終戦
その一撃を受けたレガシーは、火炎に包まれる。その姿は火災にあった人間のような生々しさがあった。だが、レガシーの顔は笑っていた。
「ハハハ、お見事。俺はじきに死ぬだろう。この戦は君の勝ちだ」
炎に包まれるも堂々としたレガシーは、王の名に相応しい風格があった。
「さっさと死ね。俺に魔法具を渡してな」
「君の目的は宝具か。メシス様には申し訳ないな。まさか人間にやられるとは。俺に勝った褒美だ、受け取れ」
レガシーは燃えゆく自らの胸に手をあて、胸についていた宝石を取ると、英斗に手渡す。
「これが宝具グロワールだ。人間の英雄……よ」
そのままレガシーは炎に包まれ、燃え尽きていった。英斗の手には緋色に輝く宝石が残る。
英斗の体が、熱くなる。レベルアップである。三度熱くなったので三レベル上がったようだ。
目の前には大きな宝箱がドロップする。中には、レガシーが纏っていたような黒いローブが入っていた。
『死王のローブ L(レジェンド級)
死王を倒した英雄に送られるローブ。そのローブはあらゆる魔法から身を守るとともに、全ての状態異常を無効化する』
英斗はそのローブをマジックバックにしまうと、ビルの屋上に翔ける。屋上で拡声器を手に叫ぶ。
「死王は討ち取った! この戦い、我々の勝ちだああああああ!」
英斗の叫びは福岡市に居る市民に響き渡る。既にレガシーが生み出した半分以上のアンデッドはレガシーの死と共に消えていたようで、元から居た魔物だけが残っている状態である。
「勝ったんだ!」
「生き残ったぞーーー!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
市民は勝利の報告を聞き、雄たけびを上げる。この日、九州の地獄が幕を下ろしたのだ。
それから町はお祭り騒ぎあった。皆笑顔で生き残ったことを喜び、肩を抱き、笑い合っている。
そこらじゅうで皆が笑顔で食べ物を頬張っている。
英斗は、有希とナナ、織也と合流する。
「英斗、仇を取ってくれてありがとう」
『英斗があんな骸骨に負ける訳ないもんね!』
「九州を、ありがとう」
皆から礼を言われ、英斗は恥ずかしそうに頭を掻く。
「どういたしまして」
英斗は照れつつも、素直にお礼を受け取った。
「やっぱり、英斗。つよかったんだなあ」
なぜかいる玉閃に英斗は、目線を向ける。
「なんでいるんだ、玉閃? 恭一郎から、見張れって言われたのか?」
「うっ。まあそんなとこだ。実はいざとなったら、有希さんだけ助けるよう、言われてたんだ。ぎりぎりまで姿を出す予定はなかったんだが、有希さんの危機で、思わず割り込んでしまった。あんな化物と戦うとは思っていなかったがな」
「私一人だけで逃げるわけないでしょう?」
「知ってるよ。だから、俺も戦ったんじゃないか」
玉閃もそれくらいは理解していたらしく、仕方なく魔族と交戦を決意したらしい。
「まあ、有希を助けてくれてありがとうよ」
「恩人の娘さんだ、それくらいはするさ」
玉閃はここが落ち着いたことを確認すると、今回の結末を報告するため名古屋に戻っていった。
「英斗、魔法具は手に入ったの?」
「ああ。これだ」
英斗は皆にグロワールを見せる。
「確かに魔力は感じるわね。もう壊すの?」
「いや、一旦セレナーデに見せようと思う。他の魔道具の詳細な場所を探すためにもな」
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