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神様にお任せ!!  作者: 砂之寒天


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救済編 ぽっちゃりミラちゃんとダイエット

 目の前には、ボロネーゼ、フライドポテト、ハンバーグ。ピザにコロッケ、キッシュにドリア。豪勢を尽くした様な美味しそうな料理が立ち並ぶ。


「いただきまーす!」


 それを幸せそうな顔で食べる女の子が1人。ミラ・ドール。ルツェルンの子爵家の長女である。現在22歳。


 くるくるした小麦色の髪。ぽちゃっとした全体像に、二重アゴが可愛い。


「美味しい、美味しいです!どれも!」

「あら〜、それは良かったわ。いっぱい食べるのよ」


 ミラのお母様は朗らかに笑う。ミラと同じ小麦色の髪だ。


「だがミラ…そろそろ痩せた方がいいんじゃないか?健康にも悪いだろう」


 ミラのお父様が困ったように言う。ミラの体型はお世辞にも標準体重とは言えない。


「えっ!」


 ガーンとショックを受けた表情のミラ。今までそんなこと言われたことなかったのに!


「お父様…私、痩せます!」

「おお、頑張れ!」


 お父様は笑顔で握りこぶしを作る。

 ということで本日からダイエットを始めたミラ。しかし、何から始めたらいいだろう?ミラは悩む。

 とりあえず庭に出てみた。


「いっそ、ダイエットの神様に師事して欲しいわ」

「その願い、聞き入れた〜!」

「えっ!?」


 何もなかった空中から、空間を割って銀髪の少女が入ってくる。薄い水色で、白のフリルがついたジャージを着ている。所謂天使界隈にありそうなジャージだ。ポニーテールをして青いハチマキを巻いている。


「あ、貴方はシュナ様!?」


 ミラは口をあんぐり開けて驚く。


「お、私の事知ってるの?私も有名になったな〜」


 よいしょ、と言いながら空間の割れ目から降りてくる。


「それは勿論、シュナ教は有名ですから」


 芸能人に会ったかの様な嬉しそうな表情でミラは言う。


「ふふ!皆の幸せが私の幸せ!シュナだよ!」


 両頬を人差し指で指して、片足を曲げてポーズをとる。最近考えた決めゼリフ、キャッチフレーズである。


「私が!貴方のダイエットを手伝いたいと思うよ!神の力で完全サポート!どう?」

「ぜひ!お願いします!謝礼は如何ほど…?」

「謝礼?じゃあシュナ教に入って欲しいかな!」

「入ります!寄付もします」

「ほんと?嬉しいな〜、助けられる人が増えるよ」


 宗教の話になると、ちょっとだけ顔が胡散臭くなるシュナ。だが人間味が溢れて可愛いのである。

 それに、その心の内にあるのは人を助けたいという高尚で優しい心なのだ。宗教家っぽい顔をしようとするので、胡散臭く見えるが。

 ドール家は、シュナ教にとっての太いスポンサーになる。


「今回はなんと!お手伝いさんも来てもらいます!ケイン!サーニャ!」

「こんにちは」

「初めましてだにゃー」


 空間の割れ目から白犬の眼鏡をかけた獣人と三毛猫の獣人が出てくる。2人ともジャージで、それぞれ黒とオレンジのハチマキを巻いている。因みにシュナが用意した。


「は、初めまして」

「2人にはね、一緒に運動をして貰うよ」

「仕事が休みだったのでな。ついてきた」

「遊び…じゃなくて、人助けになるならいいにゃと思って来たにゃ!」

「そうなんですね。でもなんで、予定が合わせられたんですか?」

「それはね、私の神パワーかな」


 シュナは神力で、神の助けを必要としてるリストを作った。その1人にミラがいたので、目をつけたのだ。丁度ケイン達から、明日は空いていると連絡が来ていたので一緒に運動する事にした。

