メアリーのメイド喫茶と唯理有とシュナと妃花
前回の最後の会話文を訂正しました。
話中で出てくる商品や版権キャラなんかは微妙に名前を変えてるんですけど、今回のムレスニティーはそのまま調べたら元になった紅茶が出てくると思います。パッケージが面白いのでぜひご覧下さい。元ネタはメープルの茶葉です。文章は変えています。
悪魔達がアポロンに魔法少女攻撃を仕掛けている頃。
私は唯理有と妃花と一緒に、メアリーのいるメイド喫茶に行っていた。
黒の洋館に行った際、メイド喫茶の話をしたのだ。
今日の服装は、黒と白のツイードチェックのトップスと、黒のミニスカート。パールのクリップで横髪を留める。黒のブーツとバックを持って、バニラの香水を振った。
私が黒の洋館に迎えに来た。まず唯理有の部屋を尋ねる。前来た時に一人で来ても危険がなさそうだったので、一人で来た。え?霞央留と夕鶴がいただろ?気にしない気にしない。シュナにとってはあれは安全の範疇なのだ。呑気なのである。
唯理有の部屋のインターホンを押す。
中から、萌え声で「お客さんだよ〜!♡」と聞こえた。癖の強いインターホンである。恐らく唯理有か同室の誰かの推しであることが窺えた。
これ設定した時楽しかっただろうな…。インターホン、アニメキャラの声にしない!?とか言って。じゃあジャンケン勝った人の指定したキャラね…とか。毎回ランダムにしようぜ、とか。盛り上がりそうである。
「シュナ氏!お迎えありがとうでござる。」
「いいえ。はい、これグミとエナドリ」
紙袋に入った多量のグミとエナドリを渡す。事前にお菓子渡すねと伝えておいてある。
「ふほほっwこんなにwありがとうでござる。拙者からはデザートチーズでござる。ちょっと待ってて、取ってくるから」
唯理有は部屋の中に戻って、部屋に置いてあるAI付き冷蔵庫からデザート6Pチーズを取り出した。
このAIは優秀で、季節によって温度を調整してくれる。それから、付いているカメラが食材を認識してくれて、自動で消費期限の管理をしてくれる。また、作れる料理の案も出してくれる、など様々な機能が付いている。
「シュナ氏何味が好きかよく分からなかったでござる、レーズンとバニラとマロンと無花果にしたよ」
「どれも好き!!ありがとう唯理有」
笑顔で受け取った。家の冷蔵庫に転移させておく。
「妃花ちゃんの部屋に行こうね」
「おかのした」
唯理有も今日は秋服をバッチリ決めている。焦げ茶のチェックのテーラードジャケットとズボンがセットアップで、黒のシャツを着ている。前髪もチェックのヘアクリップで留めている。ちょっと可愛い。
高身長イケメンがまともな格好をすると様になるな。ウェーブの黒い長髪、通った鼻筋、切れ長の目。オタク言動を差し引いてもお釣りの来る美形である。オタクなのに陽キャだし。
妃花ちゃんの部屋に来た。
相変わらず可愛いピンクと白の扉と、ローズクォーツの取っ手。
「妃花ちゃーん、迎えに来たよー」
「はぁーい、今行くねー」
中から出てきた妃花ちゃん。
明るいクリームベージュの巻き髪。インナーとワンポイントにピンク色。今日は低めのツインテールにして、ブラウンのベレー帽を被っている。
服装は、チョコレートのようなブラウンのチェックのワンピース。フロント部分にフリルがあしらわれていて、ロリータ風味もありながらガーリーで可愛い。裾も2段のフリルになっている。
「どうぞ、紅茶マシュマロと、ムレスニティーの茶葉!」
「ムレスニティー?ありがとー!w…?待ってこれ超ウケるんだけどwwアハハハww」
「でしょー!!妃花ちゃん気に入ると思って!」
ムレスニティーのパッケージには、こう書いてある。
"アップルの森に行こうよォッ。
そうなのダニエルさんはね、陰気でぐちぐち同じことの文句を言っているジョニーと人の悩みを軽く見がちなサリーを誘ってアップルの森へ出かけたのです。
