表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様にお任せ!!  作者: 砂之寒天


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/101

時の神クロノス

また、シュナの体は骨と血液が無いとしていましたが、その記述を消しました。

 最近、嫌な夢を見る。

 悪魔達との出会いがなく、初めから1人という夢だ。その夢では私はメアリーと生きていて、悪魔達がいる時より起伏のない生活を送っていた。


 ポペードールに何かしてないか聞いたが、


「悪戯?してないわよ!アンタから止めてって言いに来たんじゃない!」


 との事だった。


 その悪夢は、ある日突然現実となる。


 朝目が覚めると、なんだか空気がいつもと違う感じがした。

 部屋を出る。すぐに違和感に気づいた。魔法で増築した悪魔達の部屋がない。

 メアリーが朝食を作って待っていた。


「メアリーちゃん!皆はどこに行ったの!?」

「皆?誰のことなのです?私達2人暮らしなのです」

「えっ…悪魔の皆だよっ!覚えてないの!?」

「なんか夢でも見たのです?私は知らないのです」


 絶望する。焦燥感が酷かった。擬似胃が気持ち悪い。


「ごめん、ちょっと出かけてくる」

「?いってらっしゃいなのです」


 ご飯に保存の神力をかけて、転移門を出す。行先は魔界だ。


 目眩を覚えながら、転移門を潜る。

 アスモデウスの所に直接来た。アスモデウスは魔王城にいた。王座に座って、悠々と過ごしていた。


「…誰です?敵意はないようですが」


 アスモデウスが顔を上げて、いつもより少し冷たい目でこちらを見る。


「アスモデウス、私の事覚えてないの?」

「なんとなく、貴方が居ないことを寂しく思っていました。貴方は誰なのです?」

「シュナだよ」

「シュナ…?聞き覚えがありますね。何故でしょうか」


 なんとなく覚えているらしいことが救いであった。ここで、サタナに何が起きているか聞けばいいことに気付く。


『時の神クロノスが過去に干渉しました。貴方と悪魔達の出会いを無かったことにしたようです』


 神か。私は煮えたぎるような怒りを覚えた。同時に酷い悲しみも。大切な悪魔達との出会いをなかったことにするなんて、そんな惨いこと何故できるのか。


「一緒に、時の神クロノスを倒しに行こう。そうしたら思い出せるから」

「ふむ。分かりました、協力しましょう」


  私は泣きそうだった。協力してくれて良かったと思うのと同時に、悲しみや怒りの感情の濁流に耐えていたのだ。


 転移門でまずアンさんの所に行く。神に攻撃する前は一応報告しておいた方がいいかと思ったのだ。


「おぉ、シュナ。待っておったぞ。そなたの天界での記録が消えて驚いたわ。そなたは天界には来たことがないことになっておる」


 事情はこうである。悪魔達がいなければ、肝試しは行われない。そうすると幽霊を成仏させることもなくなり、天使がシュナの元に来ることもなくなったのだ。

 それにより、天界に行ったことも無いことになっている。

 クロノスは事柄には干渉できるが、神の記憶には干渉できない。天使や悪魔、人間の記憶には干渉できるので、アスモデウスは忘れかけていたのだ。完璧に忘れなかったのは、アスモデウスが神に近いからである。


