表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超一流ヴィランの俺様だが貴様らがどうしてもというならヒーローになってやらんこともない!  作者: 阿弥陀乃トンマージ
チャプター1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/62

第12話(3)わりと皆エグい

「アマザ隊長、全隊の降下、完了しました」

「ふむ……では、エツオレ、先発隊の方は貴様が指示を執れ」

「了解しました……」

 エツオレと呼ばれたイカ頭の者が、アマザというタコ頭の者からの命令に頷く。

「ドイタール帝国第十三艦隊特殊独立部隊、作戦開始だ」

「はっ、速やかに行動を始めます」

 空を飛ぶ船から彼らは五稜郭南西の堡塁近くに降下した。多数の者が灰色のパワードスーツに、その他に数人、茶色のパワードスーツを着た者がいる。エツオレが指示をする。

「第一第二第三小隊は私に続け。第四第五第六小隊はアマザ隊長の指示に従え」

「はっ!」

 茶色のパワードスーツを着た者が敬礼して答える。彼らが小隊長のようである。

「上からも確認出来たが、様々な勢力が動いている。不測の事態も頭に入れて行動しろ」

「了解しました!」

「エツオレよ……今更だが、この頭数は少なくはないか?」

「迅速に行動を取るのならば、これくらいの数の方がかえって動き易いかと」

「そうか?」

「ええ、調査した所、この五稜郭自体ははるか昔に城郭として使われていたようですが、現在、戦闘機能は有しておりません。防衛戦力もそれほど多くはなく、しかも他の勢力の迎撃に割かれ、この規模の部隊でも十分優位に立てるかと」

「気になるのはその他の勢力の方だ……会敵した場合どうする?」

「……地球に降下する際に可能な限りのデータは収集し、分析は行いました。先夜の作戦会議でもご説明した通り、分析データを元にしたシミュレーションは各隊にそれぞれ何度も行わせております。万が一会敵した場合も混乱に陥る心配はありません」

