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神様にお任せ!!  作者: 砂之寒天


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殺人鬼マリアの拷問

この話には残酷描写が含まれます。

Twitter、カクヨムもしています。そちらもよろしくお願いします。


調べた時は確かにマリア=苦しみという意味の話を見たのですがそれがいつの間にかなくなっていたし調べても出てこないので困りました。消すのはもったいないのでそのままにしておきます。ハルシネーションだったのでしょう。

苦いという意味はあるみたいです。

 私の名前はマリア・デューラー。ルツェルンの貴族、デューラー家の長女だ。

 マリアとは、苦しみを意味する名前だ。もっとも、母親はそんなつもりで付けたわけじゃないだろうが。きっと、聖母の様に優しい女性になって欲しい、とか願って付けたんだろう。


 私は、己の思想に苦しむ若い女だ。

 私は、人を殺したくて仕方ない。


 衝動だ。支配したい欲求。殺人とは、相手を最も支配する方法の一つであると愚考する。命を支配するのだから。


 私の自己紹介といえば、以下のような感じである。

 傷口、血、死体、終わりを感じさせるものが好きだ。それらが私の笑顔の元になる。


 擬態とか空気を読むとか猫を被るとかが得意なので、真逆そんな人間だとは誰も思わないだろう。両親にも可愛がられていたし、友人もいた。

 素の雰囲気は少し暗めというか、落ち着いている。そして、人の気持ちが分からない。

 親切だけど根は優しくはない。親切は当然のようにするが心が伴っていないのだ。

 かなり思想が特有で、危なげだ。

 私はそんな人間である。


 私の両親は、先日病に倒れて死んだ。親不孝だが、何も感じなかった。ただ、安らかに眠るようには祈った。


 デューラー家は私のモノになった。悲劇はそこから始まる。

 私は興奮していた。この苦しみから解放される日は、今日だ。


「ふはは、ふはははは!」


 今日は雨が降っていた。雷が轟く。


 貴族という立場を最大限に活かし、家に人間を呼ぶ。そして、多彩な方法で拷問し、その末に殺し始めた。


 爪を剥ぎ、指を切り落とし、歯を抜き。鞭打ちし、目玉を抉り、体を熱した鉄棒で焼く。そして、串刺し、嬲り殺し、剣で八つ裂き、鉄の処女で殺していく。


 初めての殺人は、正直緊張した。あぁ、これから禁忌を犯すのだと思うと。それと同時に、酷い興奮を覚えた。私はこれから人を完璧に支配する。人を支配する悦びは、何物にも変え難い。


「な、何故拘束するのです、マリア様。離してください!」

「煩いから黙ってくれないかな」


 私は殺人を犯すという緊張から、ストレスも感じていた。気が立っていて、普段にはない口の悪さだ。


「い、いくよ」

「何故剣を向けるのです!?やめ、やめて下さい、あああああああああ!!!」


 男の腕を刺した。柔らかい肉を裂く感覚が伝わり、骨にぶつかり止まる。夥しい量の血が零れる。


「はぁ、はぁ、はぁ」


 私の呼吸は無意識のうちに荒くなっていた。

 罰されたらどうしよう?いや、私は名門貴族だ。そんなことは起きない。楯突いた者から殺せばいい。


 男は痛みに悶えていた。傷口から滴る血。自分の荒い呼吸が、次第に興奮材料になった。目の前の光景に、ただ恍惚とする。残虐なことをしているという事実が、心を満たすのだ。


