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激戦区

 英斗は16階に降りるも風景は変わらずジャングルが広がっていた。 だが15階までと違うのはモンスターの強さであった。

 16階で初めて見た魔物は青色の皮膚を持つ一つ目の巨人『サイクロプス』である。


『サイクロプス B級

 その剛腕から繰り出される棍棒の一撃は巨木をも薙ぎ倒す』


 英斗は難なく討伐したが、16階からはB級魔物が普通に出てくるのである。徐々に魔物の強さが英斗に近づいてきた。

 11階〜15階ではパーティをみたが、16階ではまだ人一人見ていない。それは文明が崩壊してまだ半年しか経っていない状況での人類の強さを示していた。

 ナナに乗りジャングルを駆け巡っていると、地面から巨大な百足のような魔物『赤百足(レッドセンチピード)』が襲いかかってきた。

 英斗は突然の強襲に驚きつつ、盾で弾き、剣を振り下ろす。その硬い甲殻を切り裂くことは叶わず、百足を弾き飛ばすだけにとどまる。

 次の瞬間レッドセンチピードがナナの氷魔法で氷漬けになる。


「はは、中々強い奴らが増えてきたなあ。楽しみだ」


 英斗は確かに慎重な男であったが、ここ半年で実力をつけることにより戦闘を楽しむ余裕が生まれてしまった。それが良いことかどうかは……。



 その後数々の魔物を仕留めながら19階まで進んだ英斗達だったが、快進撃はここまでだった。19階からはA級の魔物が生息していたからである。

 19階をナナに騎乗し走り回っていると、頭上から鳴き声が聞こえる。すると頭上にはワイバーンの群れが英斗を狩ろうと円を描いていた。


『ワイバーン A級

 単体ではA級でも下位であるが、集団の連携により格上の魔物をも仕留める。風魔法を扱う』


 ワイバーンは頭上から、風魔法による斬撃を飛ばしてきた。

 英斗は透明の壁を頭上に作成して守るも、一撃でヒビが入った。防がれて焦れたそのうちの1匹が口を開けて急降下してくる。

 英斗は鉄球から鉄の棘を生み出す。その棘は無数に枝分かれしワイバーンを貫く。1匹をこの一撃で仕留めた。

 だが、まだ何十匹もこちらの様子を窺っている。

 鉄生成の技は魔力を多く使う。全てを仕留めることは可能であるが、今後を考えると魔力の消費は抑えたかった。

 ワイバーンは警戒し頭上から風魔法で攻撃を放つようになった。


「ナナ、避けろ!」


 ナナに騎乗して風魔法を躱す。


「炎槍三連」


 英斗は炎の槍を3つ生み出し、ワイバーンに放つ。そのうち2つがワイバーンを貫き、また1匹を仕留めた。

 すると英斗の体が熱くなる。レベルアップである。少しだけ魔力も回復する。


「キリがねえ……。ナナどこか逃げ道を探そう。奴らを撒くぞ」


 英斗はワイバーンからの攻撃を躱しつつ、逃げ道を探る。英斗は昔入手した拳銃をホルスターから取り出す。

 英斗はこの半年で銃弾を生み出すことに成功していた。ただの銃弾だけでなく、魔力を込めた特別製の銃弾も作り上げた。

 英斗は拳銃でワイバーンを撃つ。撃たれたワイバーンから悲鳴があがる。だが、致命傷とはいかず結局英斗は拳銃をしまった。

 10分程命がけの鬼ごっこを行っていると、前方に木々の無い空間がある。近づいてみるとそこには直径6m程の大穴ができている。


「ナナ飛べ!」


 英斗のことを信じているナナは、躊躇なくその大穴に飛び込む。英斗はすぐさまその大穴に鉄で蓋をする。

 鉄の蓋にワイバーンの風魔法が当たる音が響いている。

 ナナは大穴の壁を巧みに蹴り、速度を落としながら落下していった。

 12m程落下した後、ナナ達は無事地面に着地した。頭上の鉄の蓋はボロボロになっているが、どうやらワイバーンも諦めたのか辛うじて原型を留めていた。


「いやー、中々きつかったな。地上じゃワイバーンの群れなんて中々お目にかかれないからな」


 英斗はそう言いながら腰を下ろす。


「それにしてもここは何の穴なんだ?」


「ワウー?」


 ナナもさっぱりだ、と言わんばかりに首をかしげる。

 英斗が見渡すと、穴の下は洞窟のようになっており、英斗から見て左右に奥深くまで続いている。幅は落ちた穴と同じくらいの直径6mほどであるが、その長さは英斗の目では判断できないほど続いていた。

 上から出るか考えたが、まだ付近にワイバーンの群れが居てはたまらないのでこの洞窟の先に向かうことにする。

 英斗は左か右かどちらの道に進むか考え左に進むことにした。

 ライトをつけしばらく歩いていると、この大きな道以外にたまに直径2mほどの小さな穴がある。逃げやすさを考え、とりあえずは大きな道を通ることにする。

 20分程ナナに乗り歩くも特に外に出られるような終わりはない。


「これやっぱり上部に掘って出た方がいいのかねえ」


 とナナに話しかけていると、道先から何かが移動する音がする。


「ん?」


 その音は段々大きくなっていく。英斗達は進むのを止め足を止める。


「えっ……なんか段々大きく……ってなんだあの化物!?」


 英斗はすぐさま鑑定する。


『巨大蠕虫 (ウィルワーム) A級


 成虫だと全長30mを超える巨大なワーム。三つの赤い目を持つが殆ど見えておらず普段は土中を泳いでいる。ウィルワームの通った後は洞窟ができると言われている。その戦闘力は高く戦闘力のみならばS級並みである』


 高速で三つの赤い目を持つ巨大なミミズのような化物が口を開けて迫ってきていた。口からは消化液が漏れており食べられたら命はなさそうである。


「この大穴はあの化物によって作られたのかよ! ナナさっきの小さな穴に逃げるぞ!」


 ナナはすぐさま逆方向に走り出す。ウィルワームの速度は凄まじくナナの全速力と変わらない速度であった。


「あそこあそこ!」


 少し戻ると、先ほど見つけた小さな穴が見つかる。ナナ達はそこに潜り込んだ。

 英斗達が穴にもぐってすぐ、ウィルワームが先ほど英斗達が居た所を通り過ぎる。


「この……くらえ!」


 英斗は全力の炎槍を通り過ぎるウィルワームの胴体部分に叩き込む。だが、刺さったもののウィルワームは気にすることなくその場を去っていった。

 英斗はなんとか回避できたことに安堵しつつも19階の過酷さに溜息をついた。


「なんだあれ、絶対ワイバーンと同じランクじゃねえだろ……。まあ知能は低そうだけどさ。大きい穴はできる限り通らないことにしよう」


 英斗は小さな穴を通り移動することに決めた。英斗はこの道の先も魔物いそうだなあ、と考えながら歩いていたがその予感はすぐ現実のものとなる。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 物語自体は面白いと思います。 [気になる点] 全般的に描写の粗が目立ちます。誤字脱字は仕方ないですが、 > ナナは大穴の壁を巧みに蹴り速度を落としながら下に落下していった。 「下に落下…
[気になる点] ミミズの形態からして早いとは思えないが・・・。
[一言] 面白かったです。 投稿待ってます
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