ルツェルン地域運動会
お久しぶりです。ep28のミラ・ドールちゃんが参加します。
私は走るのが遅いので、シュナは速く走れて欲しいなと思いました。どこかでシュナは走るのが遅いと記述していたら教えてください。直します。
突風が吹いたかのように唐突に秋が来た、と思ったらもう秋も深まってきた。急に空が高くなってみえる。秋晴れの日本晴れだ。
本日はルツェルンの地域運動会が開かれる日だ。最近は運動会シーズンで、色んな学校で運動会が開かれている。会場では色んな旗がはためいていた。
部屋で水色の可愛いデザインのジャージを着て、ポニーテールを結ぶ。そして、青いハチマキを巻く。
秋はやっぱり秋海棠。ピンクの小ぶりな花が下向きに咲く。大きな葉っぱと共に、小さな花が咲くのが可愛い。花言葉は、恋の悩み、片思い、自然を愛する、 生命力。庭で(メアリー達と)育てたものを玄関に飾ってある。それを横目に家を出た。
外を歩けば金木犀の香りがしてくる。甘くて柔らかい匂いだ。秋だなぁ。
悪魔達と、メアリーと、ミラちゃんと一緒に参加する。
くるくるした小麦色の髪のミラちゃんはすっかりシュッとして、運動も好きになったらしい。
「楽しみですね」
「うん!ミラちゃんも楽しみだね!」
「はい!頑張りましょうね、師匠!」
アスモデウスに微笑みかけられたので、笑顔で頷き返す。ミラちゃんにも声をかける。
「あ!サーニャ!ケイン!」
「あ、シュナだにゃ」
「シュナも参加するんだな」
運動着を着て、ハチマキを着けたサーニャとケインに会った。手を挙げて挨拶をする。
「楽しみだね。2人は白組と赤組、どっちに参加するの?」
「私もケインも白組だにゃ」
「シュナは?」
「私は赤組!悪魔達は、アスモデウスとパイモンが赤組で、オリエンスとアメイモンとアリトンが白組だよ」
「私とミラちゃんも赤組なのです!」
「強敵だな」
やがて、開会式が始まった。
開会の宣言を聞いて、気を引き締める。楽しい運動会が始まるのだ。
まずは、ラジオ体操である。運動の前は準備運動。大切だ。
皆で並んで体をほぐす。悪魔達も私に似て真面目である。ちゃんとやっている。
最初の種目はリレー。丁度5人で1グループなので、私達で1つグループを作った。
私は走るのは好きである。特に神になってからは疲れが調節出来るので、幾らでも走れる。学生の頃はクラスでトップになるくらいには走るのが速かった。
まず走るは、赤組はパイモン、白組はアメイモンである。
「負けないですわよ?」
「俺も負けられない戦いだな」
2人の視線がバチバチと弾ける。
ピストルを合図に、2人が走り出す。2人とも速いが、アメイモンの方が速かった。アメイモンは大柄で筋肉質だ。その筋肉を余すことなく走りに使っている。見た目通り速い。
「頑張れー!!」
「頑張れなのですー!!」
「頑張ってくださいー!」
メアリーとミラと3人で応援する。
ところで、パイモン、走るとおっきなおっぱいが…、ゆ、揺れ…キャー!!私は手で顔を覆ってその隙間から見た。あまりにも色気がありすぎる!!観客の皆様もソワソワと落ち着きがない。
続いてバトンは、赤組は私、白組はアリトンに渡った。
神vs悪魔四天王のリレー競走の火蓋が切って落とされた。
(サタナ、サポート!)
『承知いたしました』
神力でサポートを入れた、私の方が速い。アリトンも流石で、なかなか速いが。素だったら私の方が遅いと思うけど。流石に悪魔の脚力には勝てそうにない。
風を切って、空を飛ぶように走る。気持ちいい。爽やかな笑みが零れる。ポニーテールが靡いた。
「流石我が君っ…!!アリトンは足元にも及びませんね!!」
「聞こえてますよ!!」
アスモデウスが両手を合わせてパワワと褒めてくれる。アリトンが走りながらすかさずツッコむ。お、余裕か?そんな余裕はないはずである。なんたって私の方が速いからね!!しかしドヤ顔する余裕はない。
続いてバトンを渡すのは、赤組はミラ、白組はケイン。
ミラちゃんは本当に劇的beforeAfterであった。元々運動が嫌いではなさそうだったのが幸いしたのかもしれない。根が素直だからかな?私が指導したら全部従うのだ。でも丸々としていた人が運動を好きになるって凄いことだと思う。
2人とも頑張っているが、ケインの方が速い。剣戟部隊小隊長の名は伊達ではないのだ。皆もう小隊長なこと忘れてると思うが。
次にバトンが渡ったのは、赤組メアリー、白組サーニャ。
「うにゃにゃにゃにゃー!!」
「負けないのですー!!」
2人とも目をキラキラさせて走っている。速さはサーニャの方が少し速い。猫人だから?運動神経が良い。
なんと!メアリーが転けてしまった。バトンが転がる。ピンク色のツインテールがべちゃ、と地面に広がる。応援していた観客の人達から、あぁっという声が上がる。私も思わずあっと声を上げた。
「痛っ!痛いのです!!」
声は元気である。メアリーには悪いが、私はものすんごくキュンときた。転けちゃうとかドジっ子属性追加か?可愛すぎる。
「はわわ」
私は手を口に添えてそんな声を上げた。メアリーが可愛すぎる。
立ち上がって、なんとか完走したメアリー。
そして最後、赤組メアリーの次はアスモデウスであった。メアリーが転けたことで大分遅れてバトンが渡される。白組はオリエンスだ。
アスモデウスが走り出す。速い、速い!!そう、なんたって彼は魔王である。天使アルマロスと戦って更に進化した彼の前に、立ちはだかるものは無い。多分。
光の様な圧倒的な速さでどんどん差を縮める。
そして遂にオリエンスを抜かした!!
