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その話、本当ですか?続編  作者: ホワイトデビル
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二日目

二日目

翌朝、ジョニーが朝食の支度を終えてナカータさんの寝ている部屋にきた。

ジョニーはドアをノックして中に入ると

ジョニー「ナカータさんよく眠れたか?」

とナカータさんに尋ねた。

ナカータさんの充血した目はばっちり開いていた。昨晩の恐怖を自分の思い違いと証明するために,

あれこれ考えあぐねていて眠れなかった。眠れなかったが、

ナカータさん「ね、眠れました!」

と答えた。

ジョニーはナカータさんのベッドの横に浅く座り、ナカータさんの顔を覗き込むように上から頬を両手で挟むと

ジョニー「どうした?目が真っ赤だぞ?」

と言った。

ジョニーの手が頬に触れた瞬間、ナカータさんは恐怖のあまりちびりそうになった。

ナカータさんの心の声「あぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!!」

ジョニー「痛みと疲労に聞く漢方薬があるからそれを煎じよう。起きれるか?」

そう言うとジョニーは一旦姿勢を戻し、ナカータさんの枕と首の隙間に手を入れて首の後ろから肩にかけて手を廻した。

ナカータさんの顔面は引きつって硬直した。

ナカータさん心の声「ひゃあっハーーン!!」

緊張と全身のこわばりで訳が分からなくなりながらも、ジョニーに手伝ってもらい、ナカータさんは上半身を起こした。ジョニーが掛布団をめくってくれたので、ナカータさんはベッドから足を降ろした。昨日より足の痛みは引いていた。何とか壁を支えにすれば自立歩行もイケそうだ。

ナカータさん「ジョニーさん、一人でも歩けそうです。トイレに行って顔洗ってから行きます。」

ジョニー「そうか。無理はしないように」

そう言うと、ジョニーはリビングに戻った。

その後、ナカータさんはトイレに入り、便器に座ると脱力した。

そして考えた。「きっと思い過ごしだ、ジョニーさんはただ親切なだけだ。でも何でしょう、この違和感に近いもやもやした感じは・・・。そんなことよりここは早めにお暇しなければ。」

朝食のあと、ナカータさんは一旦部屋に戻り、昨日まで着ていた汚い服に着替えた。そしてジョニーから借りた室内着をきれいに畳むとその上に宿代としてお金をのせ、それをベッドの上に置いた。」

リビングに行くとジョニーは片付けを終えてソファーに座り、書類に目を通していた。ナカータさんはジョニーに声をかけた。別れの挨拶をするために。

ナカータさん「ジョニーさん、本当にいろいろとありがとうございました。だいぶ良くなったので、これで帰ろうと思います。」

ジョニー「・・・まだ、早いんじゃないか?もう少し歩けるようになってからのほうがいい。」

ナカータさん「いえ、お仕事の邪魔にもなりますし、私はこれで失礼させていただきます。また落ち着いたら改めてお礼にきます。」

ナカータさんはそう言うと、壁を支えに玄関に向かった。するとジョニーは立ち上がりナカータさんの正面へ回り込むと、壁に片手をついて進路をふさいだ。

ドン!っと大きな音がした。

ジョニー「だめだ!」

ナカータさんはビクッとした。そして、ジョニーのイケメンな顔と真剣なまなざしに、心底震え上がった。そして固まった。

ナカータさんの心の声「ぎゃあああああああああああ!!近い、顔が近い。私は男ですよ!これは、、女子がキュンキュンくるやつです。あなたはかっこいいけど私はブスです。」

ナカータさん「あ、あの、、」

ナカータさんがそういうと、ジョニーは「ハッ!」として少し頬を赤らめた。そして

ジョニー「済まない。」

と言うと斜め45度下方向へ目を逸らした。そして

ジョニー「せめてちゃんと治るまで、責任を取りたいんだ。だからここにいてほしい。」

と、ナカータさんに訴えた。だがしかし、ナカータさんは

ナカータさん「いや、でも帰ります。」

とバッサリ、きっぱりと断った。しかし、玄関を出てデッキから階段を降りようとした瞬間、足に力が入らずステップを踏み外して下に滑り落ちた。

ガタン!ドスン!と音がした。

ナカータさん「いったあっ!」

と叫んだ。今度はおしりも打った。

ジョニー「ナカータさん!!」

ジョニーが慌てて外へ出て来てくれた。そして

ジョニー「だから言ったじゃないか。まだ治りきっていないのに無茶をするからだぞ

。」

と言って、またしてもお姫様抱っこをするとリビングのソファーまでナカータさんを運んだ。

ナカータさんの口からは魂が抜けかかっていた。

ナカータさんをソファーに静かに横たわらせるとジョニーは部屋着を取りにナカータさんのいた来客用の部屋へ行った。


ナカータさんのいた来客用の部屋から部屋着を持ってきたジョニーが

ジョニー「これは要らない。」

と怒り気味にお金を返してきた。

そしてナカータさんの着替えを手伝った。ナカータさんのシャツのボタンをジョニーが外そうとしたとき、ナカータさんは無意識にガードしてジョニーの右手首をつかんだ。

一瞬、ジョニーの動きが止まった。そして

ジョニー「誰も取って食ったりしないから安心しろ。」

と、言った。

ナカータさん「あ、あの、すみません。」

そういうとナカータさんは手を放した。着替えが済むとジョニーは

ジョニー「これは洗濯しておく。」と言って、汚れた服を持ってバスルームのほうへ行った。

ジョニーはバスルームに入ると洗剤とお湯と洗濯物を盥の中に入れた。そして、先ほどナカータさんに掴まれた右腕の手首を見た。掴まれた右腕の手首は赤く痕が付いていた。ジョニーは赤くなった手首に自分の唇を静かに当てた。

