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勝ち取るは我が居場所

 英斗は体が熱くなりレベルアップを感じると、この戦いが終わった事を感じる。ゆっくりと下へ降りると翼を解除する。そのまま座り込み、再度青ポーションを飲む。青ポーションを使用しすぎたのか、もう殆ど回復していなかった。


「S級とは何度も戦ったけど、やはりきついな。特に今回の奴は大きな弱点も無い戦士型だったし」


 傷口に再度赤ポーションをかけ治療すると、戻るために立ち上がる。瓦礫の山から、白豪鬼の禍々しい1本角が見つかる。討伐の証として角を拾うと、丁度金の宝箱がドロップした。

 あまり時間が無い事は理解しつつも、宝箱を開ける。


『白鬼刀 E(エピック)

 白豪鬼を倒した英雄が得られる長刀。黒き雷を纏いし宝刀。その雷を纏った一撃はあらゆる物を切り裂くと言われている 自動修復機能あり』


中には白豪鬼が使用していた長刀が入っていた。丁度、長剣が壊れていたので渡りに船と、腰に差すと校舎へ向かう。

 するとすぐ凛が泣きそうな顔で立っているのが見えた。凛は英斗の姿を確認すると安心したのか、ゆっくりと微笑む。


「良かったです……本当に。すみません、私があいつらを止めなかったせいで」


 そう言って涙ぐむ。その涙を見て焦った英斗は動揺しつつも凛を慰める。


「いやいや、凛は悪くない! それに彼女を庇うと決めたのは俺だから、結果的には怪我を負ってもその責任も俺にある。だから誰も恨んではいない。だから凛も彼女たちに何か言ってはいけないよ?」


「……英斗さんは甘すぎます。こんな世界だと早死にしますよ? そして既にさっきあの人達に沢山言っちゃいました」


 凛がボソッと言う。


「一番大事なのは自分の命だから大丈夫! できる限り救うだけ。凛が厳しく言ったのならあいつらも少しは懲りただろう。戻ろうか」


 そう言って英斗は笑う。2人は校舎に戻っていく。




 英斗が白豪鬼を仕留めた時、校舎側にも大きな異変が起こる。先ほどまで殺気むき出しで襲ってきていた魔物達の目が正常に戻ったのである。まるで憑き物が落ちたかのように。

 魔物達は自分がなぜここにいるのか分からないのか、周りを見渡し始める。突如戦意を失った魔物達に皆驚きを隠せない。


「魔物達の様子が変や……。もしやお兄さんがあいつを仕留めたんか?」


 ユートは屋上から魔物達の観察をしながら、この謎の現象の理由について考える。既にゴブリン達は敗走するものも多い。

 すると北側から英斗と凛が戻って来る。英斗は魔物達を蹴散らしながら、塀に飛び乗ると、高らかに白豪鬼の角を掲げる。


「奴らの(おさ)は俺が討ち取った! 勝利は目の前だ!」


 英斗の言葉に歓声があがる。同時に(おさ)の死を知ったオーガ達はすぐさま逃亡する。オーガの逃亡を見て次々と他の魔物達も逃亡する。

 瞬く間に殆どの魔物が散っていった。魔物達は白豪鬼のスキル『強制徴兵』によって無理やり戦わされていたのだ。

 後は、未だに好戦的な魔物を蹴散らす掃討戦であった。しばらくして敷地内に入った魔物達は全て仕留められた。

 英斗は屋上に戻り、皆に言う。


「今度こそ本当に我々の勝利だ!」


 英斗は手を突き上げて宣言する。


「「ウオオオオ!」」


 皆も勝利に高揚しているのか大声で叫ぶ。この日、杉並ギルドが初めて自らの場所を勝ち取った記念すべき日となった。






 皆生き残った事に喜び、抱き合っている。ナナも英斗の姿を見て飛びついてきた。


『えいとー! よかったよお』


「ナナ! 俺もナナが無事で本当に良かった……!」


 英斗はナナを抱きしめながら頭を撫でる。しばらくナナが英斗から離れる事は無く、英斗はナナの顎を撫でていた。


 しばらくしてナナが満足した頃、ユートが英斗に声をかける。


「ほんま助かったわ。正直やっぱりこっちはきつかった。もって後数時間ってところやった」


 ユートが言うには、後半はやはりいくつも塀が破られ、至る所から魔物が侵入してきたらしい。数の差は大きく、離脱者が少しずつ増え徐々に押されていたようだ。


「ポーションとダイナマイトにも助けられた。あれで、なんとか長期戦にできたといってもええ。ギルドマスターとして最高の仕事をしてくれたと俺は思ってるで」


 ユートは笑顔で言う。すると仲間と話していた極真会の結花も顔を見せに来た。


「私もそう思うぞ。君のポーション無しではこんなに保たなかっただろう。そしてなによりあの怪物の討伐は君以外では無理だっただろう。ギルドマスターとしての格を見せてもらったよ」


 結花は素直な賛辞を贈る。


「2人ともありがとうございます。なんとかギルマスとしての役割を果たせました」


「もう皆、君を杉並区の代表だと思っているだろう。君が望んでいるかは分からないがな」


 そう言われて英斗は苦笑いせざるを得ない。最初は嫌々押し付けられた役職であったが、もともと責任感の強い性格のせいか、自分しか出来ない事があると頑張ってしまうのだ。


「まあこうなったらできる限り頑張りますよ」


 英斗はそう言うしかなかった。その後も、ユートから今回の防衛について様々な事を聞いた。

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