会場がドッと湧く。
そして、アスモデウスが1着、オリエンスが2着で結果がついた。
「くっそー!!勝てると思ったんだがな!!」
「私に勝とうなど千年早いですね。まぁ1000年後も負けるつもりはありませんが」
アスモデウスが鼻高々としている。
「速かったよーアスモデウス!光みたいだった」
「凄かったですね!あっという間に追いついてしまって」
ミラちゃんも目を丸くして驚いている。
「私がこけちゃったの、挽回してくれてありがとうなのです!」
メアリーがきゅるるんとした笑顔でアスモデウスにお礼を言う。
「いえ、構いませんよ。私も我が君に無様な姿は見せられませんから。ねぇ、オリエンス?」
「おいおい、俺が無様だっていいてぇのか、アスモデウス!?そりゃ無いぜ」
「オリエンスも速かったにゃ」
「そうだな。他のメンバーだったら負けてただろう」
「己もそう思う」
「オリエンスは速いですからね」
確かにそうだろう。オリエンスもカッコよかったし。魔神アスモデウスの次に速いのはオリエンスなんじゃないだろうか。アスモデウスは神の領域だが、オリエンスは悪魔の領域だと思う。
リレーは赤組の勝利で終わった。
「メアリーちゃん、怪我大丈夫?」
「大丈夫なのです!怪我は無かったのです」
「それなら良かった」
安心であった。
次は、有志のダンスである。シュナとメアリーとパイモンとミラは、これのために実は練習してきた。
曲は2曲。ブルーノマーズのrunaway babyと、Femme fataleのだいしきゅーだいしゅき、だ。カッコイイ系と可愛い系で攻めてみた。
順番が来て、曲が流れ出し、踊り始めた。人数が少ないから、間違えたら目立ちそうだ。ドキドキして、緊張が走る。
踊るのは楽しかった。全身を使った芸術の表現だ。
時折声も出して、盛り上げも欠かさない。観客は大盛り上がりで、手拍子が起こっている。
爽やかな気持ちで、笑顔で踊る。
ところで1つ気づいたのだが。真正面にいるのはアポロンじゃないか???ちなみにその隣ではアスモデウスがカメラを回している。
(声かければ良かったなとは思ってたけど、なんでいるんだろう???)
頭の中にはてなマークがいっぱい浮かぶ。
踊り終えたら、大喝采が起こった。まぁなんたってメンバーは、教祖の神、大歌手、メイドカフェ店員、貴族である。錚々たるメンバーであった。可愛いし、スタイルもいい。
なによりも、踊りが良かったんだとは思うけどね!練習した甲斐があったものだ。
終わった後、アポロンに声をかけた。今日もカッコイイ。金髪が眩く、キラキラ輝いている。顔も輝いているし、身長が高くてスラッとしているのだ。全世界トップレベルのイケメンである。
「アポロンー!呼ばなくてごめんね、いたなら教えてくれたら良かったのに!」
「あぁ、シュナ。悪かったな、声かけなくて。ダンス、可愛かったぜ?本当に。心が奪われた。動画も撮ったぜ」
そういうアポロンの顔は恍惚としていて、相当楽しんでもらえたことが伺えた。全く私好きの男である。
「ありがとう!ところで、どうして今日運動会って知ってたの?」
「…まぁ、彼女のスケジュールなら把握しとかねぇとな」
「??そうかな???」
そういうものなんだろうか?そう言うアポロンの瞳には影が差していて、なんだか恐ろしい。ヤンデレの片鱗を見た気がした。教えてないスケジュールを把握しているとはこれ如何に。まぁアポロンだからいいか。なんかツテがあるんだろう。
世界さんの、
「あいつの愛情深さは鳥肌が立つ、狂気的だ」
という言葉を思い出した。ぶるりと体を震わせる。
因みに実際は、ミカエル、ガブリエル、ラファエルらのうち誰かがシュナ達の会話を盗み聞きしていて、夜にはスケジュール帳を開いてアポロンに都度報告しているのだ。
「じゃ、また後でね!次玉入れ行ってくるから!」
「おう、応援してるぜ」
手を振って、またねをした。
お次は玉入れである。
白組、赤組と分かれて円の外で待つ。やがて、ピストルが鳴って玉入れが始まった!
