彼女ばれ?
6
まずい。
本当に知り合いと出会ってしまった。
しかもよりによって、コイツらと。
どう言い逃れするべきか。
「よお、優。まさかこんなところで会うなんて偶然だな。」
こいつ、なんかにやけてやがる。
絶対俺をからかうつもりだ。
「あ、ああ。偶然だな。」
俺は冷や汗をかく。
頼むから葉月、俺のことを彼氏だなんていうなよ。
「ねえ、優くん。隣にいる可愛い女の子は誰かなー。もしかして彼女だっだりして?」
「ああ、そうじゃぞ。妾は優の彼女じゃ。」
言いやがったー。俺は彼女作らないキャラでいたのに。
「ま、まじかよ!お前に彼女なんて!」
うわー
ガチで俺に彼女が出来たと思ってるじゃん。
ここはのるべきなのか?
「えー、どこで出会ったの?こんな可愛い子そうそういないよ。」
浅野さんが俺に問いかけてくる。
「そ、それはなんというか。」
道端に倒れていたところを見つけて、拾ってきたなんて口が裂けても言えない。
俺は葉月に目配せする。
なんかいい感じに誤魔化してくれ!!
「優と妾は、約一ヶ月ほど前に出会ったんじゃ。妾が道に迷っているところを助けてくれて、それをきっかけに仲良くなり始めたんじゃ。」
俺の目配せを感じだったようだ。
テキトー感が否めないが咄嗟の嘘にしては上出来じゃないだろうか。
「へー、そうなんだ。優ってなんだかんだいって面倒見良いからね。実は優って女子の中じゃ意外と人気なんだよ。で、名前はなんでいうのかな?」
浅野さんが言う。
「妾の名は、葉月じゃ。よろしく頼む。」
「葉月ちゃんっていうんだ。可愛い名前だね。てか、さっきから気になってたけどその喋り方なに?」
やっぱりいうと思った。
これに関しては良い言い訳が全く思いつかない。
葉月、頼む。なんか良い言い訳を考えてくれ。
「ふむ、この喋り方は妾の家で代々受け継がれてきたものじゃ。小さい頃からこう教育されたゆえ、今もこの喋り方のままなのじゃ。」
天才か!
本当か嘘かわからないギリギリのラインだ。
「へー、そうなんだ。でも、その喋り方の方がなんか葉月ちゃんに合ってる気がするよ!」
浅野さんはやっぱ陽キャだな。
葉月ともすぐに仲良く慣れそうだ。
「おい、優。なんだよこの可愛い彼女。聞いてねえぞ。」
はぁ
また、めんどくさいやつが来た。
「言ってなかったからな。お前に話したら一生からかわれそうだからな。」
「おーい。俺とお前の中だろ。そう簡単に言いふらしだらしないよ。」
「別に信用してないってわけじゃないよ。ただ、言うのが恥ずかしかっただけだ。」
「そうならそう言ってくれよ。お前も可愛いとかあるじゃないか。」
「はいはい。」
俺と緑原が話していると、浅野さんと葉月がこっちに向かってきた。
「優くん、邪魔しちゃってごめんね。」
「いやいや、全然邪魔じゃないよ。」
もし邪魔だったなんて言ったら、殺されるかもしれないしそんなこと言えるわけない。
「おう、お前に彼女がいることがわかってびっくりしたぜ。詳しくはまた今度会った時に聞かせろよー」
そう言って、浅野さんと緑原は離れて行った。
あいつらも夏休み初日からデートしてるなんて。
なんか悲しくなってきた。
でも、今年は葉月がいる。
間違いなく、去年の俺はこんなことしてないし成長している気がする。
「優よ、妾の咄嗟の嘘。見事じゃなかったか?」
「ああ、そうだな。助かったよ。ほんと。」
ふむふむ、そうじゃろう。と上機嫌に葉月は笑った。
「はぁ、ちょっと疲れたな。早くデザート食べに行こうぜ。」
うむ、と葉月が行って俺たちはカフェに向かったのであった。