番外編 麗子と世元の声マネキング配信
実在するゲーム、声マネキングを題材にしました。『』はコメントです。《》はゲームの音声です。私は剣持刀也さんの配信を聞きながら書きました。面白いので是非ご覧下さい。
短編です。
coming soonの文字が、上品な薄紫色の背景の中くるくる回っている。
『楽しみ』
『待ってる』
『お酒用意した』
『wktk』
愉快なコメントが流れていく。
やがて、麗子と世元をデザインしたバーチャルキャラクターが出てきた。仲良く横並びである。
因みに実写はまた別のチャンネルがある。
「こんばんは!麗子だよ♡今日は声マネキングをやってくよ!界司と!」
「こんばんは。世元界司だ」
開始早々同接5万人を超える人気配信、麗子の配信部屋である。今日は世元とのコラボだ。
『嘘だろ?』
『キャラ崩壊待ったナシ』
『楽しみです世界さん』
世元は器が大きいのでネタ系の配信も割とやる。真面目にやるのだが、そこが面白いのである。他にも、ホラー実況とか、企画動画とか、色々やる。
「最初のお題は…DJチェキチェキ!」
「チェキチェキってなんだろうな?」
聞いてみると、それは恐らくDJのスクラッチ音の一種であった。
《〜♪》
短いお手本の音が流れた後、声真似の音が録音され、採点される。
「これは難しそう。界司行ける?」
「やってやろうじゃないか」
世元は椅子に座り直し、姿勢を整えた。お手本の音がもう一度流れる。
《〜♪》
世元の番になった。
「ア゜↑ウェ↓ア゜↑ウェ」
迫真の声マネである。麗子は必死に笑いをこらえた。
録音が終わった瞬間麗子は弾けるように笑った。
「あははははは!」
『草』
『上手いのでは?』
『声がいい』
『麗子さん可愛い』
コメントの評価は上場である。
結果。
テン!!!
0点!!!!!
無慈悲な結果であった。
『草』
『ホントにオモロい』
『お腹痛い』
『お酒吹き出した』
草のコメントが流れていく。
「俺の何が駄目だって言うんだ??あぁ?」
機械に向かって圧をかける世元。イイ声がリスナーの耳に届く。
『ありがとう』
『耳が幸せ』
『赤スパ不可避』
『これ以上昇天しても行くとこないよ』
『これを待っていた』
世元に圧をかけられるのが好きな天界のリスナー達は、一転して口々に感謝を述べてスパチャを投げた。世界さん相手にはMが多いのかもしれない。
「ふふふ、ふふ、もう1回やる?」
「やる」
世元は大真面目であった。
『何回でも聞ける』
『頑張って』
お手本が流れる。
《〜♪》
「エ゜↑ウェ↓エ゜↑ウェ↓」
録音が終わる。麗子は苦しそうに笑った。
「あはははは!はーっ、お腹痛い…」
「100点出ろ…!」
結果は。
テン!!
0点!!!!
「あはははははっ」
「もうダメだ俺は」
麗子が手をパチパチ叩いて爆笑する。
世元はガックリと項垂れた。
「諦める」
「じゃあ次私ね!」
『お疲れ様です』
『上手かったです』
コメント欄は優しいコメントで溢れていた。民度がいいのである。
「次のお題は…ガブリ」
《〜♪》
お手本の音は、果物に齧り付いたような瑞々しい効果音である。
「いっくよ〜」
《〜♪》
「ハァハブシュ!!!!」
勢いの良い声マネであった。
『くしゃみ??』
『ハブ酒??』
「ハブ酒だったな今のは」
結果は。
テン
16点!!!
「あ、うーん微妙だね」
「まぁまぁ良かったな」
しかし最高点である。
『勢いが良かった』
『上手い』
コメント欄は優しかった。
「次は…ビーム砲!」
「俺がやろう」
《〜♪》
SFで出てくるようなビーム音である。世元の番になる。
「ビシューン!!!!!!!」
あまりの迫力に音割れしていた。
「声大きいよ」
「すまん」
『麗子さん冷酷ww』
『素っ気ない、だがそこもいい』
結果は。
テン!
67点!!
「おぉー!!」
「高得点だったな」
『ナイス』
『上手い』
ナイスが沢山流れた。
「日本に転生した時の界司、小学生の時こんな感じだったよね」
「小学生なんて痛くてなんぼだろ。俺なんて✟世界最強✟だからな。木の棒もよく振ったし」
「ふふふ、可愛かったよねー」
2人は思い出話に花を咲かせる。ほのぼのとして花が舞った。
『待って世界さんの幼少期??kwsk』
『世界さんビームの真似する小学生だったの??可愛すぎる』
コメント欄は沸き立った。
「幼少期の姿くらいならいつでも変身していいが」
「私もなれるよー!メンバー限定とかでやる?」
世元と麗子は変身が出来る神である。
『お金払うから見せて欲しい』
『絶対見る』
『供給過多過ぎる尊い』
『┏┛墓┗┓』
コメント欄は死屍累々となった。コメント欄にはリスナーの墓がうず高く積み重なった。
「はは、面白いヤツらだな」
「ねー。幼少期ってそんなに良いかな?」
『面白いヤツらって何尊い』
『くぁwせdrftgyふじこ』
『良いに決まってるでしょう!!』
幼少期とはどうやら良いものらしかった。
それからいくつか声マネをして、配信は終わりとなった。
「今日も来てくれてありがとう!楽しんでもらえたかな?今日配信したのは麗子と!」
「世元界司でした。またな、お前ら」
2人が手を振って、画面が切り替わる。thank youの文字が薄紫色の背景の中踊った。
『88888』
『面白かったですー!』
『お疲れ様でした』
温かいコメントに溢れて、配信は幕を閉じた。




