救済編 教会とマッチングパーティ
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「やっぱり神になったからにはさ、教会が欲しいよね」
家でアイスの棒を咥えながら、シュナこと私は話す。アイスが美味しい季節である。
そう、シュナ教、未だに教会がないのだ。拠点はシュナの家である。由々しき事態だ。
「そうですね。アメイモン、作りましょう。宗教の資金を用いて構いません」
「御意に」
話は早い。4コマ漫画である。
早速、土地を買った。競馬や競艇も続けていて、その資産は1兆エニー近くなっている。お金には余裕があるのだ。それに、ちゃんと天界で働いてるし。
幸せはお金で買えると思っているので、お金があるに越したことない。
沢山の教会がルツェルンにできた。
私の趣味でロココ調にしてもらった。ロリータやフレンチガーリー的な可愛さがある。だが神聖さも損なわない、絶妙なバランスの教会だ。少し豪華に広く仕上げてもらった。
シュナ教の教会、って感じである。
私の聖像も置いてみた。横にお賽銭入れもある。
一応ご意見箱も置いてみた。横に張り紙をして、"お祈りは厳選の後、シュナ様に届いています。ここにはグッズの要望などのご意見を頂戴したく存じます"と書いておいた。
お祈りの内容はサタナが取捨選択した後に、私の手が必要なものはリスト化しといてくれる。それから、感謝の気持ちなんかも別のリストでまとめてくれている。
最近は天界に住んでいた分身にも祈りを叶える手伝いをお願いするようにしている。私が忙しくなるのだ、道連れである。
だが、宗教の仕事とは不思議で心が疲れない。直接人を助けているので清々しい気持ちなのだ。体の疲れは神ゆえにないので、疲れは0である。
病院にも要請があった時は行ってる。最近は国外からも病人が来てるらしいからちょっと回数多いけど、まぁこれも楽しいのだ。治療後の笑顔が、鎖から解き放たれた喜びが、命が繋がれた歓びが、目に見えるのでこちらも嬉しくなるのである。
まずは1番近所の教会に行く。
「いやー、立派にできたねぇ」
綺麗な内装に感心する。好みドンピシャだ。
「教会が出来たことはルツェルンひいてはシュウィーツ中にチラシを配って知らせてあります」
「うん、ありがとう」
コピー機はあるのだ。アスモデウスが一眼レフで撮った写真も印刷出来る。所々技術が進んでいる世界である。
早速祈りに来ている人がいた。
「ぁっ、シュナ様だ…!尊いお姿…」
「こんにちは〜」
笑顔で小さく挨拶して会釈する。
聖像の前に土下座して落涙しながら祈っている人がいた。どうしたんだろう。何かあったんだろうか。
「あぁ尊いお姿…ぜひ我が家にも聖像を置きたい…尊すぎるあぁシュナ様」
なにやらブツブツ呟いている。察するに、多分私のガチ勢だろう。
「グッズ?も全然出てないしさ、小さい聖像とか売るといいかもね」
「そうですね。ブロマイドなんかも売れるでしょうね」
一緒に歩くアスモデウスに語りかける。そうだね、神が生きてたらブロマイドも売れるよね。
余談だが、この間(ミラの二の腕の柔らかさの)スクイーズを売り出したら、冗談みたいに売れたのだ。ルツェルンにスクイーズ文化と流行を生み出したのである。
契約した粘土屋と共に嬉しい悲鳴を上げたのは記憶に新しい。幅広い年代を対象に売れたのである。
その際は私個人と分身が中心になって商品を製造しつつ卸したが、今度は宗教を中心にして売り出そう。
宗教に、商業に詳しいメンバーも欲しいなぁと思った。
一応いくつかの教会を見に行った。転移門で。朝から行ったが、普通に1日潰れた。その予定だったから構わないが。
ルツェルンの面積はフランスより一回り大きい位であった。そこに以前の戦で、これまたフランスより一回り大きい位の大きさのシュウィーツが加わったので、ルツェルンの国土面積はイランくらいになった。およそ1,648,000 km²である。
そこに、例として各都道府県、平均面積5000km²に主要都市が3つあるとして、そこに教会を置くという計算で教会を建てた所、数が989になった。
ということで宗教の費用で989個の立派な教会を建てたのだ。とんでもない富豪が信者に何人もいたから出来たことである。貴族とか(ミラちゃんとか)も助けてスポンサーになってもらっていて良かった。1つ3000万エニーで計算しても、30億エニー近くかかっている。細かい装飾の施された教会なのだから、30億エニーでは収まっていないだろう。家具や聖像の値段もある。
