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逃げるばい

 その頃、福岡へ侵攻していたレガシーは腕輪の一つが割れたことに気付く。


「エルド……」


 その様子を見ていたがしゃどくろが主に声をかける。


「ディーンに加えて、エルドまで……」


「ああ。二人ともやられたらしい。スキル『不死』を持つ我らを倒せるものは限られる。がしゃが戦った奴だろう」


 いつも陽気なレガシーが、珍しく神妙な口調で話す。


「どうします? 福岡に兵を割かず、全てを奴にぶつけますか?」


「いや、このまま福岡を目指す。奴をこちらに近づけないように、大量の足止めを置いてな」


「はっ!」


 がしゃどくろことがしゃは、時間稼ぎに意味があるのか疑問であったが、主の命に従う。がしゃはエルドを絶対的に信用しているからだ。

 そのアンデッドの軍勢は、英斗の立ち寄ったあの村の付近にまで辿り着いていた。空を飛ぶ鳥が、村人の一人の元へ戻り魔物の侵攻を伝える。


「えっ、本当にそんないっぱい来とーと!?」


 まだ十歳くらいの少女は、鳥の言葉を聞き、驚きの声を上げる。彼女はスキル『鳥遣い(バードテイマー)』を使い、鳥の声を聞き、自由に指示することができた。

 少女はすぐさま村長であるシゲの元へ走る。


「シゲ爺、大変ばい!」


「なんじゃ、たまみ。そんなに慌てて」


 シゲは軒下でのんびり茶を啜っていた。だが、そのたまみの顔を見て、すぐにただ事ではないことを察する。


「魔物がすぐ傍まで……! 数は数えきれないくらい多か……」


 たまみの顔は真っ青であった。


「なんじゃと……それは確かか。今すぐ皆を集めんばいかん!」


 シゲはすぐさま村の者を集め、たまみから聞いたことを伝える。


「そんな……何万なんて数が……どれくらいで来ると?」


「あと、一時間ほどで来ると思うったい……」


「シゲ……どげんすると?」


 ヤスがシゲに尋ねる。このままここに残ることは死を意味することくらいは、皆分かっていた。シゲは勿論この村と心中するつもりであったが、村の若い者を自分の自殺につき合わせることに罪悪感を覚えたのだ。英斗の言葉が思い出される。


(村とは、土地ではなく人、か……。確かに、ここがいくら荒らされても、儂らがいればこの村は復興できるのかもしれんな……)


「悪いのう、皆。今更なんじゃが……逃げるばい! 皆の命には代えられんけん」


 その言葉に驚いたのは皆である。今までシゲはこの村で心中すると固く決めていた。そんな頑固者ばかりが残っていた村であった。


「いいんやね、シゲ?」


 ヤスの問いかけに、頷くシゲ。


「とりあえず、福岡市に逃げるばい! 五分ほどで準備せえ!」


 皆頷くと、荷物を取りに家に戻る。皆、食べ物など最低限だけ持つと福岡市へ向かうため村を旅立った。

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