「うん。時の神クロノスが過去に干渉してそうなったみたい」

「そうか。それで、クロノスの元に行くのじゃな?何があったかは分からんが、好きにするがよい」

「ありがとう、行ってくるね」

「うむ」


 報告は終えた。


 転移門でクロノスの家に行く。

 チャイムを鳴らす。

 中から立派な髭を貯えたおじさんが出てきた。


「…シュナか」

「なんて事してくれたんですか。なんであんな事したんですか!!」

「神が悪魔なんぞとつるむことが許されると思うのか?我は許せんな」

「悪魔だって悪い奴ばかりじゃない。大切な人達なのに!」


 私は泣きながら叫んだ。


 クロノスに殴り掛かる。手で止められる。何度も攻撃を試みるが、どんな攻撃も先読みされているかのように止められてしまう。


「なんでっ…」

「時を超えられぬお前の攻撃は通らぬよ」


 シュナの弱点の1つとして、イメージしづらいものや使い慣れていない技を使えない、若しくは使いづらいというものがある。時の超え方など感覚的にも分からない。

 シュナは打つ手がなかった。

 クロノスは未来予知を行っているだけなので、シュナも未来予知を行えば効果が相殺できたが、シュナはその事に気が付かない。想像力の限界がシュナの限界であった。


「私も大切な記憶を忘れたままというのは不本意です。痛めつけられる覚悟は出来ていますね?」

「ふん、やれるものならやってみるがいい」

「殴っても仕方ありませんね。技を使いましょう。破壊滅弾(デストロイバレット)!」

(タイム)の崩壊(ディスラプション)!」


 アスモデウスの放った破壊滅弾(デストロイバレット)(タイム)の崩壊(ディスラプション)に巻き込まれて消失する。対象の時間の概念を崩し、存在を崩壊させる技だ。


 が、それも構わずがむしゃらにアスモデウスは破壊滅弾(デストロイバレット)を打ち続ける。


「私は大切な記憶を失ったままでいる訳にはいかないのです!」

「何度やっても同じことぞ!」


 しかし、やがてアスモデウスの破壊滅弾(デストロイバレット)が時の概念をも喰いだし、(タイム)の崩壊(ディスラプション)を超えた。


『アスモデウスが、スキル"時を喰らう者"を手に入れました。アスモデウスは悪魔から魔神に進化しました。』


 サタナの声が脳内に響く。


 クロノスに届いた破壊滅弾(デストロイバレット)が、激しい痛みとなってクロノスを襲う。

 破壊滅弾(デストロイバレット)(タイム)の崩壊(ディスラプション)と同じ効果がもたらされる事となったのだ。それはクロノスのものと相殺し、破壊滅弾(デストロイバレット)の効果のみが残る。


「ぐうっ…まだだ!時空求穿!」


 クロノスの放った時空求穿は、時も超える離れ業。過去から未来へ、その攻撃は放たれる。

 そこでクロノスは力尽き、痛みに沈んだ。


「…!我が君!思い出しました!!」

「アスモデウス!!」


 アスモデウスに抱きつく。思い出してもらって良かった。


 安心したのもつかの間、アスモデウスの胸に矢が刺さる。時空求穿が当たったのだ。


「ぐっ…」

「アスモデウスっ!!」


 アスモデウスが血を吐いた。


 シュナがアスモデウスの胸に手を当てる。淡い光を放つが、傷口が塞がらない。回復の効果が時空の果てに飛ばされてしまうのだ。


「どうしよう、どうしよう!?」


 シュナは焦る。アスモデウスも苦しそうだ。


「そうだ、アスモデウス、一回胸元に破壊滅弾(デストロイバレット)当てて、この効果喰らって!」

「分かりました、破壊滅弾(デストロイバレット)


 胸元の傷口より少し大きく皮膚が崩れた。それをすかさずシュナが治す。


 なんとか一命を取り留めた。


 アスモデウスは回復して、クロノスに向き直る。


「さて…クロノスさん。過去への干渉を解いてもらいましょうか。」

「…我の負けだ。干渉を取り消そう。」


 クロノスはそう言い、過去への干渉に更に干渉を重ねて、その効果を取り消した。


「一発殴らないと気が済まないよ。殴らせて」

「…仕方がないな」


 肩をぐるぐる回し、クロノスを冷たく見下ろす。

 アスモデウスとクロノスが少し身震いした。

 私はクロノスを思い切り殴った。サタナにサポートしてもらって、思い切り重くなるようにしてもらった。

 風切り音が鳴る。


 クロノスは後ろに吹っ飛ぶ。意識を失ったようで、ぐったりしている。口の中から血が出て、頬が真っ赤になっていた。


「我が君、強くなりましたか?」

「効果を加えただけだよ」


 かくして、時の神クロノスによる干渉は終わったのであった。


 家に帰ると、いつも通りの家になっていた。


「お帰りなさいなのです!どこ行ってたのです?」

「ちょっと天界にね。さっきの事、覚えてるの?」

「なんのことなのです?いつも通りだったのです」


 メアリーは改変時の記憶はないみたいだった。


「アスモデウスがね、魔神になったんだよ」

「魔神!?なんだかカッコイイのです」

「嬉しいですね」


 のほほんとした日が戻ってきたのであった。


〜〜~


 後日、クロノスの元にアポロンが訪れた。


「おい、クロノス。俺の彼女に手ぇ出したらしいじゃねぇか。分かってるよな?」

「なっ、アポロン!どこから聞きつけた!」

「俺の部下の天使にシュナのこと見守ってもらってんだよ」

「…お前…それはちょっと…」


 クロノスはちょっと引いた。


「あ?何か文句あるのか?お前の家燃やすからな」

「巫山戯るなよ!!やり過ぎだろう!」

「もう火の手は回ってんだよ。これに懲りたらシュナに手ぇ出すなよ」

「なっ…!アポロンンンン!!!」

「ふん」


 アポロンは鼻を鳴らして去っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