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大きくなられましたね

 中にも多くの構成員が居たが、英斗達の敵は居ない。


「いっきに上に突き進むぞ!」


 他のほおずき会の者が死ぬ気で突き進む。


「幹部級が居ないわね。おそらく最上階でしょうね」


「玉閃が一人でぶつかることになるな。速く向かうか」


 英斗達はいっきに階段を駆け上がる。だが、敵も馬鹿ではない。英斗達が七階に到達したところで、階段が爆破されたのだ。


「これで進めまい!」


 七階から九階までの階段が倒壊したようだ。


「すまないな、俺達は先に向かう」


 と英斗はほおずき会の者に一言入れると、そのまま羽を生やしナナを抱え九階に向かう。


「あのナンパ野郎以外にも、飛行系スキルが居たのか!」


 九階から見ていた商会側の男が、手持ちの斧を投げ英斗を狙う。


「舐めるな!」


 それを有希がその剣で弾き飛ばす。


 英斗達はそのままどんどん上っていく。


「もうすぐ、二十階ね」


 小さく有希が呟く。


「ああ。まずは話を聞こう」


 英斗は有希を気遣って言う。彼女にとっては親である。

 最上階には、社長室があった。今は使われていないのだろう埃まみれのプレートがかかっている。

 英斗は扉をノックすることも無く、思い切り蹴破る。


「よう、話を聞きに来たぜ」


 殺気を込めてそう言った。






 やはり先に辿り着いていたであろう玉閃も、窓ガラスから中に侵入したようだ。ガラスが粉々になり、周囲に散乱している。

 だが、皆の目的である恭一郎は居なく、代わりに立派な革張りの椅子に座っていたのは秘書である鈴木であった。


「中々お前らも(はえ)えなあ。だが、もぬけの殻だ。幹部のこいつから無理やり吐かせるぞ!」


 玉閃は口に魔力を込め、炎弾を放つ。それにより大爆発が起こる。黒煙で周囲が覆い尽くされた。


「やっぱりこれぐらいじゃ死なねえわな」


 玉閃は、動く鈴木をその目で捉えていた。

 煙から出てきた鈴木が、その剣で一閃する。その剣閃に合わせ、玉閃が爪を振るう。お互いの魔力が交差し、弾けた。

 二人とも、凄まじい実力者であることがこの一瞬で感じさせた。


「流石に、幹部は強いですねえ」


 鈴木は冷静に眼鏡の位置を直し、呟く。


「鈴木さん、流石に三対一じゃ厳しいわ。おとなしく投降して」


 有希が剣を持ちつつ投降を勧める。有希は幼い頃から知っている鈴木に剣を向けることを躊躇しているようであった。


「有希ちゃん、大きくなられましたね」


 そう言って、微笑む。


「残念ですが、ここに恭一郎様は居ません。これは囮です。あれはうちの流した誤情報ですよ」


 英斗は冷静にこの場を見渡すが、疑問が残る。こんなところにおびき寄せる理由がない。大人数で返り討ちにするつもりにしては商会側の人数が少なすぎる。

 本当に居場所がばれて、恭一郎だけ取り逃がしたと考えるのが自然の流れだ。だが、肝心の恭一郎を逃がした方法が分からない。スキルのあるこんな世界では、何でもありだからだ。


「玉閃、外から逃げた者は居なかったのか?」


「ああ。誰も居ない。どうやって逃がしたのか、さっぱりだ。こいつから、聞き出すしかない。おとなしく投降するか?」


「愚問を。少しでも敵を減らして、恭一郎様の役に立ちましょうかね」


 鈴木はそのまま玉閃に狙いを定め、刀を振るう。だが、その剣は英斗に受け止められる。


「鈴木さん、下らねえ駆け引きは必要ない。死ぬか、捕まるかどっちだ?」


 英斗は冷たい言葉と共に、鈴木の周囲に大量の爆弾を生み出す。完全に躊躇を失っている英斗の目を見て、鈴木は両手を上げる。


「……分かりました。降参します。初めて会った時は甘そうな人だと思っていましたが……変わられましたね」


「ふん」


 英斗は、鈴木の両手に鋼鉄の手錠をはめる。


「悪いが、こいつの身柄はうちで貰う。いいな?」


「別に構わない。恭一郎の居場所を吐いたら、俺にも教えてくれればな」


 玉閃の確認に、英斗は頷く。


「戦力は必要だし、構わないさ」


 結局今回の作戦では、幹部の鈴木を捕らえることしかできなかった。

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