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高校防衛戦

 勿論皆が納得したわけではない。2割ほどの者がギルドを去り、世田谷区など南に向けて旅立った。


「800人ほどか」


 英斗は呟く。正直8割残っただけでも良い方だと考えていた。正直英斗に軍略の知識などない。


「ギルドのメンバーでなくても、避難民でレベル10以上は参戦してもらう。人数があまりにも足りない」


「それはまあしゃあないか。あまりにも足りてへんもんな。なんでレベル10以上なん?」


 ユートが尋ねる。


「10以下はおそらく参戦させても、あまり役に立たない。最低でも1人でゴブリン程度は倒せる人じゃないとな。自己申告だから、詐称もあるだろうが、そこは仕方ない」


「分かったで。どこで篭城するつもりなん?」


「杉並南高校に籠って戦うつもりだ」


 杉並南高校はギルドから徒歩5分ほどの4階建て、高さ12m程の高校である。私立であり、全校生徒3000人というマンモス校である。その広大な校舎なら多くの人が入れると考えたからだ。


「タワマンちゃうんやな」


「タワーマンションも考えたが、強い魔物に低層階を破壊され倒壊した場合に殆どの人が死にそうでな」


「なるほど。屋上からも攻撃できそうやね」


「一応だが、塀も残ってるからな。塀と一階の窓は全て俺が鉄で固め、簡易的な要塞にする。主力を東西南北で分けたいんだが、一番の激戦区は北で間違いないだろう。3つの主要クランのどこかお願いできるだろうか?」


 英斗のその言葉に辺りが静まる。だが、その沈黙を破ったのは弦一である。


「うちが引き受けます。アニキはどうせ正面はるでしょう。そこを守るのは俺達に任せてください」


 弦一のその言葉に、我羅照羅のメンバー達も覚悟の決まった顔で頷く。


「じゃあすまないが、我羅照羅に正面北の守備を任せる。なら、東西は次に人数の多い極真会に任せたい。結花さん、お願いできますか?」


「我羅照羅が激戦区を受け持つなら、うちも断れないだろう。任せろ」


 結花は胸を叩く。


「南側は青犬にお願いしたいです。他のクランも各自東西南北に分かれてもらいますが、少し南多めで配置します。赤、青ポーションの中等級を各50個ほどを置いておきます。各自使用してください。管理は、ユート頼めるか」


「オッケー。それにしてもうち錬金術師おらんから、ダンジョン製やろ? 凄い量やなー」


「ずっと籠ってたからな。東西南北それぞれの校門から魔物達は校内に侵入すると思う。あえてそこは補強せず、少しずつ入ってきた魔物を狩ってほしい」


「あえて入る隙を残してそこに集中させるわけね。了解や」


 それぞれのクランの配置が決まった後、各自移動する。皆が動き始める中、英斗はユートに声をかける。


「ダイナマイトを10個ほど渡しておく。ユートはあまり戦闘能力は無いだろう。だが、大事なタイミングは分かるはずだ。このライターで火をつけると、5秒ほどで爆発する。必要な時は使ってくれ」


「おおきに。使わんで済む方がええんやけど、ありがたくもろとくわ」


 ユートに生み出したダイナマイトを渡す。




 そして4000人ほどの人々が杉並南高校に篭城することとなった。殆どの人が校舎に入った後に、英斗は鉄で塀と窓を鉄で固めた。突貫工事を終え、事務長の花田に避難民で戦える人数を尋ねる。


「700人ほどです。合計で1500人ですね」


 花田はもう少し居そうなものですけどね、とぼやく。だが、今そこを精査する時間は無い。彼等も皆東西南北に配置する。話し合いを続けていると、凛が戻ってきた。


「すみません、遅れました」


 凛は息を切らせながら謝る。


「いやいや、早かったよ、ありがとう」


 英斗の言葉を聞いた後、凛はキョロキョロと人を探す素振りを見せる。その様子をみて、野菜売りのおばちゃんこと畑山さんが凛に声をかける。


「お爺ちゃんならちゃんと校舎に居るから安心しな」


「そうですか、ありがとうございます」


 これで心置きなく戦えますね、と小さく凛は呟いた。


「そう言えば、凛には一緒に住んでいる親族が居るって言ってたけど、お爺ちゃんか。お爺ちゃんがいる近くに配置しようか?」


 英斗は気を利かせて言ったつもりだったが、凛は固辞する。


「いえ、そんな特別扱いは必要ありません」


「そうか……、じゃあ凛も配置についてくれ。君は正面屋上で飛行系魔物を中心に頼む。俺は少し数を減らしてくる」


「ご武運を」


 凛の言葉を聞いて、英斗はナナに乗り前線へ向かう。



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