古代迷宮(アーティファクト)にて②
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元の道に戻り、部屋を進む。
少し開けた所に行くと、そこには魔物のウィッチが宙に浮いていた。
『雷ウィッチです』
なるほど、雷属性か。
「キュアアアッ!」
ウィッチが奇声を発しながら、杖を振って雷魔法を沢山出す。防御魔法を張っておく。
皆は動いて避けていた。
「電気砲弾!」
ジェイデンさんも雷魔法を出して相殺した。
続けて幾つもの雷魔法を打つ。が、それもまたウィッチに相殺されてしまう。
「埒が明かないな…」
ジェイデンがボヤく。悔しそうに表情が歪んでいる。ちょっとイライラしてそうだ。
「俺に任せろ。泥之手」
アメイモンが呪文を唱えると、泥から出来た手がウィッチを締め上げた。
私も何かしよう。
「氷砲弾!」
お馴染みの4m四方の氷魔法である。なんだかんだこれが使いやすい。
「ウ"ゥ…」
氷砲弾がウィッチに当たり、苦しそうに唸った。
「泥砲弾!」
アメイモンが同時に魔法を展開し、泥砲弾をウィッチに当てた。
「ギィャァァ!!」
ウィッチが叫び声を上げ、地面に落ちる。
「やったか…?」
「ドロップアイテム回収するな」
ジェイデンがウィッチに近付く。宝物とか、ドロップアイテムとか好きなんだろう。動きが早い。
不意に、ウィッチがピクリ、と動いたように見えた。
「!!危ないっ!!」
モモナがジェイデンを抱えて横に避ける。ジェイデンがいた所に、不意打ちの雷魔法が炸裂した。
続けてモモナが地面を這うウィッチにかかと落としをし、頭を叩き割る。
「はぁっ!」
バキッ、と音がする。
今度こそ倒しただろう。
「あ、ありがとう。助かった」
「いい。いつも助けて貰っているだろ。お互い様だ」
友情、いや、姉妹愛という感じであった。
「今度こそドロップアイテムを回収するぞ」
そう言いながら、ジェイデンは魔晶石と杖を回収した。
扉を開け、次の部屋に行く。
そこには青空があった。トロッコで結構降りたのに。周りの壁は崖のようになっていて、高い高低差がある。開けていて、岩場地帯になっていた。
そして、お目当ての巨大ロボットが鎮座していた。奈良の大仏くらい大きい。こういうの、オリエンスが好きそうだ。
「お、あったね」
「あれだな」
近付くと、ロボットの目に光が入った。そして、右手に付いた刃先のギザギザした回転カッターが回り出した。左手は筒状になっている。何が出てくるのだろう。ちょっとワクワクした。決してふざけては無い。ないったらない。
私とは違い、ルーカス達の表情は真剣そのものである。そりゃそうかもしれない。命を狙ってきた相手なのだから。
ロボットが動き、こちらに向かってカッターを向けてくる。横薙ぎだ。
皆素早い動きで後ろに避けた。
「電気砲弾!」
ジェイデンさんが雷魔法を放つ。ロボットがちょっと怯んだ。
「はぁーっ!」
その隙にモモナさんがロボットの腕を駆けて登り、頭に蹴りをいれた。
しかしロボットは倒れない。左手の筒をこちらに向け、そこから火炎放射がなされた。
延長線上には、腕から降りてきたモモナがいる。なんとか避けていた。が、少し当たったようだ。
「あついっ!」
そしてすかさずそこに、右手のカッターが向かう。モモナが危ない。
