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もう、話さなくていい

 加地は英斗達と出会った場所から500mほど離れた見通しの良い大通りに出ると、後ろを向く。そこら中にアンデッド系の魔物がうろついている。


「なんだ、あいつら全く時間稼ぎすらできてねえじゃねえか」


「もう逃げるのはやめたのか?」


 英斗がナナから降りる。


「逃げる必要なんてそもそもねえんだよ、てめえごときに俺が負けるわけないからよぉ。俺に逆らった罰としてお前は殺して、女は全員奴隷にしてやる」


 そう言って、加地が笑う。


「何を言っている?」


 英斗は静かに尋ねる。


「今は強い奴が正義なんだよ! お前も少しはやるだろうに、いつまで昔の倫理観を引き摺ってやがる! こんな自由なのによぉ。昨日刺した(ばばあ)はもう要らねえからお前の後を追わせてやるよ。まずはお前の連れてたメイドを――」


「もう、話さなくて良い。耳が腐る」


 英斗は怒りを隠せなかった。ナナも同時に臨戦態勢に入る。


「ナナ、こいつは俺だけで十分だ」


 ナナはそれを聞き、静かに下がる。英斗を信頼してのことである。邪魔が入らない様周囲の魔物を片付けることに決めた。


「はは、やはり甘ちゃんだ! 来いよ青二才」


 加地の足付近の地面から黒い影が溢れ出し、影から棘が出て英斗を襲う。英斗は同様に地面から影でできた棘を生み出し受け止める。


「なっ!? 俺と同じ力? コピーか?」


 加地は手から大量の影でできた棘を生み出すも、英斗は同様の棘を生み出しぶつける。だが、英斗の棘の方が強く加地の棘を砕き腕に突き刺さる。


「くそっ、影人形(シャドウドール)!」


 加地の地面の影から何十体もの影で出来た人形が生まれる。英斗はそれを見ると、また同じように影人形を生み出し戦わせる。だが、英斗の影人形の方が強く次々と潰されてしまう。

 英斗は格の違いを見せつけるように影以外を生み出さず、加地の攻撃を全て潰していた。


「猿真似野郎の技の方が強いなんてありえねえ!」


 加地は自らの影に潜り、潜伏する。加地の影に潜るのには限界があり、5秒までしか潜れない。英斗の後ろ側まで忍び込み、浮かび上がると同時に影で強化した腕で襲い掛かる。

 だが、その攻撃は届かず影でできた壁に防がれてしまう。


「その技は見せてねえはずだ! いったいお前の能力は……」


 全ての攻撃を同じような力で防がれて動揺を隠せなくなっていた。加地は影を最大出力で絞り出し、影を液状化させ大波のように英斗に放つ。英斗も影を液状化にぶつける。まるで波がぶつかったような破裂音が響き、お互いの影がはじけ飛ぶ。

 分が悪い事を察した加地は、まだか……と額に汗を浮かべる。大量の影人形を生み出し襲わせるも、英斗の生み出す影製の棘に次々と潰されていた。




 そして遂に加地が今か今か、と待ち望んでいた瞬間がやってきた。1㎞以上先のビルの屋上から魔力のこもった銃弾が英斗に向けて放たれたのだ。英斗が怒りにより加地に意識を集中させ、周りへの意識が疎かになった瞬間を狙った渾身の一撃であった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まあ、ツッコミどころはあるけど ノリと勢いは好き。 是非駆け抜けてほしい。 [一言] そう言えば気体は生成出来なかったけ?読み飛ばししたかな? 一酸化炭素とか高濃度酸素とか極悪な攻撃は無粋…
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