 私は興奮そのまま、男の首に向かって剣を振るった。

 鮮血が舞った。成人男性の首は意外と固い。骨の途中で剣は止まる。


「あ"ー…。はは、あはははははは!」


 人を殺した私は解放感に満ち溢れていた。私を縛るものは何も無い。人を殺したい衝動を満たし、支配したい衝動を満たした。法律でさえ私を縛れない。

 血を浴びた顔を上げ、天を仰ぐ。賛美歌の幻聴が聞こえた。


「安らかに、眠ってね」


 歪な優しさを死体に向ける。私というのは、ずっと歪であった。


 前代未聞の悲劇は、まだ始まったばかりである。


〜〜〜


 シュナは悪意を感じ取っていた。いや、悪意と呼ぶべきか分からない純粋な感情を。


 宗教に入教した者は、シュナは神力で全て把握している。その内の何人もが、行方不明になっているのだ。

 初めは特に何も思わなかった。駆け落ちでもしたのかな、と思っていたのだ。

 しかし、なんだか人数が多い。初めの行方不明から3ヶ月が経った。その人数は50人を超える。


 原因を探った所、ルツェルンの貴族、デューラー家で全員が殺されていることが分かった。


 それも、たった一人の少女が殺していると分かったのだ。

 マリア・デューラー。苦しみの名を冠する少女。

 ちょっと警備隊に掛け合ってみたところ、ここ3ヶ月での行方不明者の数は150人を超えるらしい。つまり、凡そその数の人間がマリアに殺されている。


 私は神妙な面持ちになってしまった。これ、これだけ無辜の民を殺したら地獄行き確定だろな、結構苦しそうだなと思ったのだ。

 信者を救うのも、悪しき者に天罰を与えるのも私の役目。


 私はマリア・デューラーの家に捜索に行くことにしたのだ。


〜〜〜


 デューラー家の広い庭を歩く。異様な臭気が漂っていた。

 なんだか地面がボコボコしている気がする。

 シュナは、少し神力で掘ってみた。すると、死体が出てきた。


「おぉ…」


 思わずそんな声が出た。分かりやすい証拠が出てきたものだ。


 デューラー家の扉を叩く。


「シュナ教の神、シュナですー、お話があって来ました」


 少しすると、ウェーブのかかった長い茶髪の少女が出てきた。


「宗教勧誘ですか?間に合ってます」


 とんだ勘違いである。


「違う違う違う。私の信者が行方不明なんだよね。行先がここだったからさ、調査しに来たの」

「…お帰りください。ここには何もありません」


 しらばっくれるつもりか?


「嘘だぁ。さっき庭掘ったら死体出てきたもん」

「っ!?そこまで分かっているのですね。ならば貴方も殺すしかありません。


 マリアは瞬時に臨時体制をとる。


鉄の処女(アイアン・メイデン)!」

「おっ」


 空から鉄の処女が降ってきて、私を拘束した。

 殺人鬼マリアは、凡そ100人を殺したあたりで、スキルに目覚めたのだ。それが鉄の処女(アイアン・メイデン)である。


「え、なにこれ。すご」

「怖くないのですか?もうすぐ貴方は死ぬのですよ?」

「死ぬと思う?やってみなよ」

「黙りなさい」


 私はあくまで余裕の表情である。煽る煽る。


「…閉じろ(クローズ)


