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神様にお任せ!!  作者: 砂之寒天


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黒の洋館においでませ②

妃花ちゃんのイメージとインナーの色、秋斗、銀千犀、霞央留、夕鶴のイメージ画像をTwitterに上げました。砂之寒天で検索すると出てきます。

ep35の夕鶴と晴右の司るものを交換しました。夕鶴が愉快、晴右が愉悦。

「次は妃花(ひめか)だな。すぐ隣」


 隣の扉は、白とピンクの扉であった。ネームプレートの端がフリルで飾られていて、"♡妃花♡"と書かれている。ドアの取っ手はローズクォーツのような石だ。私と趣味が合いそう。


 ノックをする。


「はぁーい」


 間延びした声が扉の向こうからくぐもって聞こえる。


 中から、メアリーくらいに見た目がめちゃめちゃ好みな女の子が出てきた。目を見開く。


 彼女はまるでお花畑の様に可憐で、華美。宝石のように存在がキラキラ輝いている。


 明るいクリームベージュの巻き髪。くるんとした前髪と触覚。インナーとワンポイントにピンク色(カラーコードで言うとFDB9C8)。上の髪を少しとってツインテールにしていて、ピンクのリボンを付けている。

 まつ毛もピンクに染まっている。目もインナーと同じ色の明るいピンク。大きな目は光を受けてキラキラ輝いていた。

 服もピンクで、黒のリボンと白いレースが付いている。


 私のハートは撃ち抜かれてしまった。心臓がバクバクと煩い。


「えっっかわいっ!!」


 口を抑えて後ずさる。私の目はハートになっていることだろう。


「えー?wwありがとーww貴方シュナちゃんでしょ?神集会行ったよ〜」

「ありがとう〜!!」


 こんな可愛い子がいたのか!!見逃していた、悔しい。もうオーラから違うのに。

 見た目の清楚さに反して、話し方はギャル?のような。

 両手を出してハイタッチのようにしてくれたので、喜んで合わせる。久しぶりに会ったJKとかがやってるノリである。


「妃花ちゃんって唯理有と仲良い?今度メイドカフェ行こうと思ってるんだけど!」


 早口で捲し立てる。


「メイドカフェww唯理有好きそ〜。いいよ〜、もえもえきゅん、って?」


 妃花が巫山戯てやったもえもえきゅんの破壊力は抜群だった。周りにハートが飛んでる。顔が可愛いっ!!