oh-それは…うん、その後でしょッ当たり前のようにジョニーとサリーはケンカになっちゃってダニエルさん持ち前の美味しい紅茶を2人に"まァ〜アンタ達、この紅茶でも飲んで、少しリラックスしたら"っていってティータイムしたのねェッ、このアップルの森っていうブランドで…そうしたら、3人でハッピーハッピーってなってねェッうれしかったのよォッ…ウフフ。"
「謐華とかも喜びそ〜、紅茶好きだし。妃花からは、スイートポテトチーズケーキ!シュナちゃんはチーズケーキ好きだもんねーw」
「わー!ありがとう!」
箱に入ったスイートポテトチーズケーキを貰った。美味しそうである。悪魔達とメアリーちゃんと食べよう。
「それじゃ、しゅっぱーつ!」
「しゅっぱーつ!w」
「出発進行でござる〜」
皆で拳を上げ、転移門で店の横に出る。
店に入ると、メアリーじゃない店員さんがこちらに来てくれた。
「おかえりなさいませ、ご主人様、お嬢様!」
満点の笑みでお出迎えしてくれる。
「ぬほほww最高でござるな」
唯理有が手を口に添えながら独特な笑い声を上げる。
メアリーちゃんは今裏にいるらしい。
「メニューはこちらでございます!」
「サンクス」
メニューに並ぶのは、恋のメラメラトマトオムライス、ドキドキスパイスカレー、メロメロパフェ、ハートケチャップオムライス、クリームもりもりパンケーキ。シャンパンにチェキ。
「じゃ、拙者は定番のハートケチャップオムライスで。チェキもお願いしますでござる」
「妃花はクリームもりもりパンケーキ!私もチェキ撮りますー!」
「私は恋のメラメラトマトオムライスで!メアリーちゃんにシャンパン1本お願いします!あとチェキも!」
「かしこまりました〜!!」
店員さんが裏に行って注文を伝えに行く。
「は〜、やっぱメイド喫茶はいいでござるな。天界でも行ったことあるけど癒されるでござる」
「だよね〜。私もメアリーちゃん応援したくてよく来るよ」
「肝心のメアリーちゃんまだ来ないねー?料理届けに来てくれるかなー」
「来てくれるんじゃないかな?あ、来たきた!」
「お、キタ━(゜∀゜)━!…ッ!!」
メアリーちゃんが注文を持ってこちらに来る。相変わらず精巧なお顔だ。大きなおめめ、長いまつ毛、ピンクのくるんとしたツインテール、細長い脚、フリフリのメイド服。きゅるんとしていて超可愛い。
唯理有はメアリーを見た瞬間息を止めて半開きの口のまま、メアリーを凝視した。時が止まったようであった。
「お待たせ致しました!ハートケチャップオムライスなのです!美味しくなーれの魔法をおかけしてもよろしいのです?」
「は、はひ、お願いしま、します」
「唯理有ー?話せてないよーww」
「唯理有珍しいね?そんな緊張するの」
唯理有は真っ赤になって、じっとり汗をかいていた。私は首を傾げる。
「いきますなのです〜、せーの、美味しくなーれ、もえもえきゅん!」
「もえもえきゅん…!」
「ありがとうございますなのです〜!美味しくいただいてくださいなのです♡」
メアリーが踵を返そうとすると、唯理有は声をかけた。
「ま、まって!」
「?どうかしました、ご主人様?」
「せ、拙者の。僕の、恋人になってくれないでござるか!?」
唯理有は立ち上がってメアリーに告白した。激震が走る。こ、こいつ、ヤバすぎる!!ぶっ飛んだ神だ。神だからぶっ飛んでるのか?それはタブーだろ。私が言えた話ではないが。
「うわーwオタクくんさぁ…w」
妃花はちょっと引き気味で唯理有を冷やかした。メアリーも驚いて固まっている。
「拙者、こう見えて天界で社長やってるよッ。電子機器にもアニメにもアイドルにも詳しいしっ、お金持ちだs」
「あー…当店そういうのは行ってないのです。ごめんなさいなのです」
汗をぴょこぴょこ飛ばしながら、困った顔で食い気味にメアリーは言った。
「ぐ、ぐぬぅっ!!!拙者、撃沈…。」
唯理有が席に座って机に突っ伏す。そりゃそうだ。
しかし、突っ伏す唯理有にメアリーがコソッと耳打ちする。
「そういうのは、シュナお嬢様を通してくれたら相手してやるのです。待ってるのです」
メアリーが助け舟を出した。唯理有はバッと顔を上げ、涙目で頷いた。お、これは脈アリか…?