そこにルーカスが行き、剣でカッターを上手く弾いた。ルーカスは少し震えている。が、
「我は第3王子ぞ…!これくらいでは怯まん!!」
そういいながら自分を鼓舞し、ロボットの右足関節に向かって突きの攻撃をした。剣が刺さる。
「私も行こう!」
そこに立ち上がったモモナが蹴りを入れた。剣は右足を貫通し、ロボットの斜め後ろに落ちた。
右足を失ったロボットが仰向けに倒れる。
倒れたロボットは左手を構え、こちらに火炎放射をしようとする。
「私も助太刀しましょう」
するとアスモデウスが左手の方に駆けていき、蹴りで左手を破壊した。力が強い。
「泥之手」
アメイモンが泥之手でロボットの右手を拘束した。
「うおおお!」
ルーカスが剣を取りに行き、倒れているロボットの心臓部に剣を突き刺した。
するとロボットは光を失い、動きを停止した。
「やった…!」
「ナイスだルーカス!」
モモナが駆けつけ、心臓部の装甲を剥がす。すると中から、白髪のおじいさんが出てきた。既に亡くなっている。
ロボットの心臓部に居たのは、第3王子の執事をしていた男であった。第3王子を誰よりも近く見てきたその人だ。
「じいや、なぜ…」
「っ…ルーカスの執事じゃないか…」
モモナも絶句している。
「じいやは…ロボットの騒動がある少し前に行方不明になっていたのだ」
「そうだったんだ」
なんとも痛ましい話である。何者かに利用されたのだろうか。
「聞いてみようか?」
「は…?もう死んでるだろう?」
「生き返らせられるよ」
何言ってんだこいつ、って顔でこっちを見てくる。
「シュナ様が出来ると言っているのです。信じないのですか?」
アスモデウスが凄む。
「や、いや信じない訳では無いぞ!?」
「だ、だができるのか。そんなこと」
慌てて否定するルーカス。ジェイデンは不信気味だ。ここはやって見せるのが早いであろう。
「やってみせるよ」
私は仰々しく両手を広げ、
「命よ、吹き返せ」
そう唱えた。空中から光の粒が集まって、執事の傷を癒す。
そして。執事はゆっくりと息をし始めた。
「う…ん…?」
「ほ、ほんとに生き返った…!」
「まるで神の力だ。真逆、お前は神なのか?…なんてな」
モモナは目を見開いて執事を見る。ジェイデンは鋭いことを言う。
「神かもね。崇めてもいいよ」
「我としては崇めたい所だぞ。シュナの神。」
自分から言ったが、ちょっと恥ずかしかった。
執事は起きて、瞬いた。
「坊ちゃま…なぜここに?」
「じいやこそ…なぜ、なぜこんなことをしておるのだ!!」
ルーカスが怒鳴った。
執事は辺りを見渡す。状況が飲み込めないようだった。
「なんじゃ、これは…訳が分からん」
「本当に記憶にないの?」
私も聞いてみる。自白効果を乗せた。
「な、ない。少し前に頭を殴られて、倒れてから記憶にないのじゃ」
「じいやが居なくなったのは1週間ほど前だ」
「1週間も…!?何も覚えてないですじゃ」
ふむ。黒幕は別にいるらしい。
「調査、手伝おうか」
「いいのか…?うちの国の問題だぞ」
「いいよ。気になるし。ちょっと部下呼ぶね」
内部調査ならパイモンが上手そうだ。テレパシーでパイモンと繋ぐ。
(もしもしパイモン?シュナだけど、今いいかな)
(構いませんわよ。どうかしましたの?)
(ちょっと調査をお願いしたくて。かくかくしかじかで…)
(なるほど。分かりましたわ。転移門を出してくださるかしら?)
(わかった!)
