表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/279

マスターになっちゃいなよ、YOU

 ビルの一階に我羅照羅のメンバーが左右に整列している。


「月城英斗さん、来られました!」


 坊主の男、アツシが叫ぶと皆一様に深々と頭を下げる。


「「月城さん、お疲れ様です!」」


 左右の整列の最奥に弦一も居て、同様に深々と頭を下げる。相変わらず綺麗な金髪を左右に分けている美少年であったが、前回と違うのは邪悪な笑みが鳴りを潜め、年齢相応の顔をしていることだろう。


「月城さん、お久しぶりです」


 礼儀正しく弦一は切り出す。


「久しぶりだな。皆ずいぶん礼儀正しくなった」


「それは俺が負けたからですね……。前から俺に勝った奴に俺は従う、と部下に言ってましたから。やはりトップは最も強い男が相応しい。強いものに敬意を払うのは男として当然です」


 皆頷いている。どうやらここは強き者は敬われるようだ。


「なるほど、まあ無礼よりいいから助かるよ。相変わらず気持ちのいい男だなあ。恨まれてるかと思ったよ」


「いえいえ、こっちがタイマン張ってくれ! って頼んだんですから全然恨んでないですよ。あの試合は楽しかったです。俺初めて負けましたよ」


 と負けたのに無邪気に笑う。


「世の中には俺達より強い奴等なんて山ほどいるからなあ。俺もまだまだだ」


 と、英斗はダンジョン内での敗北を思い出しながら言う。


「俺が前、最も強い男こそトップに相応しい、って言ってたの覚えてますか?」


「ああ、そう言えば言ってたな」


「俺より強い人である月城さんに、トップになってほしいんです。そう、杉並区のギルドマスターに」


「はい?」


 弦一の唐突な頼みに、英斗は呆れた返事しかできなかった。












「いきなり言われても困りますよね。まず杉並ギルドにはマスターが居ないのはご存じですよね?」


「それは知ってるよ。確かトップクランが居ないからなんだろう?」


「はい。今までは別に不在でもよかったんですよ。ですが今はトップが必要です。最も強い人である月城さんこそ、ギルドマスターになるべきだと俺は、思っています」


「気持ちは嬉しいが、遠慮しとくよ。ナナとのんびりしたいだけで、別に権力が欲しいわけじゃないしな」


 勿論邪魔があるなら取り除くが、というのは言葉にはしなかった。


「やっぱり月城さんは元々ソロでしたし、そう言うかな、とは思ってました」


 と弦一は悲しい顔をする。


「だが、それと駅前に人が居ないこととなんの関係があるんだ?」


「それは――」


 弦一が答えようとすると、ビルの扉を開ける者の姿があった。


「月城さん、帰ってきたんだね!」


 そこにはいつも駅前で野菜を売るおばさん、畑山の姿があった。


「あ、お久しぶりです」


 英斗は頭を下げる。なんでここに、という疑問が生まれる。


「今杉並区は大変なことになってるんだよ! 月城さんにとってマスターなんて迷惑なだけなんだろうことは知ってる。けど今杉並区をまとめられるのはあんたしかいないんだ。もう少しだけ考えてくれないかい?」


 おばさんの真剣な表情に、これはただ事ではない雰囲気を感じた。


「分かりました、もう少し話を聞かせてください」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  『復讐を誓う転生陰陽師』第1巻11月9日発売予定!
    ★画像タップで購入ページへ飛びます★
html>
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