「……それならばいいのだが、札幌の二の舞は御免だぞ?」

 エツオレの説明に対し、アマザは懐疑的な目を向ける。エツオレは軽く俯いて呟く。

「札幌での失態はそもそも貴様の油断が招いたことではないか……」

「ん? 何か言ったか?」

「いいえ、とにかく迅速な行動が肝心です。よろしいでしょうか?」

「ああ」

「……では先発隊、五稜郭へ侵入するぞ!」

「了解!」

 エツオレの指示通り、十数人のパワードスーツを着た部隊が五稜郭に向かう。

「睨んだ通り、この辺りの防備は手薄だな……そのまま進め!」

「はっ! どわっ!」

 先頭を進む灰色のスーツを着た者が四人の男に吹っ飛ばされる。エツオレが驚く。

「なんだ⁉」

「札幌では世話になったな!」

「思った通り、函館に現れましたね!」

「ふん、雑魚が群れをなしているな」

「数は多い……油断せず行こう……」

「き、貴様らは……?」

「おっと、名乗った方が良いかい? 桜花青春だ!」

 すらっとしたスタイルで、短い青髪の男性が声を上げる。

「疾風朱夏です」

 四人の中では小柄な、少年と言ってもいいルックスの朱髪の男性が口を開く。

「佳月白秋だ」

 やや斜に構えた態度の白髪の男性が呟く。

「吹雪玄冬……」

 四人の中では一番筋肉質で、黒髪の男性が名を名乗る。エツオレが端末を操作し、突然現れた四人の素性を探る。

「データを照合……人気漫画ユニット『シーズンズ』……?」

「そうだ!」

 青髪の男が答える。

「漫画とは確かこの星で人気のある趣味娯楽の一つ……」

「そうです。その漫画制作を手掛けています」

 朱髪の男が頷く。

「そんな奴らが何の用だ?」

「案外察しが悪いな。所詮は異星人か」

 白髪の男が呆れる。

「なんだと?」

「まあ……この姿を見せれば嫌でも思い出すだろう……」

 黒髪の男が呟く。そして、四人の男が横一列に並んで叫ぶ。

「「「「連載開始!」」」」

 四人が光に包まれ、一人の姿になる。青と朱と白と黒の四色が混ざり合ったカラーリングのパワードスーツを身に纏っている。

「「「「風花雪月、見参!」」」」

「⁉ さ、札幌の⁉ ちぃ、かかれ!」

 エツオレの指示で先発隊が風花雪月に襲い掛かる。

「まずは俺が行くぜ!」

 風花雪月の身体が青一色になる。

「⁉」

「『集中線』!」

「ぬおっ⁉」

 風花雪月を中心にして、周囲に無数の線状の帯が放たれ、群がった者たちは倒れ込む。

「レーザー光線か⁉」

「だから効果線だって言ってんだろ!」

「また勘違いされてしまいましたね」「線の引き方が甘いのでは?」「定規を使え」

「ええい! だから、同時に喋んなって!」

 風花雪月が頭を両手で抱える。エツオレが戸惑い気味の視線を向ける。

「そ、そういえば、四人が共存している、かなり奇妙奇天烈な奴との報告だったな……」

「奇妙奇天烈って! また随分な言われ様だな!」

「くっ、畳み掛けろ!」

「花さん! 変わりますよ!」

「頼んだぜ、風! 『ページチェンジ』!」

 今度は風花雪月の身体が朱色一色になる。

「『トーン:砂』!」

「なっ⁉」

 先発隊の足下にザラザラとした砂が流れ込み、吸い込まれる様に沈んでいく。

「どうです!」

「エ、エツオレ様! 足元が!」

「周りに木々があるだろう! それを伝ってあいつに近づけ!」

「は、はっ!」

 先発隊の残りが早速木に登り、上から風花雪月に襲い掛かろうとする。

「風、代われ……」

「お願いします、雪さん! 『ページチェンジ』!」

 続いては風花雪月の身体が黒色一色になる。

「飛んでいるのは逆に無防備だぞ……『吹き出し:叫び』!」

「どあっ⁉」

 風花雪月のペンからギザギザの形をした雲のようなものが飛び出し、飛び上がった先発隊の腕や脚を貫く。先発隊は悲鳴を上げて落下する。

「くっ……あのペンなる筆記具を用いて戦うとは聞いていたが、これほどとは……」

「まだ残っているな、雪、それがしに代われ」

「月、仕上げは任せた! 『ページチェンジ』!」

 風花雪月の身体が白一色に変わる。

「とどめだ……『効果音』……『グチャ』……」

「! うぎゃあ……」

 耳を塞ぎたくなるような音と同時に、先発隊の残りが力なく倒れ込み、動かなくなる。

「ふん……」

「あ、ああ……」「うわあ、相変わらず引くわ……」「容赦がないのも考えものだな……」

「だ、だから、一斉にしゃべるな! それにお主らも結構エグかったぞ!」

