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誘拐犯

 杉並区に戻った英斗はすぐさまギルドに結花や尾形を呼び今後について話し合う。


「やはり交渉は無理だったか……」


 結花が溜息をつく。


「まあそんな交渉聞くような奴なら人攫いなんてしてないわな。どうするつもりだ? 皆で全面抗争か?」


 尾形が尋ねる。


「いや、俺とナナ……弦一、如月さんの4人で向かう。ギルド間の全面抗争にはしたくない……」


「それは流石に少ないのでは……?」


 結花が心配そうに言う。


「いや十分だ。だが、極真会にはこちら側の守備を、青犬は抗争中に連れ去られた人を助ける役目をお願いしたい」


「了解した。こちらの守備は任せて安心して行ってくれ」


「救助か。分かった、必ず救い出す」


「明日、朝8時に俺たちはあちらに向かう。各自用意をして動いてくれ」


「「ああ」」


 皆この状況を予想していたのか、特に異論はなく話し合いは終了した。

 英斗はマンションに戻ると、ナナを抱きしめる。


『おかえり、えいと。あしたたたかうの?』


「ああ、多分な。ナナには人間の都合で迷惑かけるな」


『いいよー。みんなこおらせる』


「はは、頼もしいな。今日は農業スキル持ちの人を護衛しようと思う。念のためだがな」


 その後、英斗は弦一や凛に護衛と、明日の同伴を頼む。弦一には追加で明日、我羅照羅に杉並区の護衛をしてもらうよう頼む。2人とも二つ返事で快諾してくれた。






 夜の帳が降りる頃、英斗とナナは野菜売りのおばちゃんこと畑山の家を見張っていた。


「来ないな……まあ来ないに越したことは無いんだが」


 怪しい人は全く居ない。のんびり構えていると、室内から魔力の発動を感じた。本能的に危機を感じた英斗はドアを開け、その先に向かう。するとそこには、加地に手を掴まれて黒い何かに沈められている畑山の姿があった。

 どういうことだ!? そう思いながらも英斗は地面から鉄の棘を生み出し、2人を分断する。


「ちっ!見張ってやがったか」


 英斗と、ナナの姿を見た加地は一瞬考えるそぶりを見せた後、逃げ出す。


「逃がすか!」


「甘ちゃんは黙ってな」


 そう言うと、加地は畑山の肩を黒い棘のような何かで突き刺す。


「ああっ!!」


 畑山が崩れ落ちる。


「貴様ァ!」


 英斗は加地を目で追った後、すぐ畑山に向かう。


「じゃあな、本番は明日だ。間抜け野郎」


 そう言うと、加地は黒い何かに潜り姿を消した。


「大丈夫ですか! 今治療します」


 マジックバッグから赤ポーションを出し、肩にかける。見る見るうちに怪我が治り始める。


「これは……凄いねえ。ごめんね、月城さん。あんただけならあいつを追えただろうに」


「いえいえ、俺の仕事は畑山さんを守ることでしたから。すみません、もっと早く気づいていたら」


「この程度構いやしないよ、明日あの馬鹿に一発かましてくれるんだろう?」


 畑山は笑う。


「勿論、仇は取らせてもらいます……必ず」


 英斗は静かに怒りを腹のうちにため込んでいた。英斗は畑山の治療を終えた後、しばらく見張った後、安全を確認し家に戻る。






 マンションに帰った後、ベッドの上で横になりながら英斗はスキルについて考察していた。


「あれはスキル『(シャドウ)』か? 影のような何かに潜ったように見えたけど。どこまでできるか分からんな。影で攻撃や影に人や自分自身を沈めることもできていたし、相当応用が利きそうだ」


『あいつひどい、わたしもたたかう』


 ナナもお怒りのようである。


「明日、ぼこぼこにしてやろう」


 英斗はナナを撫でて宥めた後、明日に向けて英気を養うため、ぐっすりと眠りに就いた。

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[気になる点] 「どういうことだ!? そう思いながらも英斗は地面から鉄の棘を生み出し、2人を分断する。 」 畑山の手を掴んでいる加地を直接攻撃できたかどうか不明ですが、初めから直接攻撃より分断を選択…
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