 私の体を鉄の処女の針が刺す。痛みはなくしてある。

 体を針が突き刺す奇妙な感覚だけ残った。痛みがなくても気持ち悪い。


「どうです?黙る気にはなりましたか?もっとも、もう話せはなしないでしょうが」

「…うーん、気持ち悪かった」

「!?」


 鉄の処女の中から話しかける。


開け(オープン)!なぜまだ話せるんですかっ!?」

「神だもん。死なないよ、死のうとしても」


 穴だらけの体で、マリアを見つめる。

 ゾッとした表情で、マリアは剣を持った。

 私は傷を治す。


「肉塊にしてしまえば、変わらないことです!」


 斬りかかってくる。私も亜空間から剣を出し、応戦した。

 私は呑気に、サタナを使わず素の実力で戦っていた。この子の天罰は何にしようかな、と考えているのだ。完璧に舐めている。


「貰ったっ!」

「おっ」


 私の首が飛ぶ。簡単に飛んだ。

 景色が急落下して、地面を転がる。私は神力で状況を把握した。


「うん、決めた。私がマリアを拷問しよう。そうしたらあの世での罰も減るんじゃないかな」

「何を戯けたことを!」


 のんびりしてたら、右腕も飛ばされた。

 なかなかグロテスクな光景である。


「あーあ…」

「化け物め。成敗してやります」

「ちょっと待ってよ。腕と頭くっつけるから」

「待つか!拘束してくれる」


 待ってくれなかった。のそのそしてる間に、私の体は拘束されてしまった。そのまま室内に運び込まれて、椅子に縛り付けられる。


「あーれー」

「巫山戯ないでください!緊張感の無いやつですね!」


 神になると分かるのだが、どうにも緊張感に欠けるのだ。

 ここでやっと私は動いた。


交代(チェンジ)

「なっ」


 私とマリアの位置を入れ替えた。神力で生首と右腕を引き寄せて、体にくっつける。


 周りを見ると、色々な拷問器具がある。箱の中に刃が敷き詰められているもの、指を切り落とせるもの、血のついたペンチ。何に使うのか分からないものまである。


 そうして私は、マリアの拷問を始めた。


〜〜〜


「マリア、覚悟してね」


 女は恐ろしい表情で言う。見るだけでゾッとするような、冷たい血が流れていそうな表情だ。


「ひっ。や、やめろ」


 喉から情けない声が出る。息が詰まって、苦しかった。


「今まで何人殺したの?」

「ひゃ、153人。毎日殺し方を日記に書いて、見返してた」

「うわぁ、いっぱい殺しちゃったね。それにすごい趣味だ」


 今日も雷が鳴っていた。壁を叩くような轟音が部屋中に響き渡る。


「じゃあ、始めるよ」

「いやだ、たすけ、助けて誰か!!」

「防音魔法張ってるから意味ないよ」


 爪にペンチがかけられる。(マリア)はそれを、泣きながら見ていた。


「ご、ごめんなさいごめんなさい、もうしませんから、」


 必死に命乞いをする。自分が痛いのは怖い。形振り構っていられない。


「せーの、」


 しかし無慈悲にも、バキィ、と爪が剥がされる。


「あああああああ!!!」


 自分の声が意識の遠くにあった。目をつぶり、ただ叫ぶ。


「2枚目行くよ、せーの」

「もうやだ、もう、あ"あああああああっ!」


 泣きながら首を振るが、聞いて貰えない。

 そして、雷の音をかき消すほど、喉が張り裂けそうなほどの絶叫。

 いっそ意識を失ってしまえれば楽だと思った。


 暫くして、爪の全てを剥がされたところで、私の反抗心はズタズタになっていた。心が折れていた。想像を絶する痛みだった。


 虚ろな目をして思う。法律でさえ裁くことはなかった私を裁いたのは、神であったのだ。

 なんだか諦めた心地になった。煮るでも焼くでも好きにしたらいいじゃないか。


「はは、ははは…」

「壊れちゃったか。でも、まだまだいくよ」


 次は指を1本1本落とすらしい。私の指にノミを添えて、上にトンカチを当てる。私も何度も人にやってきたから、何をするか分かる。


「はは、はははははは!」


 指が落とされると同時に、笑い声は強くなる。もう可笑しかった。頭も可笑しくなってしまった。


 拷問は、5時間にも渡って行われた。私の体はボロ雑巾のようになり、血だらけだ。


「153人分の痛みは味わえないけど、少しは罪が軽くなったんじゃないかな」


  神はそういう。残酷な神もいたものだと思った。


「そうだ、悪魔に魂を食べてもらおう。そうしたら天界に行かなくて済むよ。じゃあ、署に行こうか。傷は治しとこうね。それから今日の拷問の記憶も消しとこう」


 あぁ、神なんだな、こいつは。と最後に思った。


 気がついたら、私は牢獄の中にいた。死刑判決だった。


 ギロチンが降りる時、悪魔の笑い声が聞こえた気がした。

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パイモン「星5、押してくださるかしら?お願いしますわ」

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