「前回は分裂していたが、なるほど、合体していた方が戦闘力は高いのだな……」

 エツオレがゆっくりと前進してくる。

「⁉」「来るか、イカ野郎!」「油断するなよ」「言われなくても分かっている……」

「ただ、まだ数は我々の方が多い……! アマザ隊長! ……?」

「奴ならもういないぞ?」

 エツオレが振り向いた先には疾風迅雷が立っていた。

「ジ、ジンライ⁉」

「呑気に進んでいる横をちょっと突いたら、たちまち総崩れになった……情けないな」

「アマザ隊長は⁉」

「アマザ隊長殿は部下どもを盾にして、巧みにお逃げになられた……」

「ぐっ……」

「降伏するなら今の内だぞ。それとも逃げるか?」

 疾風迅雷がエツオレに向かって構える。エツオレは苦々しい声で呟く。

「二度続けて、何の戦果も得られずに終われば、その責任は私にも及ぶ……」

「帝国軍人も大変だな。その苦労、分かるぞ」

 疾風迅雷がうんうんと頷く。

「このままでは終わらん! ドローンよ! こちらのポイントに来い!」

 エツオレが叫ぶと、その数秒後、中型のドローンがその近くに飛来し、四本脚の付いたチェアのような形に変形し、エツオレの身体にくっつき、椅子に座るような体勢になる。

「そ、それはアマザも使っていた⁉」

「そうだ!」

「⁉」

 エツオレの二本の脚が触手に変化し、更に身体中から八本の触手が長く伸びる。

「これで、十本の触手を自由に使えるのだ! 喰らえ!」

「どわっ!」

「わっ!」「のわっ!」「うぐっ……」「ちぃっ!」

 エツオレが十本の触手を自由自在に振り回し、疾風迅雷と風花雪月を叩き伏せる。

「ふははっ! これが私の真の姿! この十本の触手があれば貴様らなど敵ではない!」

「風花雪月! 分裂しろ!」

「え⁉」

「早く!」

「ぞ、『増刊号』!」

 風花雪月の身体が二体に分裂する。上半身が朱色で下半身が青色の『風花』と上半身が黒色で下半身が白色の『雪月』になる。

「もっとだ!」

「ええっ⁉ 『増刊号』!」

 身体が朱色の『風』、青色の『花』、黒色の『雪』、白色の『月』になる。

「ふん、それでも五人! 十の半分だぞ!」

 エツオレが笑う。

「足りない分は増やすだけだ!」

「何⁉」

「『メタルフォーム』! 『3Dプリンタ』!」

 疾風迅雷が光を当てると、自らと四人がそれぞれ増え、計十人になった。

「ば、馬鹿な⁉」

「全員、触手を一本ずつ持て! 持ったな? 行くぞ……せーの!」

 十人がエツオレの身体を一斉に持ち上げて地面に叩き付ける。

「ぐはっ!」

「とどめだ!」

「くそっ!」

「ぬおっ⁉ イカスミで視界が……ちっ、逃がしたか」

 疾風迅雷の一瞬の隙を突き、エツオレは逃走した。

「あ、あの……」「これは……」「どうやって戻るのだ?」「落ち着かんぞ」

「……両手両足を重ね合わせるようにすれば戻る」

「あ」「マジだ」「良かった」「風花雪月に戻るぞ」

 月の言葉に三人は頷き、風花雪月に戻った。風が口を開く。

「疾風迅雷さん、大二郎おじさん……疾風博士の要請を受け、札幌から駆け付けました」

「助かる……とりあえずは周辺の敵性反応も落ち着いたようだ、一旦学園に戻ろう」

 疾風迅雷と風花雪月は五稜郭の中央にある五稜郭学園に向かう。

「あ、あそこに見えるのは……?」

「貴様ら同様に駆けつけてくれた地元ヒーローたちだ……なんだ⁉」

「変身が解けた⁉」

 ジンライとシーズンズだけでなく、学園の校舎前に集まっていた地元ヒーローたちの変身も解け、普通の姿になる。皆、一様に戸惑う。

「こ、これは……?」

「へえ、本当に効果があるんだね……」

 涼し気な声が五稜郭中に響く。ジンライが周囲を見回す。

「その声はムラクモか⁉ どこだ⁉」

「ここだよ」

「なっ⁉」

 ジンライは驚いた。五稜郭の南の空に浮かぶ戦艦があったからである。

お読み頂いてありがとうございます。

感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしています。


※ここまでお読み頂いている方へ(2022年3月19日現在)

 『9話(2)各々の企て』で登場人物名を取り違えるミスをしてしまいました。気づいたので修正しました。話の流れには大きく変わりありませんが、気になる方は良かったら見直してみて下さい。

 これからはこのようなことが無いように注意致します。今後もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