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神様にお任せ!!  作者: 砂之寒天


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32/101

神集会①

参考にした曲は、

西島尊大 様 ローラ/初音ミク

ケダルイ 様 ファムファタル/flower

です。是非聞きながらお読みくださいませ。

 神集会の受付をやっていると、結構話しかけてもらえる。


「面白いことやるって聞きましたぞww拙者ワクワクで寝れなかったでござるww」


 ウェーブがかった長い黒髪の、高身長イケメンが話しかけてくる。


「楽しみにしていただけて嬉しいです!所で貴方は?」

「あっこれは失敬w拙者オタクを司る神、唯理有(イリア)でござるw天界の電子機器はお任せでござるw一応これでも世界さんの部下なんで宜しくw日本って所で住んでたら世界さんに拾われたんすわw」


 あぁ、だから名前に漢字があるのか。


「同郷なんだ!」

「え、シュナ氏って日本から来たの?ビックリっすわ」


 驚いた顔もびっくりするほど美形である。


 話していると、後ろからムーサの7人姉妹が来た。


「あっ唯理有(イリア)だ!やっほー唯理有!この間はスマホ直してくれてありがと!」


 ムーサの5女、エラトーである。


「おっ、これはムーサのエラトー氏。この間ぶりでござる。今日もちっちゃくて可愛いでござるね」

「うん!可愛いでしょ!唯理有(イリア)も一緒に参加する?」

「おっ、いいでござるか?w拙者ボッチで困ってたところでござるwふほほ」


 仲がいいのだろう。一緒に参加するみたいだ。


「トイレいってくるマンする!」


 5女エラトーが言う。エラトーの髪型はボブカットだ。


「なにそれ!変なの!」


 6女ポリュムニアーがつっこむ。ツインテールが揺れた。


「ねぇねぇそれ変だよ!変だよ!」


 7女ウーラニアーもそれに乗っかってからかいだした。ウーラニアーの髪型はお団子だ。


「変じゃないもん!皆やってるもん!」


 5女エラトーが言い返す。


「皆って誰?」


 6女ポリュムニアーが聞く。


「皆だよ」

「ふーん」


 話しはそこで終わった。


〜〜~


 席に座ると、胡蝶蘭が卓上に置いてある。


「会は11:30~でしたな。いやはや、楽しみでござる」

「よう、唯理有(イリア)、ムーサ達」


 唯理有達が座っていると、隣に長い金髪のイケメンが座る。上半身ははだけていて、豊満な胸筋が露出している。


「あ、これはこれはアポロン氏!ご無沙汰してるでござる」

「あ!アポロン!久しぶり!」


 6女ポリュムニアーである。


「アポロンじゃない。貴方も来たのね」


 長女カリオペイアがニコリと微笑む。


「まぁ、会が開かれるのなんて久しぶりだしな」


 アポロンも笑い返した。女泣かせの色っぽい笑顔である。


「にしても、珍しいよね。会を開く新神とか。」


 3女エウテレペー。無気力系女子だ。


「んね!度胸あるよね。神なんて滅多に集められないのに」


 4女タレイア。幼女っぽい声だ。


「誰かに言われたのかもしれねぇな?」

「確かに。まぁ日本には新人歓迎会とかありましたし、そういう文化なのかもしれないですな」

「あいつ日本出身なのか?そりゃ大物な訳だ。世界さんと一緒だろ」


 アポロンが驚いた顔をする。神の世界では日本と言えば世界さんである。


「新人歓迎会って先輩が開くやつでしょ」


 カリオペイアがツッこむ。


「そうでしたわw拙者達が開くものでしたなw」

「お、話してるうちにシュナがステージに出てきたぜ」


 中央のステージに、シュナが出てくる。プロジェクターによって、シュナが大きく映し出される。


 すうっ、と息を吸って、シュナは話し出した。


「本日は、お越しくださりありがとうございます。新神のシュナです。日本から転生して、全能の神になりました。」


 会場がザワつく。日本出身とは驚かれることなのである。しかも全能とは。とんでもない新人が来たものである。


「神になってからは、シュナ教をやっています。教会では土日にマッチングパーティも行っています。また、ルツェルンの病院では不治の病を治しています。本日は、新神にも関わらず会を開くのが遅れてしまった事をお詫び申し上げます。ポペードールさんにお教え頂き、この会を開きました」