ここ最近で1番の大仕事だった。アメイモンも、大工屋が儲かって喜んでいたと言っていた。ボーナスが増えるだろう。
神力でまとめて全部に清掃魔法と火耐性と頑丈さを付けておいたので、掃除は要らないし放火や取り壊しの心配もない。
教会は勿論普段から祈りにはこれるのだが、それだけでは持て余すと思った。ので、定期的にマッチングパーティを開いてカップルを作る手助けをする事にした。
因みに、予約をすれば結婚式も開ける。
マッチングパーティの時間帯は14:00~15:00で1本、15:30~16:30で1本、合わせて2本行う。毎週土曜日と日曜日に行おうと思う。
男性の参加費は6000エニー、女性は1000エニー。
それに合わせて、マッチンパーティのMC、司会進行のバイトも雇うことにした。2本行うと8000エニーの給料が出される。
こちらは教会の案が出た時点から募集していたので、無事必要人数を集めることが出来た。スーツなどのオフィスウェアで行ってもらう。
パーティの内容は総当りである。回転寿司の様に、女性は座っていて男性が席を動く。1回5分の会話をして、お互いの印象を見る。
その後、カードに印象が良かった人に丸を付ける。それを回収し、各々のカードにどの人から印象が良いとされたのかをチェックマークで印していく。
もう一度会話のターンを終えた後、最後に自分がカップルになりたいと思う人をランキング付けして書く。
そして、第一希望同士など、ランキングが高い者同士からカップルになっていく。因みに女子の意見が優先される。例えば、男性がランキングを4としていた女子が、男性のことを1とランキングしていたら、女子の意見が優先されてカップルとなるのだ。
以上がマッチングパーティの内容である。
ということで、マッチングパーティを視察しに来た。
大体5対5位の男女が集まる。今日は1本目は20代〜30代のパーティだ。
見てると、集まっている男の人のいくらかはちょっとモテなそうな感じだった。フツメンの、服のセンスも普通な人もいる。
女の人は普通に可愛い。
パーティが始まる。
パーティは盛り上がりをみせた。皆楽しそうに話している。
だが、お目当てになりそうな人がいなかったであろう人は、2週目は明らかにテンションが下がっていた。
「遊びに行く時はどこに行きたいですか?」
「水族館とか行ってみたいですね〜。あと温泉とか」
「なるほど。分かります、お魚見るの好きですか?」
そんな会話が聞こえてくる。
モテる女の子は笑顔の子だった。
中には話を聞く態度が冷たい子もいた。話しやすさは大事な観点だろうに。
モテてる人が紙を真っ白で出していた。モテるのにカップルにはならないタイプである。
(へ〜、そんな人もいるのか。社会勉強になるな)
私はお水を飲みながら1人頷いた。
2本目は50代のパーティだ。
見てるだけでも、この2人はカップルになるなーとか、この人はモテるだろうなーとか分かるものだった。
オシャレのセンスは割と大事な観点になりそうだ。
このパーティでは、結婚経験のある人が多かった。子供も大きく、新しいパートナーを見つけに来ているらしい。
1人、お医者さんがいた。金のネックレスをしているが、これが嫌味にならないのである。体も絞っていて、モテそうであった。
実際モテた。カップルになって帰って行った。
シュナ教の布教も忘れない。この会場はシュナ教の教会であること、祈りはシュナに届くこと、シュナ神は皆様を見守っていますよ、ということを伝えてもらう。マッチングパーティの度に布教は行ってもらう。
マッチングパーティを初めてから、信者は増えた。カップルになった人からの感謝のお祈りも届いていた。
マッチングパーティの企画は成功を収めたのであった。
(私も恋人とか作った方がいいのかなー)
カップルになって帰っていく人を見ながら思う。
シュナは知らない。近いうちに神生の中でも屈指の出会いがあることを。
シュナは知らない。前代未聞の事柄を、己が起こすことになることなど。
呑気なシュナは、何も知らないのである。
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