転移門を出して、パイモンを呼んだ。
「調査は私の部下のパイモンも手伝ってくれるから、ルーカスの城まで案内してくれる?」
「構わんぞ。どうやるのだ?」
「私の魅了之声で相手を魅了して、聞き込みを行うんですの」
「勿論私も手伝うよ。」
「そなたはどうやるのだ?」
「私は、ロボットを第3王子達に仕掛けた犯人について知ってることを言え、っていうだけで吐いてくれるから」
「そなたもその悪魔も、恐ろしい力を持っているのだな…」
ちょっと自白効果を乗せればちょちょいのちょいである。
ということでルーカスが城に招いてくれた。迷宮からは少し歩くくらいの距離であった。
ロボットを倒すのを手伝ったお礼という事になっている。
城はアラビアンな感じであった。丸い屋根が可愛い。
道を行く白衣を来た男が、少し嫌そうに第3王子を見ながら歩いているのを見つけた。
コソッとパイモンに話しかける。
「パイモン、あの男」
「分かってますわ」
流石パイモン。話が早い。
パイモンは男に近付くと、少し前屈みになって、髪を耳にかけながら上目遣いをした。
「魅了之声。ちょっとそこの貴方、お話聞かせ下さる?」
「は、はい喜んで!」
パイモンの声が、ちょっとうわんうわんして聞こえた。
所で谷間が見えてるんじゃないだろうか、アレ。男は真っ赤になって、ピシッと立ち直した。
「第3王子達を襲った、ロボットについて何か知ってることは無いかしら」
「はい!第4王子の母君、王の妾の方から、第4王子以外を殺すために、と依頼されて作りました!」
「なるほど、ありがとう」
「いえ!!」
パイモンは男に投げキスをした。男は鼻血を出してフラフラしながらどこかに行ってしまった。
魅了、ちょっとかけられてみたい所あるな。
「シュナ様、情報が得られました」
「うん、ありがとう。聞いてたよ。」
「第4王子…コナーの母上か」
モモナが言う。コナーと言うのか。
あの男、依頼された側としては第3王子はめの上のたんこぶの様なものだっただろう。
「ありがとう。黒幕は掴めた。」
「どうせなら自白までさせるよ」
「そこまでしてもらっては悪いが…助かる」
「うん。第4王子の母君は、どこにいるの?」
「ついてくるがいい」
衛兵を連れて、少し離れた豪華な部屋に来た。
衛兵がドアをノックする。中から美人さんが出てきた。
ズイ、と前に出る。
威圧+自白効果を乗せて話し出す。
「こんにちは、第4王子のお母様。第3王子達にロボットをけしかけたのは、貴方ですか?」
あくまで私の話し方は、優しくゆっくりだった。
「ヒッ…は、はい間違いありません…!すみませんでした…!」
「…だってさ。自白、終わったよ」
「は、もう…?いや見てたから分かるが…早かったな」
「後は任せたよ。あ、そうだ、迷宮の財宝、どこに置いたらいい?」
第3王子にコソッと聞く。
「あ、あぁ、それなら我の宝物庫に置くがよい。案内しよう。お前達!彼女を牢に入れろ!」
「はっ!」
衛兵の統率の取れていることであった。
こうしてロボット暴走事件は解決し、幕を閉じたのであった。
ジェイデンはと言うと。
「ルーカス。私の分もあるだろうな?」
「勿論山分けだ。」
「だよな」
財宝の心配をしていた。
「それじゃ、私達も帰ろっか」
「そうだ、折角来たのだから我らの国に滞在したらよいぞ」
「あ、確かにそうだね!観光してくよ」
「うむ。それがよい。今夜は我が城に泊まるがよい」
「ありがとう。部下もう2人呼んでいいかな?」
「構わんぞ。我が城は広いからな。」
ルーカスは太っ腹であった。
テレパシーで確認をとってから、2人を転移門で迎える。
そうしてその夜はバレの城に泊まったのであった。
ちょっと洞窟っぽいお風呂は広いし、布団もフカフカ。全部アラビアンなのがオシャレで良かった。
料理は砂漠の国らしい、ケバブやフムス、ファラフェルが出た。いつもと違う味わいで美味しい。
ちなみにケバブは肉や野菜をパンで挟んだもの。フムスは茹でたひよこ豆をペースト状にした料理。ファラフェルは潰したひよこ豆やそら豆に香辛料を加えて、丸めて揚げたもの。日本でいうコロッケのような料理らしい。
どれも美味しかった。
その日の楽しい冒険と美味しい食事も相まって、大満足で寝たのであった。




