VSオーク
市街地のはずれでオークを探すこと30分、遂に1匹で活動しているオークを見つけ出した。
「闘ろうか」
英斗はオークに話しかけると、斧を構える。オークも槍を構え、大声を上げ突撃してくる。
「出ろ!」
英斗の声と同時に土の壁が出来上がる。オークはそのまま壁にぶつかり、ふらつくがそのままもう1度壁に突進を行った。
土壁が2度目の突進で崩れると、英斗は生み出していたナイフをオークめがけて何本も投擲する。
ナイフがオークの体に刺さる。
だがオークはそのまま走り続けてくるが、英斗がもう1度土の壁をオークの足元に生み出す。
オークがバランスを崩し倒れると、その頭めがけて全力で斧を振り下ろした。
だが、オークも体を動かし、英斗の一撃を躱した。
「嘘っ!?」
オークは一瞬で立ち上がり、槍を英斗めがけて突き出す。
英斗は本能的に危険を感じ、腹部に鉄を生み出した。槍はその腹部に直撃し英斗を吹き飛ばす。
「ぐふっ!」
英斗は口から血を吐く、だがオークはその瞬間にも再び迫ってきていた。
「ファイア!」
英斗はその瞬間全力で手から炎を噴射した。
オークは突然の炎に驚きそのまま下がる。
「いや、やっぱり命がけって怖いね。なんで俺今殺し合いしてるんだろうね」
英斗はオークに問いかける。だが当然オークからの返事はない。
オークが再び走ってくる。英斗はマキビシを大量に生み出し、地面にばらまく。
オークはそれを飛び越えようと、跳躍する。
英斗は目前に土壁を生み出すと、オークは勢いそのまま土壁にぶち当たった。
すかさず英斗は土壁に手を付け、全力で力を込める。
「くらえ!」
土壁から鉄の棘が一本生み出されオークの首近くに突き刺さる。オークの動きが止まる。英斗がオーク側に移動し、棘に貫かれ動けなくなっているオークの頭部に斧を振り下ろす。
それがオークの最期だった。
「勝った! 勝ったぞ! うおおおおおおおお!」
英斗は大きく雄たけびを上げた。それは勝利の雄たけびであった。
体が熱くなり、レベルアップを伝える。英斗は自らのスキルを使い、オークを破ったのである。
ボスや大物ではない、だがただのプログラマーである英斗には大きな一歩であった。
使い切ったと思われる力が少し回復していることを感じた。
「スキルを使うために必要な力、魔力と仮定すると魔力はレベルアップでも回復するんだなあ」
と、のんきに呟く。一服した後英斗はオークを解体し、袋に入れ持ち帰ることにした。
オークの頭部からはオークの魔石であろう赤い石を取り出し持ち帰った。
家に帰ると、ナナが尻尾を振って待っていた。
「ただいま、ナナ! 今日はお肉だよー!」
そう言って英斗がオーク肉を出すと、ナナは尻尾がちぎれんばかりの勢いで振っている。
「よし、今すぐ作るからな!」
フライパンの上にオーク肉を乗せ、手から炎を生み出し直火で焼く。ガスが繋がっていないためだ。
そして、綺麗に焼けたら塩コショウを振り完成である。
「ほら、ナナ。お食べ」
「ワフーーーーー!」
すごい勢いで肉を貪るナナ。
「これはもっと焼かないとな、いっぱい取ってきたから好きなだけ食べていいぞ」
そう言って英斗は何枚も追加で焼く。
結局ナナは3枚ほどオーク肉のステーキを食べて満足気に寝転んでいる。英斗もナナに食べさせた後2枚程平らげた。
ナナの腹を撫でながら、今後について考える。一度警察署に行って現状がどうなっているのか情報収集を行いたい気持ちもある。
だが、何かあったときのためにもう少し人とかかわる前にはレベルを上げておきたい気持ちもあった。
考えた結果もう少しレベルを上げてから行くことにした。
これから再び英斗はレベル上げに勤しむこととなる。だが英斗はレベル上げが大好きなタイプだったのであった。