの音が鳴る。それは死にかけの病人のような生き様を暗喩しているのか、助けを求めていることを暗喩しているのか。


「頬を差す、朝の眩しい光、煙草の空き箱を捨てる」


 ゆっくりと始まり、高い声がよく伸びて響く。


「いつも通り、足の踏み場はない、小部屋が憂鬱を甘やかす」

「こんな悲鳴を好きにならないで、未来など知らない、確かなもの、今だけ重ねて」

「私をその声で呼んで、体を触れて、必要なのはそれだけ、と知って」


 しっとりしんみりした曲だ。怠惰な罪を歌った曲。


「愛している 一人喚き散らかして、夜道で遊んでも虚しい」

「トンネルの安蛍光灯は、私らの影すら落とせない」


 怠惰に絡みつかれて離れられない悲鳴のような、片付けていない部屋の中情事だけでお互いを慰める惨めさのようなものが感じられる曲だ。それを認めて欲しいと思う虚しさ。


「1番愛しい、君の心音さえ、掠れさせていたのだろう」


 わざと声を掠れさせて歌うのが、汚く美しく喚いて叫んでいるように聞こえて味がある。


 パイモンの歌声は表現の幅が広い。透き通る透明な空の様な歌声から、血の色のワインのようにどろりと濃厚で深みのある声までこなし、デスボイス、掠れた声、がなり声など、どんな歌い方もこなしてしまう。


 今日の歌声は爽やかさも残しつつ、しっとりとしている。しかし巻舌も使った少しの荒々しさもあって、少し投げやりで雑な感じがいい。


「Ah…」


 気持ちよく伸びた声が掠れて、曲が終わる。

 大拍手であった。

 パイモンの声は共感性が高くて聞いていて気持ちが昂る。今回はタンクトップを片方の肩だけ落としていそうな、ボサボサの洗っていない髪と落としていない化粧のされていそうな怠惰で荒れたダウナーな気持ちが皆の心に残ったのであった。


「めっちゃエモかった…」

「パイモンは流石ですね。我が君に会ってルツェルンの歌手になったのは正解でした。流石我が君です」

「そこで私を褒めるんだ」

「我が君の支えがなければパイモンは歌手として大成していなかったでしょうし」

「俺もその節はお世話になったな!今でも修行中だが」


 過去にサタナに仕事のアドバイスを貰った時の話だ。皆右も左も分からない頃に、サタナと協力して就職して働いていたのであった。


 その後も外国の友好国のアイドルとか、40人くらいでグループになっている女の子グループとか、演歌歌手とかが歌っていた。

 演歌歌手も上手いなーと思ったが、やはり歌唱力もビジュは1番はパイモンだろう、と私は思う。上司バカなので。


 歌合戦の勝敗の行方は。


 パイモンのいたチームの勝利であった!


 歓声が上がる。やっぱり応援してるチームが勝つと嬉しいものである。


 その後、ついに始まった、2025年へのカウントダウン。ワクワクが高まって、興奮している。


「3!2!1!」


 皆で声を上げてカウントすれば、遂に2024年は終わり、2025年が幕を開けた。


「わーっ!!」

「今年もよろしくお願いします」

「あっ!うん!今年もよろしくね!」


 左右にいる悪魔達から口々に挨拶を受けるので、こちらも挨拶を返す。


『いやー遂に新年ですね!皆さん今年はどのような年にしたいですか?』

「私は楽しい年がいいなー」

「そうですね。我が君の思うがままの年になるといいと思います」

「鍛治の腕が上がるといいな!」

「丈夫な家を沢山作りたい」

「お菓子いっぱい作りたいのです〜あと唯理有さんとより仲良くなりたいのです〜!」

「僕は旅行に沢山行きたいですね!遠くの国にも」


『パイモンさんはどのような年にしたいですか?』

「そうですわね…もっと沢山の人に(わたくし)の歌を届けたいですわ。沢山の人に魅力的に思われたいんですの」

『いいですね〜!パイモンさんは魅力的ですからね、叶うと思いますよ』

「ふふ、ありがとうございます」


 そりゃもう、パイモンの魅力に皆メロメロだろう、と思った。今年は外国でも活動して有名になって欲しいなと思う。


 そういう訳で歌合戦は終わった。どこかで除夜の鐘が鳴らされる。


 席を立って帰路に着いた。


「明日は、ていうか今日は祟り神だった神様の神社に参拝しに行こうね!(13話)」

「そういえばそんな神様もいましたね!」

「最近は行っていませんでしたね」

「同じく」

「俺も久しぶりだな」


 皆頷いている。


「因みに私とメアリーちゃんは悩み事があるときとか一緒にお参りしに行ってたよ〜」

「そうなのです。聞きたいことを考えながら御籤を引くといい答えが返ってくるのです」

「へぇ、メアリー…我が君と2人きりで…ずるいですね」


 アスモデウスが怖い顔をしてメアリーを見る。


「わ、怒らないで欲しいのです><アスモデウスがどっか行ってる時にばっかり狙って誘ったことなんて知らないのです、はわわ」

「確信犯じゃねぇか」

「僕も羨ましいですね」

「まぁまぁ!明日はみんなで楽しもうよ!着物着てさ!」


 アスモデウスがムスッとしてしまった。因みに着付けてくれるのはアスモデウスである。意外な特技である。


「着物の着付けってどこで覚えたの?」

「ふ、このアスモデウスに出来ないことはないのですよ」

「シュナ様の役に立ちたくて特技増やすために色んな稽古行ってたの知ってるぜ?」

「ちょっと!それは秘密の話ですよ!!オリエンス!」

「え!そんな嬉しいことしてくれてたの?ありがとう!アスモデウス!」

「わ、我が君が喜ぶのであればなんであれ致します」


 アスモデウスは胸を張った。少し赤くなっていて。寒いのかな。


「アスモデウス、寒い?赤くなってる!マフラー貸してあげるよ」

「いや、大丈夫ですが。…おや?このマフラーやけに温かいですね。我が君の体温が高いのですか?」

「ううん!アポロンの、太陽神の加護がかかってるんだよね!だから温かいの!『俺がいない時も寒くならないように』って言ってさ!」

「わーっ、アポロンさんカッコイイのです〜!」

「でしょ〜!」


 メアリーが手袋の着けた手をもふもふと叩く。


「僕もそれくらいスマートにカッコよくなりたいですね」

「アリトンもカッコイイよ!」


 この間のクリスマスパーティでもガブリエルの事エスコートしてたし。それにサーファーとか良い男って感じである。別の仕事もしてるんだけどね。サーフィンだけじゃ稼ぎが少ないから。


「あ、雪が降ってきた」

「綺麗なのです〜!ちらちらなのです」

「酷くなる前に帰りましょうね」


 アスモデウスの黒髪に落ちた雪が綺麗な結晶の形をしていた。


 雪は優しくふわふわと降っていた。冬って感じがする。これからもっと寒くなるのだろう。


 歩いてるうちにやがて家に着いた。


「お風呂入れてきますね。少ししたら入って温まってください」

「「「はーい」」」

「私も手伝うのです〜」


 その後雪で冷えた体をお風呂で温めて、ホカホカの状態でお布団に入って寝たのであった。

来年もよろしくお願いします。皆様良いお年をお迎えください。

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