 私は胸を押えて蹲った。


「ぐっは…」

「おい、シュナ大丈夫か。お前妃花に弱いもんな」


 世界さんに肩を揺すられる。


「ん?シュナちゃんと話したのは初めてだよ」

「あ。…おう。」


 変な間があった。妃花は首を傾げる。


「あ、部屋見てく?妃花のお気に入りのお部屋なんだけど!」

「見させて、是非見させて…!」


 ゾンビの様にふらふらと立ち上がる。


 部屋の中は凄くロリータ系だった。淡いピンクのシャンデリア、天蓋付きの白いベッド。白いフレームの三面鏡。お姫様の部屋である。


「かわいい、かわいい…!はぁ、はぁ、はぁ(過呼吸)」


 私は目を血走らせて、網膜にこの部屋の光景を焼き付ける。あ、甘いいい匂いがする…!倒れそう。


「ちょっとシュナちゃん大丈夫〜?w」


 妃花がシュナの肩をぽんと叩く。私は涙目で首をふるふると横に振った。大丈夫じゃない。可愛さの過剰摂取で死にそう。


「妃花ちゃんは何をしてる人なの?」

「戦闘要員!可愛いハンマーで敵を倒すよ〜。あと黒の神のビジュ担当かな!皆顔いいけどねー」


 握りこぶしをつくる。え、この可愛さで戦闘要員??しかもハンマー??ギャップ萌え。

 ビジュ担当というのはよく分かる。きっと彼女は雑誌とかいっぱい出ているんだろう。


「そうだ、これは聞かなきゃ…妃花ちゃんの好きな食べ物はなに?」

「クリームとフルーツたっぷりのふわふわパンケーキ!」

「か、可愛い〜!!今度一緒に食べに行こうよ」

「いいよー」


 只管可愛いという情報が脳に刻み込まれる。胸が苦しい。


「一緒にお買い物とか…いこうねっ!!」


 感情が昂って、目をうるうるさせながら妃花ちゃんの手を取る。


「もちろーん!w」


 別れが惜しかったが、手を振って別れた。勿論連絡先も交換した。


「次は秋斗。少し嫌味なやつだが優しいぞ」


 共有スペースを跨いで、北の西側の列に行く。


 コンコンコン。3回ノックする。


「なんやー」


 中から紅鳶色のクラゲヘアの、糸目のお兄さんが出てきた。


「初めまして!シュナだよ!挨拶に来ました!」

「あぁ、シュナ?神集会行ったで。おもろかったわ。よくこんなん開くヤツおるなぁ思たで。酔狂っちゅうか」

「あれは完全にポペードールに騙されたよ。開いてよかったとは思ってるけど!」

「ゆうとったなぁ。あいつも意地悪やわ。まぁそこがおもろいんやけど」


 カラカラと笑う秋斗。


「秋斗は何をしてる人なの?」

「なに、なぁ?色々やで。戦闘も行くしー、事務も熟すしー、雑務も請け負うしー。ま、自分ほど暇やない思うわ」


 指を折って数えながら教えてくれる。


「まぁ私は好きに生きてるからね」

「…自分嫌味とか気にせんタイプ?」

「なに、怒らせたいの?」

「いや別に…ワイなりのコミュニケーションやけど」

「そっか。仲良くできるなら越したことはないからねー」


 私は平和主義者なのだ。


「好きな食べ物は?」

「秋の味覚やね。これからの季節は最高やわ。美味いもんしかない」


 僅かに頬を紅潮させて、嬉しそうに言う。


「そっかー。ありがとう!また話そうね!」

「えぇで。ほなまた」


 パタム、と扉が閉まる。存外良い人であった。


「次は銀千犀(ぎんせい)だな。相談役の一人だ」


 隣の部屋に案内される。

 ノックをして出てきたのは、銀色の髪と黒目の背が高いおじさんだ。ダウナーでカッコイイ。煙草を咥えている。


「あ?なんだ?」

「こんにちは、シュナだよ!挨拶に来たの」

「あー…挨拶。そうか。偉いな」


 頭をぽんぽんされる。子供だと思われている??


「お菓子いるか?」


 やっぱり子供だと思われている??しかし貰えるものは貰おう。


「いただきます!!」

「良い子だな」


 キャベツ次郎を貰う。あとカルパス。


「銀千犀の好きな食べ物は?」

「煙草しかねぇだろ、そんなの」

「ふふふ、煙草なんだ」


 笑ってしまう。それは食べ物とは言わないと思う。


「もう1回聞くけど、好きな食べ物は?」

「あー…?酒のつまみになりそうなもん。軟骨とか塩辛とか」

「なるほど!ありがとう」

「おう」


 優しくてなんだかんだ頼りになりそうなおじさんであった。相談役なのも頷ける。


 1階の人達がこんな感じだったから、私は黒の神を皆優しいものだと思っていたのだ。それは間違いであった。

 地下からが本番だったのである。黒の神の真髄はここにあり。


 階段で下に降りる。燭台の火が妖しく揺れる。シュナと世元の頬をぬらりと照らした。


「次は地下だな。もしかしたら戦闘になるかもしれん。戦う準備は出来てるか?」


 私は驚いて吹き出しそうであった。


「え戦うの??」


 というか1人で回ると危険かもしれないから世界さんがついてきてくれるという話だったはずだが。戦うのは止めてくれないらしい。それとも戦闘以上の危険があるのだろうか?


