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舞台

 英斗は杉並南高校から500m程離れたところで白豪鬼と戦っていた。白豪鬼の斬撃を躱しつつ、英斗は炎槍を放ち距離を開ける。


「間違いなく、接近戦じゃ勝ち目がないね」


 白豪鬼の斬撃を受け欠けていた刃が再生する。ハイオーガの長剣には自動修復機能があるが、これが無ければとっくに折れていただろう。


「ちょこまか逃げるではないか。1対1がお望みだったのだろう?」


 白豪鬼は逃げながら戦う英斗に呆れている。英斗は影を白豪鬼の足元に生み出し沈ませる。バランスを崩した隙に、地面から無数の鎖を生み出し捉える。だが、白豪鬼は拳に魔力を纏わせ地面に振り下ろす。鈍い音と共に、影ごと地面に小さな穴が開く。そして剣を抜き、鎖を全て一閃する。


「応用は利くようだが、決め手に欠けるな小僧」


 そう言って、斬撃を放つ。英斗は受けることを考えずに横っ飛びにして回避する。翼は魔力消費が激しいのである。

 このままじゃじり貧だと感じていた英斗は、なんとかある場所に誘導したかった。だが、中々それが難しい。

 白豪鬼はその脚力を活かし、驚くべき速さで接近してくる。英斗は自動人形(オータマータ)を4体生み出すと、襲わせ自らは電気を生み出し、雷撃を放つ。雷撃は威力は無いものの、速さは白豪鬼の対応速度を超えており、白豪鬼に命中する。一瞬動きが止まるも、次の瞬間には剣を振るい4体の自動人形をその一振りで両断した。

 だが、その瞬間4体の自動人形(オータマータ)が爆破する。衝撃を受け、動きが止まる白豪鬼の左脇腹を英斗の長剣が切り裂いた。

 もう一太刀! そう思い、振るう英斗の一撃は白豪鬼にやすやすと止められてしまう。英斗は、ダイナマイトを即座に爆破し再度距離を取る。



 白豪鬼は斬られたのにもかかわらず笑っていた。白豪鬼が刀に手を当てた瞬間、突然甲高い声が響く。


「くらえ!」


 そこにはカマイタチを放つ練馬区の少女、亜梨紗の姿があった。その程度刀を使うまでも無いと判断した白豪鬼は、手で弾く。


「そ、そんな……」


 亜梨紗はなんとか北門を抜けてきたのだろう、ぼろぼろであった。同じく亜梨紗に率いられた練馬区の者達も息も絶え絶えといったところである。

 そんな亜梨紗の姿に、白豪鬼は歯をむき出しにして、不快さを隠しもしなかった。


「ここは今この戦の行く末を決める舞台だ。お前のような雑魚が邪魔をするな!」


 激昂した白豪鬼は、魔力を込めた黒き稲妻の如き斬撃を亜梨紗に放つ。


「やばい!」


 亜梨紗にはこの一撃を防げないと思った英斗は、翼を生やし全速力で亜梨紗の元へ向かう。そして長剣でその1撃を受け止める。

 だが、ぎりぎりのタイミングであった英斗はうまく受け止めることができず、長剣がその威力に耐えきれず砕かれ、そのまま英斗まで切り裂いた。


 




「イ、イヤーーー!」


 亜梨紗の悲鳴がビル群にこだました。








 英斗は膝をつき、血を吐くもすぐさま亜梨紗に声をかける。


「はやく逃げろ! 死にたいのか!」


 怒鳴られた亜梨紗は自分のせいで斬られた英斗に動揺し、声を震わせる。


「ご、ごめん……なさい。わ、私こんなつもりじゃ……」


 だが、英斗の目を見て自分の立場を理解した亜梨紗はすぐさま仲間を連れてこの場から移動する。


「そこまで深くはない……」


 そう言って、赤ポーションをすぐさま傷口にかける。治癒はしていないものの、血は止まったようだ。


「貴様はどうやら甘すぎるな……。あんな雑魚放っておけば良いのだ。実力差も分からずに、我に向かってきた。いい勝負だったのに、残念だ」


 白豪鬼は亜梨紗を庇った英斗に呆れているようだ。傷を負ったことを心底残念がっているところから、卑怯な手は使いたくないらしい。その証拠に逃げる亜梨紗に全く興味を示さなかった。


「何もう終わったみたいなことを口にしてるんだ。まだ全く勝負はついていないぞ?」


 そう言うと、英斗は白豪鬼を中心に左側に走る。


「少し動きが遅いぞ、残念だ」


 そう言って、英斗に一瞬で近づき刀を振り下ろす。英斗は折れた剣で受け止めるもそのまま弾き飛ばされた。


 勢いやむことなく、ビルに叩き付けられる。起き上がった英斗は、近くのビル内に逃げ込む。


「逃げおったか。今の一撃も無傷ではあるまい」


 そう言って英斗を追い、白豪鬼もビルに入っていった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] どの物語でもこういつやついるよなあ、強くもないのに敵を討ちたいとか言って迷惑かけて「そんなつもりじゃ....」ってほざくやつ
[一言] 「貴様はどうやら甘すぎるな……。あんな雑魚放っておけば良いのだ。実力差も分からずに、我に向かってきた。いい勝負だったのに、残念だ」 ほんと、その通りだね。
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