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ぼっちヒーラー、ゲームの世界に転生する   作者: 猫ともふもふを愛する大臣
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5話

ギルドの登録を済ませた俺は早速クエストボードでDランクのクエストを見てみる。クエストではお金と経験値がもらえるが、ぶっちゃけ後半になると適当な魔物の素材を売れば勝手に金は増えるし、レベルもカンストするので自然と受けなくなる。


とはいえ、ギルドランクは上げておかないと制限があって不便だ。具体的には階層の行き来などでは、ランクが規定値に達していないと入れなかったりする。なので、Aランクまではクエストを真面目にやって上げておきたい。


(なになに……フォレストウルフの討伐、グリーンサラマンダーの討伐、オークの討伐?階層は第10層の『忘れ去られた森林』か。オークは魔石、フォレストウルフは毛皮、グリーンサラマンダーは鱗が依頼品のようだな)


俺解体の知識ないし、そもそもグロ耐性あんまないしどうしようかなぁ…… 。


そう思いながらも見ていると、やけに視線が集まるのを感じた。


「おい、あいつが……」

「あの元Sランクのギルドマスターを……」


何を言ってるのかは聞こえないが、恐らく先程の戦いが話題になっているのだろう。


(試験の時に野次馬いたしな……目立つのは避けられないか。ジロジロ見られるの苦手だし、フードでも被っておこう)


俺は神聖のローブのフード部分を手に取り深く被ると、視線から逃げるように3つのクエストを受注する。その際、受付嬢に話しかけた。


「あの、これって魔物の死体を丸ごと持ち帰ったらどうなりますか……?」

「え、荷物持ちがいないと難しいと思いますが……そうですね。丸ごと持ち帰った場合は魔物の皮や骨等が様々な分野で需要がありますので、依頼品とは別にこちらで買い取らせていただいてます」

「あの、それって、解体とかはやってくれるんですか」

「はい、買取価格から解体分の料金は引かれますが可能です」


(よし!狩った魔物はアイテムボックスに入れて持ち帰るか。アイテムボックスの存在がバレちゃうのはあまりよくないけど、今後クエストをやっていく上で便利すぎるし仕方ないな。プレイヤーは全員持ってたんだし、珍しいだけでこの世界にもアイテムボックスを持ってる人はいるはずだ)


それから俺は礼を言った後、第10層の忘れ去られた森林へ向かうことにする。


第0層には転移門が複数あり、その一つが広場の転移門だ。俺はそこへ向かうとそっと手で触れた。階層移動をするには転移門に触れて信仰心(お金)を捧げる必要がある。アヴァロンオンラインにおいて信仰心とはお金なのだ。


第10層の値段は1000G、俺は所持金から1000G出して転移門に触れた。すると全身が光に覆われて見慣れた光景が視界に広がる。


そこは鬱蒼とした森の中で、太陽光が木の葉に邪魔されてるせいか薄暗く、物静かな場所だった。空気は澄んでいて、ところどころ鳥のさえずりが聞こえてくる。転移門の近くということもあり、周りには冒険者っぽい人がチラホラいた。


「フォレストウルフ3体、グリーンサラマンダー3体、オーク3体だな」


俺は魔物を見つけるために歩き始める。目当ての魔物を見つけ次第、離れたところからホーリーレイを放つだけなので苦戦することはないはずだ。少しの間、森の中を散策していると遠くから巨体が見えてくる。それは人型で、体長は2メートルほどあり緑色の体表をしている。厚そうな脂肪に覆われているが、それでいて筋肉質に見えるその存在は間違いなくオークだった。


(レベルは12、第10層の中では一番強いやつだな。まぁ、レベル差がありすぎるし一撃だろう。魔石の位置はわからないけど頭にはないだろうし頭を狙おう)


しっかりと杖で狙いを定めてホーリーレイを放つ。すると光の線が頭を貫き、声を上げる間もなくオークは絶命した。流石の巨大なだけあり、鈍い音を立てて地面に倒れる。


(問題はここからだな。ゲームだと倒した魔物はドロップアイテムに変わって、それを拾ってアイテムボックスに入れていた。だけど、丸ごと収納するのはこれが初めてだ)


俺はオークの死体に近づくと、手で触れてアイテムボックスに収納しようと試みる。するとオークの体が消えた。


(いけた……?どうなってるんだろうか)


アイテムボックス内を確認すると、新規にオークの死体×1がある。どうやら成功したようだ。


(マジかよいけるのか。となれば……1つのアイテムの最大数は99までなんだが、それってようはオークを99体入れられるってことだろ?アイテムボックス先輩やべぇな)


ゲームだと当たり前すぎて気にしてなかったが、こうして現実になった今はその有用性に驚かされる。商人とかだったら喉が手が出るほど欲しいだろうな、そんな感想を抱きながら俺は狩りを再開するのだった。


◆◇


ゲームの頃と違って魔物の出現数はだいぶ抑えられてるようで、探すのに時間がかかってしまう。しかし場所が森なこともあり、森林浴みたいになっていて苦にはならなかった。道中、怪我をした冒険者を見かけたりするので辻ヒールをしながら俺は魔物を倒していった。


そしてようやく、魔物たちを狩り終えた。空はオレンジ色に染まっていて、そろそろ夜を迎えることがわかる。


「こんなに時間がかかるとはな……さっさと帰って休むか」


俺は帰還の羽で王都アルベルンに戻ると、ギルドへクエスト達成の報告をする。


「お疲れ様です。依頼品の納品ですか?」

「あ、と、はい。アイテムボックスに入ってます」

「アイテムボックス?次元袋ではなくて?」


この世界ってアイテムボックスないのかよ!代わりに次元袋なるものがあるみたいだ。俺は額に冷や汗を垂らしながら弁明する。


「あ、はいそうです!次元袋でした」

「……?それでは出していただけますか?」

「あ、いえ……その、ここでは狭くて」

「え、良い次元袋を持ってるんですね。わかりました。裏口に案内します」


そう言われたので頷いて着いていくと、そこは倉庫みたいな部屋だった。そこそこ広いため、ここなら魔物を全て出しても大丈夫だろう。


「ではお願いします」


言われるがままに1匹ずつ魔物を出す。最初は業務スマイルを崩さない受付嬢だったが、3匹目からは明らかに表情が引きつっていく。全てを出し終えた頃には完全に困惑しきった顔になっていた。


(やっぱこれっておかしいんだな……次元袋とやらはアイテムボックスと比べるとかなり劣るらしい。良いやつでも多分魔物2〜3匹が限界って感じか?)


「え、えー……それでは後日買取価格と、依頼達成報酬を出しますので帰っていただいても大丈夫ですよ」

「ありがとうございます」


そしてギルドから出た俺は、宿を探すことにした。ゲーム内だと宿に泊まったら画面が暗転し、朝を迎えて疲労度が癒えるだけで内装の描写はない。だが、泊まる宿によって疲労回復効果は違っていた。なので、今回は一番疲労回復効果が高い宿に泊まろうと思う。


きっと、お風呂があってベッドもふかふかで快適なはずだ。少し高かった記憶はあるけど、手持ちには1億Gあるんだし多少の贅沢は許されるだろう。


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