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お食事

5話

「なあ、葉月。いく場所は決めてあるのか?」


「特に決めておらん。目がついた場所にいくのじゃ。」


「そんなテキトーでいいのか?」


「いいのじゃ。妾がただ観光したいだけじゃからな」


「ん?お前は、このあたりの事よく知らないのか?」


「そうじゃが、それがどうかしたのか?」


なら、葉月は一体どこから来たんだ?


「どうかしたのか?」


なんでもない、と俺は言った。


今、詮索するのはあまり良くないと思ったからだ。


そう言って俺たちは家を出た。



「なあ、葉月。ちょっとした疑問なんだが、今も俺しか葉月のことが見えないのか?」


「ああ、それか。それなら、妾たちが家から出た時に術を解いた。それゆえ今妾の姿は誰にもでも見えるな。」


そうか、と俺は言った。


「なんじゃ、妾が横に居るのは嫌か?」


「いやじゃないけど、知り合いに会ったらなんて説明しようかなと思って。」


葉月は少し恥ずかしそうにこう言った。


「その時は、彼女、とでも言えば良い。そうすれば、誤解を招かずに済むだろう。」


「いつから俺とお前は付き合ったんだ?まあ、いいけど、余計ややこしくなりそうだな。」


ふん、といって葉月はそっぽを向いてしまった。


「あとさ、ちょっと思ったんだけど、その喋り方どうにかならないか?傍から見たら、お前ちょっと痛いやつに見えるぞ」


「何を言っておる、この喋り方はとても高貴なものの喋り方だぞ。妾のプライドにかけてこの喋り方はやめん。」


葉月は少し怒ったように言った。


「はぁ、わかったよ。たしかにその喋り方以外だと違和感しかないからな。」


少し機嫌を直してくれたようだ。


よかった。



俺たちは、家から少し歩いたところにあるショッピングモールに来ていた。


結構な広さで、葉月も色々なところに目移りしている。


「何か、珍しいものはあったか?」


「凄まじいな、今の人間はこのような技術発展を遂げているのだな。」


葉月は立ち尽くしていた。


よほど衝撃的だったのだろう


ていうか、こいつ1000年前から生きてるんだよな


にしては、世間のことを知らなすぎる


こいつ、俺に出会うまで一体どこにいたんだ?


まあ詮索はよしておこう


もしかしたらいつか話してくれるかもしれないし。


「人間も、捨てたもんじゃないだろ。別に俺は何もしてないけど。」


「ああ、そうじゃな。」


短い言葉だった。


それだけ驚いてるということだろう。


しばしの無言がある中、俺は話を切り出す。


「なあ、少しお腹減ったから飯でも食べにいかないか? ってそういえばお前吸血鬼だったな。血以外にも食べれるのか?」


「妾を誰だと思っておる。人間に近い味覚を持っておる。普通の吸血鬼は血しか飲めんがのう。」


葉月が得意げにいう。自慢したかったのだろう


「なら、あそこの店に入ろうぜ」


「うむ、よかろう。」


店の中に入る。


洋食店なようで、雰囲気もかなりいい感じだ。


店員さんに何名ですかと、訊かれたので2名です、と応える。


葉月は少し、もじもじしているようでちょっと落ち着きがない。


始めてくるのだから、仕方ないだろう。


俺と葉月は、テーブル席に座りメニューを開く。


「何か食べたいものはあるか?」


葉月はメニューを睨め付けるように見て、難しそうにこう言った。


「全てうまそうじゃな。目移りしてしまって一つに決めれんぞ。」


「そうか。初めは何を食べればいいかわからないよな。もし良かったら俺が決めようか?」


「むむ、そうじゃな。そなたが決めてくれ。」


と言っても、俺も決まってないんだよな。


ここのメニュー本当どれも美味しそうだし、目移りする葉月の気持ちもわかる。


でもここは、俺が好きなハンバーグを注文しよう。


でも、葉月が肉を食えない可能性もあるな。一応聞いとくか。


「なあ葉月、お前肉は食えるか?」


「もちろん食えるぞ。もしかして美味しい肉料理を選んでくれるのか?」


「それは、きてからのお楽しみだ。」


俺は、メニューを決め店員さんを読んびハンバーグを注文した。


葉月は、待ちきれないようで、俺に


「まだ、こんのか。ここの店は品を出すのが遅いんじゃないか」


と言った。


「まだ、5分またっていないだろう。少しは待てって。」


むー、と言って俺を少し睨みつける。


早く遊びたい子供みたいだ。


「そなた、また妾を馬鹿にしたな」


「してないって。」


俺たちが冗談を話していると、料理が届いた。


そこには、ジューシーに焼かれ黄金の輝きを放っていたハンバーグがあった。


ごくり。


俺はお腹が減っていたので、余計美味しそうに見えた。


「なんじゃ、これは。こんなもの見たことないぞ。優よ、早く食べて良いか?もう待ちきれないぞ。」


「ああ、ご飯と一緒に食べると美味しいぞ。」


「そうなのか、よし。」


そう言って葉月はナイフを持って、ハンバーグに切り込みを入れる。


そこからは大量の肉汁が出てきて、美味しそうな肉の香りが漂っていた。


そして、葉月が切ったハンバーグをフォークで刺し、口に持っていく。


ぱく


「な、なんじゃ。これ」


絶句している。


「どうだ?うまいだろ」


俺は自分で作ったことわけではないのが俺は自慢げに聞く。


「ああ、今まで感じたことのない味じゃ。肉の臭みが全くなく、完璧に火が通してある。人間の料理はここまで極まっているのか。」


極まっている、か。確かに俺たちの食べてる料理は数々の試行錯誤の上で出来上がっている。


先人様々だな。


さあ、俺も腹が減ったしさっさと食べよう。


ぱくっ


やっぱりうまい。


最初にハンバーグを食べさせたのは正解だったな。


そして、俺と葉月は一瞬にして全て食べてしまった。


「ふう、たくさん食べたのう。満足じゃ。」


「ふふふ、葉月よ。本当にそれで満足か?」



俺は不敵に笑ってみせる。


「な、なんじゃ。まだ何かあるのか?」


「食後のデザート、食べたくないか?」


「で、デザート。それはつまり甘味のことじゃない。ふふ、面白いでわないか。こちらの甘味がどれほどの味なのか、妾が試してやる。」


意外と葉月は食いしん坊なのかもな


「そうと決まれば、早く店を出よう。今日は、俺が奢ってやる。」


「そなたにしては、気が効くじゃないか。」


そして俺は会計をする。


2人で3500円。


俺からしたら決して安い金額ではないが、たまにはこういうご褒美があってもいいよな。


そして、俺たちが店を出ようとした時、見知った顔がこちらをみているのを発見した。


そこにいたのは、俺を夏休み前にカラオケに連れて行った張本人。


緑原駿と浅野心美だった。













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