ちょっとあんたを殺したくてね
六郎はディーンが去ったことを確認すると、足を速める。数分後、ある扉に辿り着く。その扉には鍵が掛かっており、二体の骸骨騎士が槍を持って警護をしている。
「おい、ディーン様の命令だ。地下通路を開け、いっきに侵入者を制圧するとのことだ」
六郎が門番に声をかけるも、門番の二体は疑わし気な目を向ける。
「遅れると、その分わが軍の犠牲が増える! お前達、早く開けないか!」
六郎の怒りの声を聞き、門番はしぶしぶ扉の前を譲るも鍵がない。鍵について尋ねると、どうやら幹部しか鍵を持っていないようだ。
「ちっ……」
六郎は英斗から貰ったマジックバッグからロケットランチャーを取り出すと、扉に向かって放つ。
爆音と共に、扉が粉々になって、消し飛ぶ。その様子を見て、何かおかしいと感じた門番たちが六郎を止めようとするも、もう遅い。
「時間がねえ。押し通るぜ!」
貰ったリボルバーライフルを取り出すと、一体の骸骨騎士の頭蓋に撃ち込み、すぐさま右手の剣でもう一体の頭を粉砕する。
先ほどの爆音で、どんどんアンデッド兵が現れる。六郎は急いで部屋の中に侵入し、地下通路の扉へ辿り着く。重厚な鉄の扉に閂がかかっていた。六郎は鋼鉄でできた閂をなんとか取り去ると、扉を開けるためにレバーを回す。レバーを回すことで、少しずつ扉が動き始める。
「重いな……これ」
六郎が文句をいうのも仕方ない。開門は侵入者によって簡単にされぬよう、一人では開けられないくらい重く作られていた。
レバーを必死に回している六郎の元へ、豪奢な鎧を纏ったアンデッド兵が現れる。
「貴様、何をしている! やはりこちらを裏切りおったのか!」
それは四本の腕を持つ将軍ゾンビである。
「なに……。味方が心配でね、援軍をここから送ろうとしてるんですよ」
六郎は飄々と返す。
「ふざけるな! とっととその手を放せ。二度と剣を握れなくしてやる!」
怒りに震え、六郎の元へ走る将軍ゾンビ。六郎は天井にロケットランチャーを撃ちこんだ。天井が破壊され、上から天井が降り注ぐ。将軍ゾンビと周りにいたアンデッド兵は天井の下敷きになった。
「時間がねえ! なんとか……! はやく!」
六郎は剣も手放し、両手でレバーを回す。そして遂に鋼鉄の扉が開かれる。
「やった……!」
喜びの声を上げる六郎に、低く、冷たい声がかかる。
「おい……何をしている?」
そこには怒りで全身から禍々しい魔力を漏れさせるディーンの姿があった。
「ちょっとあんたを殺したくてね。援軍を呼んでいるのさ」
あくまで皮肉っぽく六郎は答えた。