 ポペードールに視線が集まる。


「あいつの仕業か…」


 アポロンは仕方ないものを見る様な目でポペードールを見る。


「ふほっw面白いことしますなwポペードール氏は」

「ポペードールの仕業でしたのね」


 次女クレイオーも呆れた表情だ。


 ポペードールは口笛を吹いて誤魔化した。返って悪目立ちしている。


「おーいポペードール、あんま新人虐めてやんなよ?」


 野次が飛ぶ。


「な、なによ!ちょっと可愛がってあげただけよ!私シュナとは友達なんだから!」

「友達なのか、じゃあいいわ」


 友達か、ならいいか、みたいな雰囲気になった。


「??卓上にある胡蝶蘭は、皆様へのお土産です。幸福が飛んでくる、という花言葉から選ばせていただきました。本日はどうぞ、ごゆるりとお楽しみ下さい」


 シュナは頭にはてなマークを浮かべたが、切り替えてそう締めくくった。


 神力で、用意した料理が神のいる席に用意される。


 フレンチ料理のフルコースが振る舞われる。オードブルは桃の生ハム巻きだ。


「この桃甘ぁい!美味しいねぇ!」


 4女タレイアが声を上げる。


「初めは、私とパイモンによる歌唱をお届けします」


 アナウンスと共に、ドレスを着た2人がステージの中央に立つ。シュナはロイヤルブルーのドレス、パイモンは真紅のドレスを着ている。2人とも髪を綺麗にセットアップしている。


「おい、俺あの女知ってるぜ。魔界に偵察送るといつもあの子に籠絡されて使い物にならなくなんだ」

「うっそだろ。でもあの子にやられんなら本望かもな…」


 小さな声で神々が話す。パイモンは天界でも有名らしい。


 やがて、会場が静かになる。


 音楽が流れだした。

 ピアノのポロポロした音が響く。メルヘンチックで、上品な曲だ。アコーディオンの豊かな音が重なる。ジャズっぽくて曲調がスウィングしていた。

 ウィンドチャイムのしゃららんとした音が始まりを告げた。

 音に合わせてシャボン玉が舞台の中で飛ばされた。遊び心があって可愛らしい。


 歌い始めた。

 

 寂しい夜は、星を見て。青める国に手を振る日々は、夢の中に沈む。

 悪の心にも心を寄せて、温かく手を差し伸べる。


 シュナの声は透き通っていて、浄化されるような心地だ。天使の羽根のように軽い。

 パイモンの声は芯があってしっかりしていた。プロの音質である。

 シュナの声がメインで、パイモンがハモリを担当していた。


 心が温まる曲だ。


 何度でも聴きたくなる曲だった。


「可愛い…」

「上品ですわね。シュナ、踊りだけじゃなく歌まで上手いなんて。…アポロン?」


 アポロンは恍惚としていた。耳が赤くなっている。


(あら…これは堕ちたわね)


 カリオペイアはニヤリと笑う。面白いものを見たな、と思いながら正面に向き直った。


 1曲目が終わり、拍手が起こる。


「可愛かったわよー!」

「ブラボー!」


 そんな声が上がった。


 アポロンは顔を真っ赤にして、胸を抑えていた。ドクドクと心臓が音を立てて、熱い血液が全身を駆け巡る。シュナに堕ちてしまったのであった。


「良かったねアポロン氏…あれ?アポロン氏?」


 唯理有もアポロンの異変に気付いた。


(あらあらまぁまぁ、これはこれはw)