 因みにお金で解決しそうな所は幹部の悪魔達などを使って、シュナ教からの寄付を行っている。手の届く範囲ではあるが、かなり感謝されるのだ。信者も増える。


「ということで!皆で走りこみを行おうか。運動出来る服はある?」

「ありません…」

「って言うと思って!私が買っといたよ」


 準備周到な神とはシュナのことである。ドヤ顔でジャージを出した。薄いオレンジ色のジャージだ。ミラの小麦色の髪と合わせた。


「魔法で着替えさせちゃうね!いい?」

「は、はい!」

「じゃ、それ〜!」


 人差し指を立てながら、シュナは一回転する。

 すると、さながらプリンセスのように、ミラの周りを小鳥が飛び交いキラキラが螺旋状に上っていく。頭のてっぺんまでキラキラが来た時には着替えは終わっていた。髪の毛はポニーテールになって、サーニャと同じオレンジのハチマキをしている。


「まずは走り込み!この広い庭、使ってもいいかな?」

「大丈夫です!よろしくお願いします!」


 勢いよく頭を下げるミラ。シュナは頷く。


「運動効果3倍の魔法かけとくね。じゃあ、スタート!とりあえず1キロ測るね」


 運動効果は上げすぎると、栄養不足で倒れるかもしれないので程々にしておく。そして、走り込みを始めた。


 体重が重いというのは、軽い人に比べてそれだけのダンベルを抱えているようなものである。少し走るだけで大汗をかくし、息も切れる。


「はぁ、はぁ」

「頑張れ、ミラさん!」


 ケインが並走しながら応援する。ミラは返事する余裕などなかった。汗をかきながら頷くだけだ。


 シュナは思った。ミラちゃん、足はめっちゃ速く動かしてるけど、全然進んでない。進むのは遅い。ぽちゃぽちゃ、もちもちしていて可愛い。


 なんとか1キロを完走した。


「1キロ終わり!お疲れ様!」

「はぁ、はぁ、ありがとう、ございます」

「次はね、15分間剣術の練習!二の腕とか足とかに効くよ」

「私が相手するにゃ!」


 サーニャが対戦相手だ。サーニャは剣を持ってカッコよく構える。デデン!サーニャが現れた!って感じだ。


 練習が始まる。シュナは青いチアリーダーの服に変身して、ポンポンを持った。ケインは黒いメガホンを持っている。


「にゃ!自分がお姫様だ!って気持ちだにゃ!」

「じ、自分がお姫様だーっ!!」

「???よく分かんないけど、頑張れー!」


 いまいち意図の掴めない応援だ。


「15分終わり!次は腹筋だよ〜」

「その前に、ちょっと休憩したいにゃ」

「そうだな、1度休んだ方がいい」

「ありがとうございます」


 休憩を挟んだ。15分間である。


「冷たいプロテインあるよ、飲む?」

「わ、ありがとうございます」


 チョコ味のプロテインである。なんだかんだ外さないのはチョコ味だとシュナは思う。


「ミラさんはよく頑張ってるな。真面目なことだ」

「よく私の相手を務めたにゃ。褒めてやるにゃ」

「頑張ってるよね〜、凄い偉い」

「ありがとうございます」


 ぼのぼ〇のような汗をかきながら照れるミラ。ちょっと赤くなっている。


 休憩中、私の目は吸い寄せられていた。何にか?それは、その魅力的な二の腕にである。

ぷにっ


「ひょわっ!?ど、どうかしましたか?師匠!」

「いや、魅力的な二の腕だなぁって」


 凄いもちもちしてた。マシュマロの如きふわふわさ。運動後だがひんやり気持ちいい。


「ねぇ、この柔らかさでスクイーズ作っていい?」

「いいですよ…?嬉しいですか、それ?」

「うん、結構嬉しい」


 サタナに頼んで、スクイーズのレシピを作って貰った。粘土を使えば作れる。因みに、これは後に大流行を収める。ストレス解消にもってこいなのだ。


「よし、15分終わり!皆で腹筋しよ〜。50回だよ!」

「はい!師匠!」

「ん?うん!」


 シュナ達は師匠になったらしい。ちょっと首を傾げたが、すぐ納得したシュナ。


「せーの、いーち」


 皆で声を出しながら、腹筋をする。