「は〜、可愛すぎるでござる、完全に堕ちた…」
「びっくりした〜、いきなり何しだすかと思った」
「唯理有さ〜そういうのやめた方がいいよw」
ごもっともである。私も耳が痛い。
唯理有は心臓がドキドキして、全身が熱くて、世界が少しキラキラと明るく見えた。瞳孔が開いてるのだ。
「これは脈アリかどうか、正直に教えて欲しい。忖度はいらない。好きではある、でござる」
「うーん、ナシではないんじゃないかな」
「出会いの場じゃないんだけどねーw」
最近流行りの構文で、ゲンドウポーズをした唯理有が小声で囁く。私達も小声になって、評価を話した。
その後メアリーちゃんが他の注文も持ってきてくれて、一緒にもえもえきゅんをした。
シャンパンを頼んだので、コールが行われる。
「一緒にお願いしますなのです!せーの!萌え萌え、きゅんきゅん、大好きマイラブお嬢様!準備が出来たら、せーので乾杯!」
「「「乾杯!」」」
他のメイドさんも一緒にコールを行った。楽しい。
その間も唯理有の視線はメアリーに釘付けだった。そんな見つめたら穴が空いてしまう。メアリーは見つめられることに慣れてるのか、飄々と楽しそうにコールを行っていた。あれ程可愛いのだから、納得のいく話である。
「妃花ちゃん、パンケーキ食べれてよかったね!」
「うんー!妃花の好きなクリームもりもりのパンケーキ!美味しい〜!結構いいの使ってない?ここ」
「美味しいでござるな!腕がいいでござる」
そう、ほんとにここの料理は美味しい。トマトの甘みと酸味、トロトロの卵、食べ応えのあるケチャップライス。食べだしたら止まらない。
食べ終わったらチェキの撮影である。
メアリーちゃんと唯理有が並ぶ。
「近い近い近いでござる!!やばい拙者死ぬかも神なのに」
「ハート作ってくださいなのですー」
メアリーの対応はあくまでメイドとしての態度を崩さない。動じないメアリー、流石である。対して唯理有は真っ赤になってちっさくなって胸の前で両手を握りこぶしにしていた。甘くていい匂いがする。肌の温度が伝わっている気がして辛い。心臓の音すら聞こえてしまいそうだ。
「はい、萌え萌え!」
「キュウ゜」
「なんかすごい音したのです」
「ありゃりゃ、唯理有が溶けちゃった。なむ…。」
「唯理有〜ww」
撮ったチェキにはメアリーちゃんがイラストを描いてくれる。猫ちゃんとハートのイラストだ。
「か、か〜わ〜い〜い〜でござる〜!!好きな子の手書きイラスト…家宝にします」
「良かったね〜w唯理有」
続いて妃花ちゃんもチェキを撮った。
「はい、萌え萌え!」
まるでアイドルの写真会である。実際妃花ちゃんはアイドルなのだが。顔面偏差値が高すぎるね。キラキラしてて眩しいや。カフェのお客さんも並ぶ2人を見ていた。
続いて私の番が来た。
同じくハートを作って、チェキを撮る。メアリーちゃんと写真を撮るのは慣れたものだが、やはり記念になると思うのだ。
お会計をして、カフェを出た。
「そ、それで〜…メアリー氏の連絡先教えて貰えるでござるか?」
「うん!これだよー。また今度デートするの?」
「ふひひ、誘うでござる。いいお返事貰えるといいなぁ…。」
「妃花びっくりー。メアリーちゃんみたいな人もいるんだね」
「メアリーちゃんはその辺緩いみたいなんだよね。まぁ私達だからだと思うけど」
「ふーん、変なのに捕まらないか心配だなー」
「拙者が守るから、大丈夫でござる」
「唯理有が?それじゃあ大丈夫か。まぁ唯理有が危ないかもしれないけどーw」
「な、なにをう!手は出さぬわ!拙者紳士ゆえ」
因みにこの時点で唯理有は既に、メアリーに透明なドローンカメラを付けている。唯理有は瞬間転移が出来るので何かあったらすぐ駆けつけられるようにしてあるのだ。
唯理有は喧嘩は弱いが、銃をもっている。狙撃の腕はいいので、その場合はまぁ銃を使うことになるだろう。神なので若干治外法権である。黒の神らしいと言えばそうかもしれない。
その日はとりあえず転移門で家に帰った。その後あんな事になるとも知らずに…。楽しい気分でチェキ片手に、私達はルンルンで家に帰ったのだった。
唯理有がやってることは大分やばいので妃花ちゃんのツッコミで中和しています。