(サタナ、照準合わせて)
『承知いたしました』
神力で照準を合わせ、百発百中でお手玉を入れていく。
アスモデウスは高身長を活かして、余裕綽々とお手玉をシュートしていた。おっ、カッコイイね。
「我が君!見ておられますか!」
カッと目を開いてこちらに叫ぶアスモデウス。
「見てる見てる!」
時折ね。カゴは見てなくても照準は合うから、余裕ありなのだ。
メアリー?メアリーはね…
「届かないのです〜> < ՞はわわ」
こんな感じだ。非常にあざとくて可愛い。
ミラちゃんは真面目に頑張っている。汗が飛んでいる感じだ。
「入ってくださいー!入れー!」
パイモンはね。もう屈んでもエロいし投げてもエロい。仕草が艶やかだ。
「よっ…しょ♡よいしょ♡」
おぉ…と観客が沸いている。悪魔的麗しさである。婉美であった。
もう一方も、一生懸命頑張っている。やはり高身長の男子達は有利だ。狙いが定めやすそうだ。
何気にサーニャがかなりの数を入れている。猫人はやはり空間認識能力が高い。
ケインもそこそこ投げるのが上手い。
やがて曲が止まって、玉入れが止まる。
お手伝いの人が玉を取り出して投げるのに合わせて、皆で玉を数える。
「「「いーち、にーい…」」」
玉が少なくなってきた。
勝ったのは…赤組!!私達のチームだ!!
「やったー!!やったー!!」
「やったのです!!」
メアリーと手を叩いて喜ぶ。
「嬉しいですね」
「勝ちましたわ〜!」
「やりましたね!」
アスモデウス、パイモン、ミラちゃんも大喜びだ。
運動会全体の結果も出る。結果は…
…赤組の勝ちであった!
「「「やったーー!!」」」
「やったーですわ!!」
「やりましたね!!」
皆で喜び合う。大盛り上がりだった。
「いやー負けちまったな!」
「そうですね、残念です。ですが頑張りましたね」
「無念」
「シュナとアスモデウスがいるとかチートだにゃー」
「強かったな。いい運動会だった」
白組もお互いを労る。
閉会の宣言を聞いて、今年の運動会を終える。
「いやーいい運動会だった!楽しかったよ」
「楽しかったですわね!皆で勝ち取った勝利ですわ」
「運動頑張ってて良かったです!」
各々感想を述べた。
アポロンもこちらに来た。
「アポロン!どうだった?」
「それはもう良かったな。一生懸命玉拾って投げてる姿、本当に尊かったぜ」
感想を聞いた私もなんだが、玉入れってそんな見てて面白かっただろうか。まぁアポロンは楽しかったようなので良いとしよう。
「この後はどうするんだ?」
「打ち上げ参加しようかなと思うよ!」
「飲み会か。写真送れよ。時計入れて、時間経過付きで。」
「わかった!」
ヤンデレかな?なんか可愛い。私もしっぽを振る気持ちで頷いた。
「いい子だな」
頬を撫でられる。擦り寄って妖艶な笑みを浮かべ、上目遣いをした。そしたら抱き締められた。
(いい匂い)
「グッ…可愛すぎるだろ…他の奴に絶対やるなよ?」
「やるわけないでしょ!アポロンだけだよ」
キャピ!と両頬を指さして言う。
「ならいいんだ」
安心したようだ。彼氏に安心を与えるのも彼女の役割である。
「話は終わったかにゃ?打ち上げ行くにゃよ」
「こらサーニャ、空気読め。すみません、アポロンさん」
サーニャだから間に入れるのだろう。ケインは礼儀正しい。
「や、丁度話し終えたところだよ。ね、アポロン?」
「あぁ。大丈夫だ、シュナを頼むぞ」
「そんな歳じゃないよー」
転生前は20歳だったのだから。神力もあるから酔いも調節出来る。
「任せろにゃ」
「行きましょー皆様!」
ミラちゃんも来た。一緒に居た悪魔達とメアリーもぞろぞろと。
「じゃあまたな、シュナ」
「うん、またねアポロン!」
またねのキスをされて、照れて赤くなる。
「おいおい、お熱いじゃねぇか!」
「幸せそうでなによりだ」
「全くですね。まぁともかく、行きましょうか!」
ということで居酒屋に行って、お酒を飲んで、どんちゃん騒いだ。
ミラちゃんはパイモン以外とは初対面だったと思うが、馴染んでいて良かった。
二次会は無しで、程よい時間に皆帰った。楽しい運動会と飲み会だった。
天使達がシュナ達を監視している話は別の話で先に書くつもりだったのですが、順番が前後してしまいました。




