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これから

 その夜も結局本隊まで辿り着くことは無かった。英斗により生み出されたログハウスで一行は休むことにした。


「かなり邪魔されてるわね」


 有希が溜息を吐く。


「だが、もう目の前だ。明日には本隊に追いつくだろう」


「福岡にもね……」


 夜も無理な移動を行えばおそらく今日中に追いつくこともできただろう。だが、体力を失った状態で戦っても勝ち目はないだろう。相手はただでさえ体力の概念などないアンデッドである。


「英斗、将棋やろう」


 織也からの珍しい誘いに、英斗は笑顔で頷く。


「慣れてきたな、織也」


「ああ。こんな人と話すのは、文明崩壊後初めてだ。いや、その前からそんな話してはなかったんだが」


「良いことじゃないか。人生は一人でも楽しいが、人としか得られない楽しみもあるからな。王手」


 英斗が角を動かし、織也の王を追い詰める。


「……それは知っているさ。一人が好きだが……こういうのも、たまにはな。詰めが甘い」


 織也の金が、英斗の角を取る。


「俺は別に、織也に無理に人と関われなんて言わないさ。だが、選択ができただけでも嬉しいよ。逃がさん、王手」


 その後も激しい攻防の後、英斗が辛勝を治めた。負けました、と織也は静かに呟く。


「楽しかった、よ。俺はもう寝る。お休み」


「ああ。俺もさ。またやろうな。おやすみ」


 皆一人一人、明日に備え部屋に戻る。最後には英斗と千鶴だけが残された。


「彼も随分、人に慣れてきたな。良いことだ」


「そうですね。寝ないんですか?」


「寝たいんだが、何か胸騒ぎがしてな。嫌な予感がするのだ。なぜだろうな」


 千鶴は両手を組み、何か考えているようだ。


「私も、恭一郎も昔から忙しくてな。あまり有希は構ってあげられなかった。おかげで有希にはいつもさみしい思いをさせた」


 千鶴は英斗に話しているのか、独り言かも分からないトーンで独白を始める。


「こんな世界になると分かっていたら、仕事など全て投げ捨てて構っていただろうに……。無意味な仮定だがな。せめてこんな世界を有希のために、平和にしてあげたかったが……血は争えんな。あんなに強くなっているとは」


 そう言って、笑う。


「今からでも遅くはないでしょう。これが終わったら有希とゆっくりしたらどうですか?」


 英斗の言葉を聞き、少し驚いたような顔をする。


「そうか、そうだな。これからか……。それを楽しみに明日は頑張ろう」


 千鶴は微笑むと、寝室へ戻っていった。

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