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こんな体じゃ

「アンデッドって、不老だろう。神の一手を極められるんじゃない?」


「確かに。無限の時間で、将棋を極められる。やったね! じゃねえんだよ」


 六郎がつっこみを入れる。どうやらこのアンデッドは色々万能らしい。そのやりとりを見ていた織屋が将棋盤を無言で見つめている。


「織也もやろうぜ」


「いや、俺は……いい。弱いし……」


「俺も強くないからいいんだよ。この二人強すぎて勝負になんないし、やろうぜ」


 英斗が強引に駒を並べ始めると、無言であるも少し嬉しそうに盤の前に座る。


「じゃあ、やろうか」


 英斗と織也は二人ともそこまで上手くないため、接戦を繰り広げる。最後は英斗の失着をついた織也が勝負を制した。


「負けました……」


 英斗は頭を下げつつも、また負けたとちいさくぼやいた。


「ふふ、俺の勝ちだ」


 織也はにやりと笑いながら勝利に酔っていた。織也も段々皆に馴染み始めている。今では有希以外には日常会話ができるレベルとなった。未だに有希は駄目である。

 本人曰く、千鶴はお母さんの安心感があるため話せるらしい。


「平和ねえ……本当にこれから戦うとは思えないわ」


 ナナを撫でながら、一部始終を見ていた有希が呆れる。


『これから戦いだからこそ、この平和が大事なんだよ?』


「ナナちゃんなんて賢いの!? 天才が居るわ!」


 ナナの言葉に感激した有希はナナに抱き着く。

 話を変え、英斗は六郎に尋ねる。


「六郎、あの仕掛けを開けた後、どうするつもりだ。誰が見ても、裏切ってるだろう?」


 もし開けた場合、六郎は袋叩きにあう可能性が高い。


「なに、心配いらないよ。すぐにお前らが来てくれるんだし、少しくらい逃げ回れるさ。お前らが侵入し、混乱しているときにアンデッドパラディンを狙う」


「戦うのは構わないが、大丈夫なのか……?」


 骸骨騎士はD級魔物。おそらくS級でも上位であろうアンデッドパラディンと戦うのは自殺行為といえる。


「止めてくれるな。実力が足りないのは、分かってるさ」


「止めはしない。だが、六郎、お前に無駄死にして欲しくないんだ。できる限り、倒すための策を練ろうぜ」


 英斗の提案に、少しだけ驚いたような顔をする六郎。実際は骸骨なので英斗は気付いていないが。


「ありがとうよ」


「このマジックバッグに大量の武器を入れておく。これを使って戦えば、なんとかなるかも……しれん」


 英斗はロケットランチャーや、手榴弾。アサルトライフル、ハンドガンなど大量の兵器を渡す。


「お前、武器商人みたいだな」


「便利な力だろ? 当日までに慣れておけよ」


 大量の武器に少し呆れた声を出す六郎に、英斗が笑いかける。


「ああ。助かる」


「無駄死にはするなよ、六郎。お前の覚悟は知ってるが、時には引くことも大事だ」


 それにいざとなれば俺が、という言葉を英斗は飲み込んだ。それは彼の覚悟を踏みにじる台詞でもあるからだ。


「どうして、俺をそんな信じてくれるんだ? 正直俺が嘘ついてるかもしれないじゃねえかよ」


「六郎の話が、嘘だとは思えなかったからだ。妻の話、本当なんだろう?」


「ああ、本当さ。嘘なもんか……。嬉しいよ、骸骨じゃなかったら涙が出るくらいな。こんな体じゃ泣くこともできやしねえや……」


 震えるような声で、六郎は言う。それを見て、英斗は小さく微笑んだ。

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