幕間 ハッピーハロウィン!①
どっかでやった仮装が入ってないか心配です。もう覚えてないんだ…。
本日はハロウィン。シュナ宅の皆もハロウィンパーティーを行う。
ハロウィンと言えば仮装。そしてお菓子を貰うことである。今日はお菓子も揃えたパーティーを行う。
ハロウィンの曲を流して気分は上々である。怪しく楽しい雰囲気が会場を包む。
リビングもハロウィンの飾り付けを行った。ジャック・オー・ランタンに、布の蜘蛛の巣。紫と黒のモール。蝙蝠やお化けの飾り。
「お邪魔するにゃー」
「お邪魔します」
「いらっしゃい!!」
サーニャとケインも来た。ハロウィンのお菓子も追加で持ってきてくれている。
仮装は、まずシュナ。シュナは猫耳ホワイトシスターである。シュナ教の教祖らしい、聖職者らしい神々しさと清楚さが溢れ出ている。シスターは神に使える立場だが、まぁ雰囲気は同じである。フィーリング。
「我が君、はぁはぁはぁ、実に尊いです…!!!」
アスモデウスは興奮して真っ赤になっていた。そして両手を口に添え、涙しながら上を向く。
「あぁ、生まれてきて本当に良かったです…我が君と出会えた奇跡に感謝します…」
そう大袈裟に喜んだ。
「悪魔は浄化される立場だと思うけど、いいの?」
首に下げられた宝石のネックレスを摘んで、挑発的に笑うシュナ。
「いいのです。我が君の聖魔法…思えばあれは甘美な痛みでした」
「そっか…」
シュナは力が抜けた。アスモデウスの特殊性癖は置いておこう。
メアリーは血まみれナース。廃病院を闊歩していそうなおどろおどろしい雰囲気となっている。
「猛毒注射しちゃうのです!お薬の時間なのです〜」
紫色の液体が入った注射を持ち、にっこりと笑うメアリー。
「メアリーの毒は弱そうだな!」
「ムキャッ!!そりゃ悪魔には効きづらいかもなのです…」
事実オリエンスは悪魔なので人間より毒に強い。
「パイモンが受けてくれますよ」
「左様」
パイモンは悪魔としては比較的毒に弱い。魅了特化なのだ。
「えっ!!ま、まぁいいですわよ」
「押しに弱いにゃー」
「だな」
優しいパイモンである。
パイモンは警察。セクシーで危うげな雰囲気の警察である。
「逮捕ですわよ♡」
「きゃー!!!してして!!」
シュナは両手を差し出して頭を下げた。
「えっ…はい!逮捕♡」
超積極的なシュナに一瞬引いたパイモンだが、すぐ切り替えて手錠をシュナにかけた。
「わーい!見てみて皆!逮捕されちゃった」
「良かったな!!」
「良かったな、我が主」
「パイモンはどちらかと言えば逮捕される側では…?」
アリトンは首を傾げる。
「あら、貴方も逮捕されたいかしら?」
「遠慮しておきましょう」
アリトンは視線を外して明後日の方を見る。
「公私混同だな!」
パイモンも視線を外して明後日の方を見た。
アメイモンはフランケンシュタイン。
「大柄だからよく似合いますね」
「だろう。俺もいいものを選んだと思う」
「似合ってるよアメイモン!」
「ありがとう、我が主」
誇らしげなアメイモン。
アスモデウスはヴァンパイア。高身長でスラッとしてる。立襟と牙で雰囲気が出ている。
「かっこいいねー!!」
「ありがとうございます」
シュナに褒められてアスモデウスはホクホクである。
アリトンはキョンシー。
「うあー、です」
「なんかかわいいわね」
「僕は可愛い方向にチェンジですか?」
「譲らないですよアリトン」
「アスモデウスは可愛い担当なのか??」
意見が割れそうな所である。
「可愛い担当はメアリーなのです」
メアリーがプンスコと怒る。その様すら可愛かった。
「それは違いないですね。勝てません」
やれやれと首を振るアリトン。
オリエンスは狼男。かっこいい感じに仕上がっている。
「ガオー!!!ぐるる」
「やー!怖いのです!あっちいけなのです」
メアリーは体を小さくして手を伸ばした。
「えっ…」
「こらっ!メアリーちゃん、そんな事言わないの」
オリエンスは素直に傷ついた。いつもいじっているのが裏目に出たか。いや、ただメアリーが怖がっただけであるが。
シュナがメアリーを窘める。
「ごめんなさいなのです」
メアリーは素直に謝った。
「いいぜ!!お互い様だしな!!」
メアリーとオリエンスはよく弄り合うし喧嘩もするが仲がいいのだ。
サーニャは魔女の格好をした。大きな帽子と赤いリボンを着け、箒を持っている。
「サーニャもどちらかと言えば魔女の使いの方だよね」
「シュナに言われたくないにゃ」
「それもそうだ」
シュナも神なので人に使えられる側である。
ケインはミイラ男。
「わー、怖いかも!!その布でミイラにされちゃいそう」
「だろ」
「怖いにゃー」
一通り見たところで。
「写真を撮りましょうか」
「そうだね!」
三脚を用意し、皆で、飾り付けたHAPPY HALLOWEENの文字の前でポーズをとる。
パシャリ。
また一つ思い出の増える音がした。
ロココ調の大きなテーブルの上には、お菓子、パンプキンパイ、シュナの好きなバスクチーズケーキの、カボチャ味。目玉グミやら、蜘蛛の巣柄や魔女柄のドーナツ。お化けの見た目の餃子、お化けの形にチーズが切り抜かれたミニピザと、イカ墨パスタ。チーズと海苔で目を付けた唐揚げもある。
