クリスマスイブはアポロンと共に!
クリスマスイブの今日は、アポロンと一緒に天界のクリスマスマーケットを見に行く。
今日の服は、もこもこがついている水色のワンピース。寒いのに元気に足を出している。白いファー付きのロングブーツを履いた。
「シュナ、足寒くないか?」
「アポロンの近くだから暖かいよ」
アポロンの周りは暖かいのだ、太陽神だから。手を繋いでいると尚更暖かくなる。
「シュナ、これクリスマスプレゼント」
「わー!ありがとう!私からも、これどうぞ!」
二人はクリスマスプレゼントを交換した。
シュナからはちょっといい入浴剤とキャンドルライト、アポロンからはDioraのコスメ。プレゼントを貰えてお互い喜びましたとさ。
ちなみにアポロンにはむぽむぽぷりんのぬいぐるみも送ってある。届いたらそれと一緒に写真とってね、とメッセージ付きで。
会場に入ると、正面には大きなクリスマスツリーが立っていた。暗い中、ピカピカと光っている。
その奥に続く出店の通りも、綺麗にライトアップされていた。
「わー!綺麗だね」
「だな」
ちなみに今日は写真係として金髪美少女ミカエルがついてきている。なんかトナカイの鼻と角を付けていて、スタッフっぽい。少し後ろをついてくる。
写真はイヌスタグラムに上げようと思うのだ。
「ミカエル、よろしくね」
「はい、シュナ様」
大きなクリスマスツリーの前で、二人が笑っている写真が撮れた。
「シュナ、あそこでグリューワインとフランクフルト売ってるぞ」
「え!クリスマスマーケットっぽい!買おう!」
テッテレー。グリューワインとフランクフルトを手に入れた。ちなみにミカエルもさらっとご馳走になっている。
「あったかぁい」
「スパイスが効いていて美味しいな」
「美味しいです…もぐ」
にしても、美男美女が並ぶとそこそこ目立つ。アポロンの髪は淡く発光しているし、シュナもそれに合わせてオーロラ色に淡く発光させているので、尚更目立つ。
「あれアポロン様だ…かっこいいなぁ」
「隣にいるのは彼女さんかな」
噂もされる。シュナはなんとなく、みんなにかっこいいアポロンが見られるのが嫌で隠したくなった。
「アポロンってさ…なんか目立つよね」
「そうだな。どうかしたのか?」
「みんなにかっこいいアポロンが見られるのやだなーと思って…」
「嫉妬か?可愛いやつ」
「うー」
アポロンがシュナのほっぺをもちもちして可愛がる。長いくるんとしたまつ毛が伏せられて、シュナは唸っていた。
「でも俺も本当は可愛いシュナを皆に見せたくないぜ」
「そうなの?」
「おう。でもそれじゃシュナが困るから、我慢してる」
「ふーん」
まぁじゃあおあいこなのかな、とシュナは思った。
「もちもちプレッツェルもある」
「ホットチョコレートもあるな」
「あ!見てみて、バスクチーズケーキあるよ!!」
「全部食べるしかないだろ」
「わーい!!」
シュナは食べるのが好きなので大変喜んだ。
「プレッツェル、バター効いてて美味しい〜!もちもちだし」
「ホットチョコレート、程よく甘くて美味しいぜ」
「バスチーもとろとろで美味しい…!幸せ…」
「それはなにより」
幸せそうなシュナを見ていると、アポロンも心が暖かくなって幸せな気持ちになるのであった。
ソリのフォトスポットもあった。サンタさん気分になれる。
「映えるね〜!!」
「顔もいいしな」
「自信満々でいいね」
ドヤ顔のアポロンがかわいいのだった。
「あ、見て、ニットが売ってる」
「雪だるま柄か。かわいいな」
「買う?」
「いいぜ」
雪だるまがでかでかと載っているもの、ソリに乗ったサンタさんがこれまたでかでかと載っているもの、トナカイの顔がど真ん中に印刷されているものの3つを買った。
「絶妙にダサいのが可愛いね」
「そうだな。癖になる」
今夜寝る時にでも着ようと思った。
すると突然…
「キャーッ!!」
叫び声が聞こえた。振り向いたら、目の前に迫る車。シュナの心臓がひゅっとなり、凍りつく。
アポロンは咄嗟にシュナを片手で後ろに下げ、
バキャン!!!
