第一話-始まりはいつも出会いから-
あ、あ、どうかよろしく
少し肌寒くなって街の景観も変わってゆく、とある11月の放課後のこと。僕は小高い丘の上に建てられた一つのマンションの屋上にいた。そこは街を一望できる程の高さにあって、眼下には遥か遠くまで街並みが続き、常に強い風が吹いている。そんな場所。その視界を遮るもののない場所で至福の気分に浸り、タバコを吸いながら読書するのが僕の日課であり、数少ない憩いでもあったのだが、その日はいつもとは少しばかり違っていた。いや、僕にとっては少しどころではなく、ある一つの事象において決定的なまでにまったくもって異なっていた。要するに何が言いたいのかというと、そこには先客がいたのだ。その先客について、服装から察するに、まず間違いなく女子高生だろうということは理解できたが、しかし、その先客について最も特筆すべき点はそこではない。
その先客――即ちその少女は、息を飲むほどでは事足りず、窒息死してしまうのではないかというほどの美少女だったのだ。………それは言い過ぎだとしても、老若男女問わず全ての人が振り向くであろうほどに彼女は美少女だった。
僕はそこに立ち尽くし、加えていたタバコも落として、ただその美少女に見とれていた。彼女は彼女でこちらに気付いている様子もなく、街を眺めているように思えた。しかし、そんな状況も十数秒も経てばさすがに冷静に頭を働かせようという発想に至るものだ。もっとも僕のつたない脳ミソではせいぜいのところ、迷子なのかなという結論にしか至らなかったのだけれども。………もちろんだが、それはウソだ。
やはり、そんなことを考えていても埒があかないと思い立って、直接、本人に聞くことにしたのだけど、そもそも極度な人見知りにそんな冒険をできるわけがない事を忘れていたことに気が付いた。
僕は諦めて、素直に家路に着くことにした。しかし、後ろを向いて歩いて行こうとしたところで向こうの方から声をかけてきた。どうやら、僕の予想に反して、こちらのことに気付いていたようだった。
「私はここ、初めてなのだけれど、いいところね」
その声はその解放的な場所で、しかもそれなりに距離の離れている僕のところにまではっきりと響いた。それでも、僕としてはいきなり話しかけられたことに驚きを隠せず、また、持ち前の人見知りとしての本性がそのまま声に出てしまった。
「ふぁ?は、はいぃ」
死にたい。率直にそう思った。
しかし、彼女は僕のそのような反応は元よりよそうしていたのかのごとく、無視をした。もっとも、後から考えれば単純に相手の元まで声が届いていなかったに過ぎなく、ただ反応の仕方が分からなかっただけなのだろうけど、その時の僕にはそんな明解な事すら思考するに至らないほど混乱していたのだ。彼女はさらに言葉を紡いだ。
「うん、ここは本当にいいところだ。君はよくここに来ているみたいだけど、わたしもまたここに来ても構わないかな?」
そう言って彼女は僕の方に体を向けた。僕は彼女のその女性らしく美しい顔立ちに魅了されながらも、その問いに答えた。その言葉が後の僕らの話に急速なまでの変化をもたらすことになることなどつゆしらず、
ただただ僕は返事を返した。珍しくはっきりとした口調で。
「僕は別段かまいませんよ。ただ、これからいっそう寒くなって来るでしょうね」
”今になって考えたらさ、マンションの屋上が最初の出会いっていうのはなかなかおかしな話だよな。そう思うだろう、花蓮”
なんだか 文が ぎこちない・・・
難しいですね、小説を書くって。
精進していきます。