レガシー
レガシーがその手を振ると地面から大量のアンデッドが現れる。英斗は手から鉄の玉を生み出すと、玉から大量の棘が枝分かれしながらアンデッドの頭部を貫く。
そのまま小型ミサイルをいくつもレガシーに向けて放つ。
レガシーに全弾命中し、爆発が起こる。爆風が周囲を覆うなか、英斗の目は動くレガシーを捕らえていた。
レガシーが人差し指で円を描くと爆煙が吹き飛ばされる。
「効かんなあ」
「本当に、神力無しじゃ微塵も効かないみたいだな……」
英斗は呆れ気味に呟く。
「神力は俺に効くさ。死の可能性のある戦い、血沸くなあ」
レガシーは両手を広げると、指揮をするように振るう。すると、大量の骸骨達がくっつきあって巨大な骸骨を生み出した。その全長は三十メートルを大きく超えるだろう。
巨大骸骨がその腕を振るう。英斗は間一髪躱すも、地面に大きな亀裂が走る。
英斗は翼を生やすと、そのまま巨大骸骨の攻撃を躱しつつ上空へ向かう。
「隕石」
英斗は手から複数の隕石を生み出し巨大骸骨へ落とす。巨大骸骨はその拳で隕石を正面から打ち抜いた。
轟音と共に、骸骨の右腕と隕石が粉砕される。残りの隕石が巨大骸骨の胴体を粉砕する。肋骨部分が崩れるもまだ崩れ落ちる気配はない。動作は鈍いものの残った右腕で英斗を捕らえようと動く。
「ふう……眠れ」
英斗は小型ミサイルをいくつも放ち、巨大骸骨を木っ端みじんに粉砕した。だが、一発だけ違う軌道を描くミサイルがあった。神力を込めたレガシー用ミサイルである。
巨大骸骨による死角を使ったミサイルは見事にレガシーに被弾した。
爆発による爆炎から、抜け出したレガシーの体は傷だらけになっている。どうやら本当に神力は効くらしい。
「痛みなど、何時ぶりだろうな!」
レガシーは無駄のない綺麗な浮遊で一瞬で英斗への距離を詰める。
「死の抱擁」
レガシーの体から黒い煙が大量に放出された。英斗は本能的に危険を感じ取り、空中に巨大な盾を生み出し煙を受け止めると全速力で距離を取る。
その煙の量は膨大で瞬く間に広がった。アンデッド相手に戦っている市民達はそこまで余裕も無く煙を躱しきれず触れてしまう。
「え? アアアアア――」
煙に触れた男の体が段々崩れ始める。その異常に男が悲鳴を上げるも、その悲鳴はすぐに止んだ。完全に骸骨になったからだ。
「ひいいいいい!」
その様子を見た市民が悲鳴を上げるも、逃げきれずどんどん人々が物言わぬ骸骨に変わっていく。
レガシーの周囲百メートルに居た人間は英斗以外皆骸骨に変わってしまった。骸骨達は皆一様に英斗を見据えると、元々持っていた武器を持ち英斗に襲い掛かってきた。
「レガシー! これは俺達の戦いじゃないのか!」
「違う。これは決闘ではない。戦よ。これを止めたくば俺を殺すしかないぞ」
「てめえ!」
英斗は神力を込めたミサイルをレガシーに向けて発射した。
「死の防壁」
レガシーが人差し指を上にあげると、地面から黒い防壁が生まれミサイルを受け止めた。
「二度は食らわん。死の濁流」
レガシーが左手を翳すと、その手から黒く禍々しい水流が生まれ英斗めがけて生き物のように意思を持って襲い掛かる。
上から襲い掛かって来る意思持つ水流を躱し、下に向かうと元市民の骸骨達がその剣で英斗の首を狙う。
「くそっ! 四方八方から!」
英斗が骸骨の集団から逃げると、英斗の躱した水流に再び市民が呑まれる。
水流に呑まれた市民は……やはり物言わぬ骸骨になっていた。
「……食らったら一発アウトとは。中々厄介な技だ」
英斗は襲い来る水流を見て、眉を顰めた。
お読みいただき、ありがとうございました!
少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、
『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると嬉しいです!
評価ボタンはモチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!