車を思い切り殴りつけて壊し、停止させた。
「はっ、はっ、はっ」
「シュナ、大丈夫か?手荒になって悪かった」
車は横が半分くらいの大きさに小さくなっている。殴った衝撃で縮んだのだ。中の人は無事だろうか。
シュナはびっくりして息が荒くなっていた。
「こ、怖かった…」
「そうだよな、よしよし」
アポロンに抱きついて、震える体を抑えた。別に車がぶつかってもシュナは死なないのだが、怖いものは怖いのである。
「これ、中の人潰れてないか?」
「えっグロテスク…」
アポロンが長駆を曲げて車の中を覗き込むと、中には潰れた天界の住人がいた。ちなみに天界に住んでいる人達に死ぬとかはないので、そこは大丈夫である。死んだ人間が住んでいるわけなので。
「だ、大丈夫ですか」
「大丈夫か」
「うーん」
アポロンが扉をバキャッと開けると、なんかもちゃもちゃぐちゃぐちゃした物体が転がり出てきた。
「な、治してあげるね」
若干引き気味のシュナが、神力をかけて姿を整えてあげる。
「ありがとうございます〜すみませんお酒飲みすぎちゃってぇ〜」
治してあげると、その姿は酔った女の人になった。
「警察に引渡しますね」
「あ〜すみませんでしたぁ」
近くにいた人が警察を呼んでいたので、その人はサクッと捕まった。多分天界を追放されて転生するか消失するか選ぶことになるんだろう。刑期もあるのかな。
幸い、出店の方に影響は無かったし、怪我をした人もいなかったらしい。よかった。
しかし楽しいクリスマスマーケットがびっくり仰天なホラーに変わってしまって、シュナはしょんぼりした。
「…シュナ…。」
「…」
「…あっ、サンタ」
「えっサンタさん!?」
しょんぼりしている所に、なんとサンタさんが登場した。
「ふぉっふぉっふぉ、サンタさんじゃよ〜」
「えっ本物!?すごいすごいっ!!」
白い袋を片手に手を振るサンタさん。シュナは大はしゃぎ。
「良い子にしとったかのー?」
「はい!さっき天界の人のこと治してあげたし、慈善活動も頑張りました!私の家の悪魔達とメアリーちゃんも!」
「ふぉっふぉ、そりゃあいい、楽しみに待っているといい」
「写真撮ってもらえますか!」
「いいよう」
ということでサンタさんと一緒に写真を撮った。シュナは始めてみる本物のサンタさんで、本当に嬉しかった。
アポロンは、シュナが元気を取り戻してくれて本当に良かった、と思った。
その後、クリスマスマーケットを端まで見て、雑貨を少し買って、おうちに帰った。
「今日はありがとう!メリークリスマス!」
「メリークリスマス。おやすみ、シュナ」
おでこにキスされる。
「あ!口にして!」
「ん?ふふ、分かった」
ということで口にキスして、おうちに帰ったのであった。
〜〜〜
その日の夜。
「ふぉっふぉっふぉ」
サンタクロースのおじさんが、シャンシャンと鈴を鳴らしながらやって来る。最近は煙突もないので家の中には入らないが、玄関にプレゼントを置いといてくれるのだ。
「良い子達の家はここかの」
シュナの家の前に来ると、ソリの上に乗った袋の中から、プレゼントを次々に出して、玄関に置いた。どうやら袋には拡張魔法がかかっているらしい。
「ふぉっふぉっふぉっふぉ」
良い子の欲しいものをどうやってリサーチしているのかというと、サンタさんだけの魔法の力である。良い子のいる家が分かるのも、サンタさんの魔法の力であった。
サンタさんは鈴を鳴らしながら、また次の良い子のいるお家へと飛んでいくのであった。




