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恐怖

「遊馬がタンク役として、前方で魔物を惹き付けてくれ。伽藍と高峰は前衛として攻めをお願い。俺とナナは後ろから魔法やスキルで攻撃や防御を行う形で」


 英斗は簡単な陣形を説明し、S級魔物を中心に狩ることにした。

 皆付近でイフリートに会っているためか警戒心が非常に高い。周囲を警戒しながら、魔物を探している。


「おっ、早速ケロベロスだ。行くぞお前ら!」


 伽藍が叫ぶ。


『ケロベロス S+級

 三つの頭と蛇の尾、さらに胴体には何匹もの蛇の頭をもつ地獄の番犬。歯には毒があると言われており、噛まれると命に係わる』


 英斗が鑑定する。


「毒があるから気を付けて」


「俺が惹き付ける!」


 遊馬がケロベロスの真ん前に立ち、盾を構える。ケロベロスは警戒しつつも、遊馬に飛び掛かる。その鋭い爪の攻撃を受け、遊馬の盾が弾かれ吹き飛ぶ。


「遊馬が!? 皆気を付けろ!」


 英斗が叫ぶ。ナーガラージャの一撃を難なく受け止めた遊馬が吹き飛ばされる。その事実に英斗は警戒心を上げる。

 英斗はケロベロスの足元を砂に変え、遊馬に追撃しようとしていた足を止める。


「今ね!」


 高峰は剣を生み出し横薙ぎを放つも、ケロベロスはその牙で剣を受け止める。


「硬い……」


 剣を離さないケロベロスに、高峰は剣を手放すと、そのまま槍を生み出し、突きを放つ。突きがケロベロスの胴体に刺さる。


「ギャウウッ!」


 ケロベロスから悲鳴が上がるも、残りの二首から火焔が放たれる。


『任せてっ!』


 ナナは火炎を氷の壁で防ぐと、氷魔法を放ち一首が凍り付かせる。伽藍はその瞬間、大剣に魔力を纏わせ渾身の袈裟斬りを放つ。

 その一撃はケロベロスの一首を斬り落とした。だが、ケロベロスは一首を失ってもそのまま伽藍に襲い掛かる。


「やべっ!」


 ケロベロスの牙が伽藍に当たる直前、遊馬の盾によるタックルがケロベロスに刺さり吹き飛ばされる。


「すまねえ、遅れた」


 英斗は、動きが止まったケロベロスの頭上に鎖を放つ。


「神の鉄槌」


 英斗は鎖の先から巨大な腕を生み出し振り下ろした。その一撃は重く、ケロベロスを完全に沈黙させた。




「終わったか」


 伽藍が呟く。5人パーティとしては初めての戦闘はなんとかと言ったところであった。


「これから少しずつ連携を鍛えていこうか」


 その後、一日中魔物狩りに励むことになる。


 だが、それからも遊馬は魔物の攻撃を受け止めきれずに吹き飛ばされてしまう。いままでと明らかに違う遊馬の防御に皆、疑問を持つ。


「すまない……皆」


 遊馬も自分の防御が今までのようにいかないことに気付いているのか申し訳なさそうに言う。


「どうしたんだ、遊馬? まだどこか体が悪いのか?」


 英斗は心配そうに尋ねる。


「いや……違うんだ……。攻撃を受ける直前体が強張ってしまって今までのように踏ん張れないんだ。どうしてもあの時を思い出してしまって……」


 そう言って、遊馬は頭を抱える。あの時とは、イフリート戦のことであろう。あの一戦がトラウマになっているようだ。

 早速新生パーティに暗雲が立ち込める。

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