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(少し時間がかかってしまった……。皆無事でいてくれよ!)


 英斗が周りを見渡すと、激闘の後が見え隠れする。あらゆるところで魔物達が死んでいる。城内に四万近く魔物が居るというのも納得の死体の数だ。

 英斗は四階でナナ達に出会う。


『おかえり!』


 ナナは六郎が居ない意味を一瞬で察しつつも、英斗の帰還を喜んだ。


「もう最上階か?」


『うん。この次だと思う』


 皆、返り血を浴び、赤く染まっている。


「流石に、数が多い。さっさとケリを、つけよう」


 織也は呟くと、最上階への階段を上る。最上階へ辿り着くと、織也は扉を勢いよく開ける。

 そこには、黒いローブを身に纏いながら、玉座に座るアンデッドの姿があった。両の傍には、首の無い甲冑を纏った騎士デュラハンと、同じく黒いローブを纏い、鎌を持ち宙に浮く死神が控えている。


「ここは、王の御前であるぞ。不敬な」


 そのアンデッドは、くぐもった声で言う。


「お前が死王か。悪いが、死んでもらう」


 英斗が刀を握る。何か違和感を感じつつも、臨戦態勢に入る。


「英斗と、死王の戦いの、邪魔をさせるな!」


 織也はデュラハンに襲い掛かる。他の皆も各自敵と戦い始める。下からも大量のアンデッドが襲来してくる。その数はもはや数えられないほどだ。

 英斗は剣に炎を纏わせると、死王に襲い掛かる。死王が何か唱えると、見えない壁が生まれ、英斗の剣を受け止める。


 次の瞬間、地面から巨大な根が生まれ英斗に襲い掛かる。


「ちっ!」


 英斗も地面から根を生み出し受け止める。すぐさま絡み合う根を越え、死王への距離を詰める。

 死王は先端に宝石の付いた木製のロッドに魔力を込めると、凄まじい爆発を引き起こした。


「ぐうっ!」


 英斗は鉄の壁で防ぐも、辺りは爆煙で何も見えない。そこに、鉄の壁を貫くビームが英斗の腹部を撃ち抜いた。


「ガハッ!」


 英斗はバランスを崩すも、すぐさまポーションをかけ、応急処置を行う。


(まるで魔法使いのような……死王はこんな戦い方なのか?)


 その疑問への答えが、英斗の頭に浮かぶ。


(まずい……)


 英斗は風を生み出し爆炎を吹き飛ばすと、小型ミサイルを大量に生み出し一斉掃射を行う。突然の全力に驚くも、死王は壁を再度生み出す。だが、それで防ぎきることは叶わず、一発が死王に当たり、ローブが破れる。


「やはり、エルダーリッチか!?」


 英斗はその顔を見て、確信する。今まで戦ったリッチと姿がそっくりなのだ。その言葉を聞き、エルダーリッチのエルドは笑う。


「流石に気付かれるか。王は既にここにはおらぬ。まんまとかかりおったわ。愚か者が」


 英斗は嵌められたことに気付く。おそらく今日出発した軍の中に、死王は紛れていたのだ。


「六万の兵程度で、福岡は落ちんぞ?」


「我らの軍が六万程度と思っておる時点で、既にお前達の負けじゃ」


「なんだと!?」


「ここで死ねい」


 エルドがロッドを振るうと、地面から鉄の棘が生まれ英斗に襲い掛かる。英斗は翼を生やし、空を飛び一気に迫る。


「ゴーレム!」


 地面から巨大な鉄のゴーレムが生まれ、その腕がエルドに向かって振るわれる。エルドは障壁を展開するも、その一撃でひびが入る。そして、もう一本の腕が障壁を粉々に粉砕する。


神の三つ矛(トライデント)!」


 障壁が砕けた隙に、英斗は再度三つ矛槍を生み出し、エルドの頭部に叩き込んだ。


「ああ……無念。レガシー様の治める日本が見れない……ことがな」


 エルドは最後にそう呟くと、塵となって消えてしまった。他の皆は死王を倒したのかと、喜ぶも、英斗の表情を見て首をかしげる。


「どうしたんだ?」


「千鶴さん……こいつはエルダーリッチ。幹部の一人でしかない。本物は……福岡だ」


「なに!? まんまと嵌められたのか!」


 千鶴はその刀を地面に突き刺した。


「行きましょう。このままじゃ、福岡がまずいです」


「勿論。だが……ここから出るのは簡単じゃ無さそうだぞ?」


 千鶴は苦笑いを浮かべ、無限に湧き出るのではと思うほどのアンデッドを見つめていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁ九州全体の人口は1200万~1300万人辺りだから、死亡した人口は下手したら予想兵力6万の百倍じゃ済まないだろうしなぁ……1000万人以上死んでそうだわ。
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