日本の技術力は世界一!
英斗達が歩いていると行き止まりの大きな空間に出た。するとそこには巨大な女王蟻のような魔物とそれを助ける蟻型魔物が巣食っていた。
「「「ギィィイイイイイイ!」」」
目の前には大量の全長1.3m程の大きな蟻が二足歩行で鳴き声をあげている。
「あ、こんにちは」
英斗は動揺し思わず挨拶を返す。すぐ冷静を取り戻し鑑定をかける。
『女王魔蟻 A級
地下にコロニーを作り少数の魔蟻戦士と大量の戦闘魔蟻を生み出す。 女王魔蟻 の巣を放置しておくと甚大な被害が出る可能性が高い』
『魔蟻戦士 B級
女王魔蟻を守るために生み出された親衛隊。戦闘魔蟻より強い』
『戦闘魔蟻 C級
女王魔蟻に餌を与えるため働いている蟻型魔物。単体の戦闘力はそれほど高くない』
奥にいる3mを超える巨大な蟻がクイーンアントである。その左右を守るのがソルジャーアント、数は5体程だ。残りはギガアントで見渡す限り居た。
奇声と共に襲い掛かってくるギガアント達。英斗達はすぐさま逃げだす。
「またかよ! くそーC級のくせに!」
そう言い振り向くも巨大な蟻が襲い掛かってくるという生理的嫌悪感に勝てず逃亡する。
「そうだ、現代文明の利器を食らえ!」
英斗はそう言って、蟻用バルハンを大量に生み出す。バルハンは日本で有名な燻煙式の殺虫剤である。使うとすぐ煙が出て、虫を殺せる便利さから文明崩壊前は英斗もお世話になっていた。
だが、これは英斗が魔物用に特別にイメージして生み出した何倍も強力な特製バルハンである。
英斗はバルハンを擦り、背後に全て投げると鉄の壁を穴を塞ぐよう生み出す。これで密室にした。
ギガアント達は怒りからか鉄壁を攻撃するもギガアントの攻撃では鉄壁が壊れることは無い。しばらくするとギガアントの攻撃もやみ始めた。
30分後レベルアップにより体が熱くなり、ギガアント達が死んだことを感じる。
クイーンアントに止めを刺すため、鉄壁を解除し奥へ向かうと奴だけまだ生きていた。
「ギイイイイイイイ!」
クイーンアントは部下を殺されたせいか、怒りながら英斗に襲い掛かる。だが死んではいないもののバルハンは効いているようで動きが鈍い。英斗は炎槍を3本生み出しクイーンアントに放つ。
クイーンアントは頭部を炎槍に撃ち抜かれそのまま倒れ込んだ。
「うーん、本当に効くとは……」
英斗は死んだクイーンアントを見ながら呟く。するとクイーンアントが消えるとともに銀の宝箱がドロップされた。
中身を確認すると、鎧が入っていた。
『女王蟻の鎧 SR
この赤き鎧は女王魔蟻 を討伐した証。物理攻撃耐性(中)』
英斗は鎧部分に耐性があるのか、不思議な力で全身の物理攻撃の耐性が上がるのか分からなかったが、今の私服よりは良いだろうと、服を着がえる。
鎧に剣と盾、英斗は立派なファンタジーの剣士になっていた。
「ちょっと恥ずかしいな……けど見た目気にして死んでもあほらしいしなあ」
英斗達は魔石を集めた後、洞窟の出方も分からなかったので結局初めに入ってきた穴から出ることとなった。
「ワイバーンの群れは流石にもういないか。良かった」
「ワウー!」
ナナももう追われるのは嫌なのか、嬉しそうである。
英斗達は再びワイバーンを警戒しながら、休みながらも20階への階段を探す。夜は洞窟に潜り睡眠を取った。
「おっ! あれ20階への階段じゃないか」
次の日、英斗達が階段を見つけそこへ向かうと、途中でオーガの群れと鉢合わせする。だが、オーガ達の中に一匹ひと際目を引く存在が居る。
そこには赤く鍛え上げられ膨張した赤い筋肉の鎧を身に纏う鬼『赤大鬼』の姿があった。その頭部には禍々しくも美しく聳え立つ一本の角が生えている。赤大鬼には武器はなく、こちらを視認し静かに笑う。英斗はすぐさま鑑定を行う。
『赤大鬼 A級
オーガの群れを率いるオーガの上位種。その肉体に身体強化魔法をかけて繰り出される一撃は地を割くとも言われる』
鑑定結果が頭上に表示される。赤大鬼が部下達に何やら指示を出すと、部下達は静かに後ろに下がる。どうやら一対一がお望みのようだ。
英斗もナナに下がるよう指示をする。英斗は赤大鬼と戦うのは初めてである。緊張しつつも剣を抜く。
「さあ、やろうか」
英斗は笑いながらそう言った。