その頃、ナカータさんはソファーの上で魂が抜けていた。

数十分後、魂が戻ってきて起き上がると、ナカータさんは窓の外を見た。外ではジョニーがパン、パン、と洗濯物のしわを伸ばして干していた。そして干ジョニーが洗濯物を干しながら何気なく、ナカータさんのシャツの匂いを嗅いでいるのを目撃してしまった!これは見ないほうがよかったか?ナカータさんは今までの一連の流れを頭の中で急いで整理した。そして、ジョニーのそれらの行為は決して恋愛がらみのヤバイものではない!という方向にもっていくため、否、証明するために色々と考えた。これ以上ジョニーとの関係がおかしな方向に進まないようにするためだ。そうでないと、ここでゆっくり言われるがままに静養なんてできようはずもない。ナカータさんは焦って考えた。今までと何も変わらない日常をこれからも続けるために。

洗濯物干しが終わるとジョニーはリビングに戻り、自分の仕事を始めた。ナカータさんはソファーの上でひたすら考えていた。

考えているうちにいつの間にか眠ってしまった。

目が覚めると日はだいぶ西に傾いていた。小鳥のさえずりが窓の外の近いところで聞こえる、のどかな昼下がりだ。周りを見回すと、そこにジョニーの姿はなく、

リビングのテーブルの上には、取り込まれた洗濯物が畳まれて置いてあった。

ナカータさんは足とおしりの痛みを我慢してトイレへ向かった。用を足していると玄関の扉の開く音がした。そして扉の閉まる音のあとにテーブルの上に何か物を乗せるような音がした。

ナカータさんはトイレから出るとゆっくりとリビングへ進みソファーに座った。ジョニーは街で買い物をしてきたのか、テーブルの上に品物を出していた。

ナカータさんに気が付いたジョニーが先に声をかけてきた。

ジョニー「ナカータさん、町の薬屋で貼り薬を買ってきたからこれを貼ろうか。」

ナカータさん「えっ?ああ、ありがとうございます。」

ジョニー「よし!」

ジョニーはそう言うとナカータさんに近づき

ジョニー「横になってくれるか?」

と言った。

ナカータさんは言われるままに横になった。

そして、

ジョニー「少しおしりを出して。」

と言った。

ジョニーがナカータさんのおしりに湿布を張ろうとしてズボンに手をかけた瞬間、

ナカータさん「いや、大丈夫です!自分で貼ります!」

と慌てて言った。

ジョニー「自分で貼るのは難しいぞ。」

ナカータさん「大丈夫です!」

ジョニー「いいから、」

ナカータさん「本当に大丈夫ですから!自分でやります!」

ジョニー「いいから、じっとしてろ。」

ナカータさん「自分でやれます!!」

ジョニー「動くな。」

と、結局貼ってもらった。

ジョニーが湿布を貼り終えると、早々とナカータさんはパンツとズボンを上げた。

ジョニー「かわいいおしりだった。」

と言った。

ナカータさんはノーコメントだった。

ジョニー「怒ったのか?」

と聞いてきた。ナカータさんは

ナカータ「いいえ、ありがとうございます。」とぶっきらぼうに答えた。

ジョニーはそれを見て少し笑うと後片付けを始めた。

その後、夕食までの間ジョニーはやり残した仕事に取りかかった。

ジョニーは山に生息する様々な生き物の個体数と、生息域などのデータを更新していた。

それに加え、密猟による被害状況の報告書も作成していた。密猟による個体数の激減は食物連鎖のバランスを急速に崩す。自然というものは長い年月を経てその姿・形を変えていく。長い年月をかけるから、生命も同じように長い年月をかけて姿・形を変えていく。もしもそれらのうちのどちらかに急速な変化が訪れれば、もう一方にも急速な変化がおこる。ジョニーは環境を守る者として、毎日地道な調査と、見回りなどを行う。生態系をあるがままの姿にしておくことがどれほど重要なことかわかっているからだ。だが、そんな物事の道理をわきまえることなく私利私欲にのみに没頭するものからすれば、そういう輩はただの邪魔者でしかない。


密猟者A「プリズンカフェの連中が山で半殺しにあったって、お前、知っているか?」

町の酒場でいかにも悪そうな二人が酒を飲んでいた。

密猟者B「ああ、さっきそっちの連中が話しているのが聞こえた。」

密猟者A「あのレンジャーの仕業か?」

密猟者B「いや、どっかのファミリーで、もうプリズンカフェの連中に始末されたらしいぞ。山にはまだ新しい人員を投入していないみたいだって言ってたな。」

密猟者A「そうか。プリズンカフェの連中が消えたとなれば、あとの邪魔ものはレンジャーだけだな。」

密猟者B「どうするんだ?」

密猟者A「消えてもらうのよ。」


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