「あぁ、そうです。ラファエル?いるのでしょう。貴方も席に着いたらどうです?」
「えっ…いいのぉ?」
物陰から、おずおずとラファエルが出てくる。グレーの髪と目をした、おっとりした男である。今日のシュナ達の監視、観察担当はラファエルであった。
本来は影の仕事なのだが、楽しそうな様子に思わず出てきてしまった。仕事も緩い男である。
「あれ、ラファエル?いつの間にいたの?」
「あー、えぇと…ちょっと用があって。えぇと、えぇと…そうだ!アポロン様から、シュナ様の写真を撮ってこいって言われてるんだぁ!」
必死の弁明であった。
「そうなんだ!あ、後でアポロンの所にも行こうかな。お菓子貰いに!」
「そうしたら喜ぶと思うなぁ」
ということで後でアポロンの所に行くことにした。
「写真だっけ?じゃあ撮っていいよ!」
「ありがとぉ!」
パシャリ。
シュナの美顔と尊い猫耳ホワイトシスターコスが画角に収まった。これはアポロンに送られた後、暫くホーム画面になる。
紫色の飾り付けられたコップに、各々ジュースを入れる。
「皆ジュース持った?じゃ、ハッピーハロウィン!!乾杯!!」
「「「乾杯!!」」」
シュナの音頭に合わせて乾杯する。
パーティーが本格的に始まった。皆で料理を囲む。
アスモデウスは写真を撮るのが好きだし上手い。パーティーの最中の写真も上手く撮った。三脚を使って、己も入った写真も沢山撮った。またアルバムが分厚くなる。
因みにアスモデウスは、皆の写ったアルバムと、シュナ専用のシュナだけ焼き増ししたり撮ったりしたアルバムを持っている。前者は皆も見れるようにリビングのラックに置いてあり、後者は自室に置いてある。
本日の料理を作ったのは、メアリーとアスモデウスとオリエンスである。因みにキッチンは本当に騒がしくなった。
「あっちぃ!!油跳ねやがった!!」
「バカなのです」
「あぁ!?メアリー手前もさっき生クリーム跳ねさせてただろうが!!」
「怪我してない分オリエンスよりマシですね」
シュナは飾り付けを行いながら楽しそうだなと思った。飾り付けはパイモンも行った。
アリトンとアメイモンは買い出しに行った。こちらは穏やかであった。
「料理美味しいにゃ!」
「美味しいな。よく出来ている」
「ほんと!良かったのです」
「あぁ、作った甲斐があったな!」
「ですね」
そうして暫くパーティーを楽しんだ。
ピンポーン。
「ん?来客みたい。ちょっと行ってくるね」
「いってらっしゃぁい」
ドアを開けると、そこには7人のムーサ達がいた。金髪を各々アレンジして金のリボンを付けた、舞踏の女神達である。神集会ではお世話になった。一緒にバレエのくるみ割り人形を踊ったのだ。
「えっ!ムーサ達じゃん!久しぶり!その格好可愛いね!」
「久しぶりね、シュナ?元気だったかしら」
長女カリオペイアだ。クールで清楚で上品な女性。長い金髪はハーフアップにしている。切れ長の目が綺麗だ。赤い猫のコスプレをしている。
「可愛いでしょう?この格好。猫ちゃんですわ」
次女クレイオーだ。毛先だけ縦巻きロールのミディアムヘアに、橙色の猫コスをしている。
「7人で虹色なんだよー」
3女エウテレペー。無気力系女子である。ミディアムヘアに、黄色の猫コスだ。
「今日はねぇ!お菓子を貰いに来たのぉ!」
4女タレイア。元気な幼女系女子だ。くるりんぱの髪型をしている。緑色の猫コスだ。
「ということで、せーの!」
5女エラトー。ボブカットで、青色の猫コス。見た目は小学生高学年だ。
「「「トリック・オア・トリート!!」」」
「トリートオアトリート!!」
6女ポリュムニアーは、間違えてトリートオアトリートと言った。ツインテールで、藍色の猫コス。
「ポリュムニアー!!それじゃお菓子かお菓子になっちゃうよ!!トリック・オア・トリートなんだよ!」
すかさず7女ウーラニアーがつっこむ。お団子で、紫色の猫コス。
「いいもん!お菓子しかいらないもん!」
「でも正しい言い方はトリック・オア・トリートだよ!!」
「そか…」
楯突く割には納得するのが早いのが、下3人、エラトー、ポリュムニアー、ウーラニアーである。だから喧嘩にならない。
「ちょっとまっててね、お菓子持ってくるから!」
「待ってるわよ」
「待ってますわ」
リビングに戻って、お菓子を幾らか持っていく。
「はい、どうぞ!」
「ありがとー」
「ありがとぉ!」
一人一人に渡していく。
「他の人の所には行ったの?」
「唯理有の所には行ったわよ」
「あぁ唯理有!仲良くていいねぇ」
シュナは手を叩く。
「でもあそこ少し怖いですわ。通路歩いてる人の目が、なんだか鋭かったわ」
クレイオーが髪をくるくる弄びながら言う。
「そーかなー…私は馴染めそうだったー」
「エウテレペーはねぇ!確かに馴染めそう!」
「少し陰な感じがねー…」
「じゃ、私達帰るね!またね!」
「「またね!」」
「またねーまた遊ぼうね」
「「「うん!!」」」
ということでリビングに戻った。
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