 運動って青春だなぁ、とシュナは思った。


「ごーじゅう!お疲れ様!」

「はー、お腹痛いです」

「楽勝だにゃ」

「頑張ったな」


 腹筋50回を終えた。


「今日の運動はここまで!後はね、ご飯の量を指示してくよ」

「分かりました」


 コックさん達に会いに行った。


「平均的な1人分の量なら、何食べてもいいよ。量さえ多くなければ痩せるよ。初めはお腹空くと思うけど、段々胃が小さくなって慣れるからね」

「分かりました」

「それから、枕に安眠の魔法をかけるよ。睡眠の質が良くなると痩せるから!」


 日本にはCPAP(シーパップ)っていうのがあった。寝てる時は呼吸が止まることがあるのだが、その度に呼吸器のCPAPが動いて呼吸を促すのだ。酸素濃度の低下を防ぐので、基礎代謝が良くなって痩せる。

 美意識が高い人や、睡眠時無呼吸症候群の人が使うのだ。


 ミラに枕を持ってきてもらって、安眠の魔法をかける。


「今日のメニューはこれで終わり!私が仕事の日以外は私が来て一緒に運動するね。午後3時くらい!」

「お願いします」


 シュナが仕事の日はパイモンが来た。と言っても2日くらいである。


「一緒に走りますわ〜」

「は、はい!」


 パイモンのナイスバディを見ると、ミラもやる気が燃えるのであった。パイモンはジャージでも色気があった。胸元のチャックに目がいく感じである。


 ミラのお母様も、一緒に運動することがあった。なので、子爵家のお母様ともシュナは繋がりができた。


「娘がお世話になってます」

「いえいえ!娘さん努力家で凄いんですよ」

「あらまぁ、それはそれは」


 穏やかで朗らかなお母様だった。


 そして、1ヶ月。ミラはみるみるうちに痩せていった。

 因みにその間もシュナは色々な人を助けに行った。ミラに付きっきりではないのだ。


「痩せたね〜ミラ!30キロ減ってるよ!」

「はい!ありがとうございます。お父様にも褒められました」


 ミラは嬉しそうだ。可愛かった二重アゴは見る影もなく、スッキリしたフェイスラインが残った。


「元々の代謝は良いみたいだからさ、食事量増やさなければ維持できると思うよ。運動続けるに越したことはないけど」

「分かりました!あの、今日で終わりですか…?」


 ミラが寂しそうに言う。


「うん!そのつもりだよ〜。でも連絡先交換してあるからさ、何かあったら何時でも連絡してね!」

「はい!寂しいですけど、ありがとうございました!頑張れたのは師匠のお陰です」

「それは良かった!じゃあ、最後の運動、しよっか!」

「はい!」


 そうして最後の運動を始める。最初はキツかった運動も、今では楽しめる程余裕が出来たのだった。


「よし!今日もお終い!お疲れ様!」

「ありがとうございました!」


 1ヶ月も一緒に頑張ったので、終わりの日には涙が出てしまうのであった。


「うん!また会おうね、じゃあね!」

「はい、また!」


 そうして、空間の割れ目から家に帰るシュナ。ミラは笑顔で見送った。


「ミラ、よく頑張ったな。お父さん、家の中から見ていたぞ」

「ミラちゃん、よく頑張ったわねぇ。よしよし」

「うん!お母様も、若々しくなったわよね」

「あら〜!これからも続けちゃおうかしら、ミラちゃんもやる?」

「勿論!」


 シュナがいなくなった後も、ミラとミラのお母様は、運動を続けたのであった。すっかりルーティンになって、今では健康体そのものである。食事量も増やさなかった。


 そうして、シュナはまた2人の健康に貢献したのであった。

感想などお寄せいただけると創作の参考になります!皆様は既存キャラがわちゃわちゃしてるのと、新しいキャラとシュナが関わるのはどちらがお好きでしょうか?PVの傾向で行くと前者なのですが、皆様の声をお聞きしたいです!

評価、ブックマーク等で応援よろしくお願いします!して下さった方はありがとうございます!

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