「アイツらなりのコミュニケーションだからな。俺もよく応じている。嫌なら止めるが」

「まぁその時は戦おうかな」


 きっとじゃれ合いの範疇だろう。


 階段で地下の共有ルームに降りる。少し緊張する。

 降りた先は、ジムのようになっていた。サンドバックが吊るされており、ベンチプレスやらランニングマシンやら、色々ある。


夕鶴(ゆづる)霞央留(かおる)が遊んでるな。黒髪の方が霞央留、金髪の方が夕鶴。あいつらは2狂って呼ばれてる」


 一人は、黒髪が毛先にかけて沈香茶色(とのちゃいろ)に染められている、小さなツインテールで触覚の長い男、霞央留である。ギザ歯だ。

 もう1人は、金髪で短髪、ヘアピンとピアスがバチバチに付いていて、首に包帯を巻いた男、夕鶴。2人とも頬にガーゼを貼っている。


「あ、ボス〜」

「あははははwあ、ボスこんちわ」


 2人がこちらに気付いて近付いてくる。


「おう、ご苦労さま」

「こんにちは、シュナだよ!」


 いつもの両頬を突いて片足を曲げたポーズをとる。


「ふぅん。ねぇ、君はぁ、生きてて楽しい?」


 霞央留が斜めに首をまげ、上目遣いでそう言う。ハイライトがなくて怖い。


「え、うんまぁ」

「俺もねぇ、楽しい。特にねぇ、こうやって人を殺す時が!あはは」


 ニッコリ笑い、そう言うとナイフを振りかぶってきた。咄嗟にスパタを手の中に転移させて応える。目と鼻の先でナイフを弾く。少し仰け反った。

 霞央留のKは快楽殺人鬼のKなのだ。


「あはははwおもしろww」


 夕鶴は腹を抱えて笑って見ている。夕鶴のYは愉快のYである。

 動きが速い。次から次へと攻撃が来る。じゃれあいの範疇かと思ったが、しっかり急所を狙ってくる。いや私に急所とかないんだけど。


 キィン、キィンと甲高い音が響く。

 存外運動になって楽しい。


「あははw、僕も入れて!!」


 見てて興が乗ったらしい夕鶴が、私にナイフを振りかぶる。私はもう片方の手にレイピアを取り出して、両手で応戦した。


「2対1はキツイ!!霞央留の方に攻撃して!!」

「やっぱり3人は無理だな〜、夕鶴は待ってろよ」

「あはははwなんて?w」


 適当に話を聞き流す夕鶴。自由人である。


「あはははwははは」


 心底楽しいと言うふうに笑う夕鶴。快楽に浸ったような表情で戦う霞央留。目がとろんと溶けていて、頬を染めている。2人とも楽しそうで好印象である。いきなり殺しにくるのはともかく。

 にしても夕鶴はずっと笑っているなぁと思った。笑い袋が壊れているんだろうか。


「はぁ、なんか疲れた」


 肉体的にではなく精神的に疲れる。集中するから。


「えー、やめるのぉ?」

「はははw油断、大敵っ!」


 鋭い一閃が走る。頑張って防御する。


「もー」


 面倒くさくなった私は瞬間移動をして、霞央留と夕鶴の首に剣を当てた。揺らいだ銀髪が私の顔に影を落とす。


「っ…!えぇーっ!」

「あ"ははははははっ!!やるじゃん」


 驚愕した霞央留。心底痛快と言った方に爆笑する夕鶴。


「楽しかったよ!また遊ぼうね」

「あはぁ、理解あるしサイコーじゃんー、また殺り合おうねぇ」

「ははははwねww」


 いい汗かいた!って感じである。ここだけスポドリのCMであった。


「そうだ、これは聞いときたいんだよね。何してる人なのかと、好きな食べ物!」

「俺はぁ、戦闘と拷問が主かなぁ。事務も別に出来るけどぉ、面倒だから謐華ちゃんに任せてる。」

「あぁはは、僕も戦闘と拷問。頭悪いから事務はやってない。あはは、謐華ちゃんに任せてる」


 謐華ちゃんの苦労が伺えた。一人で何人分の仕事をこなしているのだろう。


「んで、俺はそもそも食事があんま好きじゃねぇんだけどぉ、好きな食べ物はぁ、キャラメルとトリュフ。高級なのが好きぃ」


 高級志向なのか。


「あはははは、僕はグレープフルーツww」


 美味しいよね、グレープフルーツ。


「そっか、ありがとう!またね」

「またねぇ」

「はははは、じゃあなw」


 ちなみに連絡先は尽く交換している。


 共有スペースのジムから、扉で普通の共有スペースに出る。


 残る地下の住人達に、挨拶に行くのであった。

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