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吸血鬼

2話

「血を、、吸わせて、、ください」


目の前に女の子が倒れている。


血?


この子は何を言っているんだ?


人間が人の血を飲んだら危険なんじゃないのか?


しかし、目の前に女の子が倒れているという状況は生まれて初めての経験だ。


しかも信じられないくらい痩せ細っているし、衰弱してる気さえもする。


「ど、どうすれば」


若干声が震えてしまった。


目の前に死にかけの人間がいるのだ。


もし自分が助けなかったら多分この子は死んでしまう。


「そなた、妾に、血を、吸わせて、、くれんか」





俺は返答に困った。


血をくれ、なんて人生で一度も言われたことはない。


直接吸うということなんだろうか。


しょうがない、ここは腹をくくるか!


「そ、その。もし俺の血で良ければ吸ってもいいよ」


女の子は安心したような顔を見せ俺の首に噛みついた。


「感謝する。」


その言葉が最後に聞こえて、その瞬間俺の意識は途切れた。








「おい、おきろ。そなた、眠り過ぎじゃ。そろそろ起きないと妾の神経が破裂してしまうぞ。」


声が聞こえる。


聞き覚えのない声だ。こんな声の知り合いいなかった気がするけど。


いや、どこかで聞いたことがあるような


「おい」


その時、やっと俺は目が覚めた。


目の前にきれいな少女がいる。年は俺と同じくらいか、ちょっと年下くらいか?


てか誰だよ。この子


「あなたは、どちら様ですか?」


「そなたは、もう妾のことを忘れたのか。ちっ、これだから人間は」


俺の言葉に少女は機嫌を損ねたらしい。


しかし、この子のこと俺は全く知らないはずだが。


てか、そういえば倒れていた女の子はどこへ行った?


すごく衰弱しててすごく危険な状態だったと思うんだけど


「そ、そのそこにいた女の子知りませんか?すごく衰弱している子がいたと思うんですけど」


「はぁー、おい人間。お前に目はついているのか。目の前におるのがその衰弱していた女の子だ。忌々しい」


俺は自分の目を疑った。そんなはずはない。たしかに暗くて顔はよく見えなかったけど、すごくやせ細ってたし。


てか、何で俺は気を失っていたんだ?


うーん、どうしてだっけなあ。


そうだ。首を噛まれて気絶したんだった。


首元を触るとちょうど噛まれた跡があった。


「もしかして、俺の首かみました?」


少女は呆れたように言う。


「さっきからそうだと言っておるであろう。貴様は考えることもできんのか。」


さっきから、すごい毒舌だな。もしかして、怒っているのか?


俺は別に何もしてないとは思うが。


しかし、この少女があの衰弱して弱りきっていた女の子だと言うのならそれは驚きだ。


血を吸うだけで、あそこまで回復するということなのか?


だとすると、俺はこの少女を救った恩人ということになる。


依然として、キレられる覚えは全く無いが・・・


「はぁ、こんな人間に助けられるとは。昔の人間はもっと察しが良かったと思うんだがな」


少女が毒を吐く。


「ふむ、そなたも少し困惑しているようだな。ここは、妾から自己紹介をしてやろう。妾は1000年を生きる大吸血鬼。名はない。皆からは始祖様と呼ばれておる。」


「きゅ、吸血鬼?そんなの本当に実在するのか?」


目の前に俺が助けた吸血鬼がいるとはいえ、とても信じがたい。


「ここに妾がおるであろう。それに、そなたは妾に血を献上し妾のことを救ったのだ。これはとても光栄なことなだぞ。もっと喜ぶがいい」


「・・・」


なんて反応したらいいんだ。


「そなたは、嬉しくないのか?妾の眷属たちは皆泣いて喜んだがのう。やはり今人間は少々生ぬるいな。」


生ぬるいって何だよ。


この吸血鬼なんかずれてるなあ。


「おい人間、そなた名前はなんと言うんじゃ。」


「天野優だけど。」


「ふむ、なかなか良い名前じゃな。お前の両親センスが有るようじゃ。」


急にどうしたんだ。名前を褒めるなんて。こいつもしかしてツンデレか?


「おい、優。そなたは今妾のことを馬鹿にしておらんかったか。」


「してない」


それない良い、と言ってなんとか機嫌を直してくれた。


「それより、そのさっき名前はないって言ってなかったですか?」


「ふむ。たしかに妾にはながないな。皆からは始祖様と言われてる故、別に気にせんかったが。」


何やら少し考えて少女は言う。


「それなら、そなたが妾に名前をつけんか?そなたは妾を助けてくれた恩人なのじゃ。それくらいの褒美はくれてやろう。」


俺が名前を?


無理無理。


俺絶望的にセンスがないし。ありきたりな名前しかつけられない。


でもここで断ると、妾のプライドがそれを許さない、とか言ってキレてきそうだし。


俺は少し考え込む。


吸血鬼、月。


それっぽい事を考えるがやはりいい名前は出てこない。


「うーん、そうだな。まったく思いつきません」


「おい、妾に敬語を使うでない。そなたは妾を救ったのだ。敬語を使う必要はない。」


「あ、ああ。わかった。」


ふむ、といって機嫌を直してくれた。


「よし、決めた。今日から君の名前は葉月だ。」


「・・・・」


「いや、だったかな?」


「そんな事は言っておらん」


もしかして照れてるのか?


葉月は1000年を生きるとか言ってたけど、以外にかわいいところもあるんだな。


「おい、優また妾をバカにしただろう。」


「いやしてない。」


これが、俺達の最初の出会いだった。


すごく刺激的で、俺の人生を変えると思った。


これからどうなるのか、すごく楽しみだ

感想よろしくお願いします。

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