 ニヤニヤしながら正面に向き直る。人の恋路は蜜の味であった。


 2曲目が始まる。


 チューバであろう迫力のある音がパッと広がる。照明が赤や白にチカチカと変わって、雰囲気を変えた。ロックっぽい曲調である。


 高い音を一発でキメるシュナ。さっきの曲よりも声に色気があって、滑らかな感じだ。


 サビは2人が同じ音で歌った。思わず仰け反るような力強さだ。


 歌うシュナとパイモンの表情は、妖しく、色っぽい笑顔であった。


 愛憎渦巻く、狂気を孕んだ曲だった。

 盛大な拍手が起こり、2人はお辞儀してステージから去って行った。


「あ、そろそろ行かないといけないわね。」

「そうでしたわね。後で食べるとしましょうか」


 長女カリオペイアが時間に気づく。クレイオー達もそれに続いた。楽屋に行くのだ。


 食事の方も進む。食べ終わると勝手にお皿が変わるのだ。なんて力なのだと驚く神も多い。

 飲み物も、3種類ほどボトルが置いてあって自分で注げるのだが、ボトルの中身が減らないのである。


「これやったの誰?ゼウス?」

「いやシュナさんでは…?」

「あぁそうか、全能持ってるつってたもんな」

「なぁ」


 そんな会話も聞こえた。


 2品目はスープ。ジャガイモのポタージュである。優しい味わいのポタージュだ。

 3品目はポワソン。真鯛の蒸し煮がでた。にんにくとハーブの香りが豊かで美味しい。身もフワフワであった。


「ん、唯理有、このポワソン美味しいぜ」

「美味しかったでござるな。拙者はもう食べ終えたけど」

「早いな」


 シュナがまたステージに出た。今度はチュチュを着ている。


「2つ目の催しは、私とムーサ達のバレエです。お楽しみください」


 シュナ達はくるみ割り人形を踊った。短縮して30分程。

 ネズミの王様を倒した後の、祝祭の部分から後を行った。主役のクララ役はシュナである。

 お祭りムードで酒が進む。華やかで楽しくて良い事であった。


 バレエらしい繊細な踊りが、見ていて楽しい。ムーサ達はともさくシュナもプロなんだろうな、と唯理有は思った。踊りが安定していて不安がない。


 終わりには、スタンディングオベーションが起こった。


「良かったぞー!」

「綺麗でしたー!!」


 ピューピューと口笛が囃し立てる。シュナも満面の笑みでそれに応え、舞台袖へと戻って行った。


 4品目はソルベであった。レモンソルベ。さっぱりしていて美味しい。魚の脂が流される。

 5品目はアントレ。ローストビーフが出された。


 ムーサ達が着替えて戻ってきた。ローストビーフを食べ始める。


「柔らかくて美味しいわ。いくらでも食べれちゃいそう」

「これちょっと大盛りじゃない?シュナローストビーフ好きなのかな」


 4女タレイアは正解である。

 シュナはローストビーフが好きなのだが、大概可愛らしい盛り付けで食べ足りないなと思うことが多いのだ。なので今回は少し多めに盛った。


 6品目はデザートである。チーズケーキが出た。


「これはシュナの趣味ね。彼女、好きな食べ物はチーズケーキって言っていたわ」

「お上品ですのね。彼女の趣味は私のものと通ずる部分がありますわ」


 次女クレイオーはお嬢様な子である。


「ほぉ、シュナはチーズケーキが好きなのか。今度送るか」


 アポロンはシュナへのプレゼントを考えていた。


「拙者有名なチーズケーキ屋さん知ってるでござるよ。ルツェルンにあるから多分シュナ氏も行ったことあるかもしれないけど」

「また教えてくれ」

「かしこまり」


 約束をとりつけた2人であった。


「トイレ行ってくるマンする!」


 5女エラトーが言う。


「さっきも行ったじゃん!」


 7女ウーラニアーが言う。


「い"いの!」

「トイレなんてなんぼ言ってもいいですしなww」

「そーかー」


 突っかかる割には納得するのが早いのが7女ウーラニアーであった。因みに5女のエラトーと6女のポリュムニアーも同じような感じである。


 皆は、次の演目を楽しみに待った。

星5やブックマークで応援よろしくお願いします。

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