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激闘

「ギャウウゥ!」


 ナナの悲鳴が響く。


「ナナ!?」


 英斗がナナの悲鳴を聞き振り向く。そこには、見たこと無い鎧を纏った赤鬼の姿があった。


「確かに皆人間と思えねえくらい強いな」


 ナナを斬った鬼は周りを見渡しながら笑う。だが、そんな鬼のもとに閃光の様に襲い掛かる影があった。


「なにやってんだ、てめえええええ!」


 英斗は跳びながら白鬼刀を渾身の力で振り抜く。赤鬼も同様に大剣を振るい、受け止める。お互いの魔力は凄まじく、大気が震える。

 だが、その赤鬼の膂力に弾かれる英斗。


「お前はこのフェンリルの飼い主か?」


「うるせえよ、殺すぞ。そこをどけ」


 英斗は殺気を込めてそう言うと、極大の火炎球を生み出し、鬼に放つ。火炎球は見事に命中し、周囲を火の海にした。


「伽藍、高峰、悪いがその4体の相手頼めるか? 俺はこいつを仕留める!」


 英斗はそう叫ぶ。それを聞いた伽藍と高峰は息を吐く。


「あの化物は前は居なかった。仕方ねえな……貸しだぞ」


 伽藍は大剣を風神、雷神を見つめ構える。


「ナナちゃんを傷つけた馬鹿をやってしまってください。こっちは任されました」


 高峰も翼を生やし水神、炎神を警戒しつつ構えた。




「はは、少しだけ効いたぜ。久々に滾る奴がいるじゃねえか。サンドラが殺したがる理由も分かるぜ。俺の名はレイズ。俺と殺し合おうや!」


「お前だけ死ね」


 そう言って、英斗は自動人形(オートマータ)を生み出し、ナナの元へ行かせる。ポーションを持たせて。



 レイズはナナへの治療には興味がないのか自動人形を素通りさせた。治療により一命をとりとめたナナを見て、英斗は頭を冷やす。

 一体こいつはどこから来た?確かに俺達が入った時にこいつは居なかった。こんな禍々しい魔力を持った魔物が居たら気付くはずだ。俺達と同じように、扉から入ってきたのか?

 英斗は様々な可能性を考える。


「レイズとかいったな。お前、いったいどこから来た?」


「お前達と同じで、そこの扉からよ」


 そういって、レイズは英斗達が入ってきた鉄の扉を指す。


「魔物はその階層から出れないと聞いたが、なぜおまえは自由に動ける……」


「そいつはダンジョン生まれの魔物だからな。俺はここ出身じゃねえ……よ!」


 そう言うやいなや、レイズは大剣を振り上げ襲い掛かって来る。


茨姫(いばらひめ)


 英斗がそう言うと、英斗の周囲が鉄の茨で囲まれると同時に残りの鉄の茨がレイズに襲い掛かる。


 レイズの大剣の一振りは、超硬合金製の茨を紐の様に両断する。そして幾重にも重なった英斗の茨の殻に、一閃する。


 茨は守ること叶わず英斗の元に迫り盾ごと吹き飛ばした。英斗の肋骨が鈍い音をたてる。なんとか体勢を立て直した英斗は、レイズと距離を取るため走る。

 だが、レイズから30m程離れた所で、鎖に繋がれているように動きが止まる。これ以上離れられないのだ。


「いったい……どういうことだ?」


 英斗は自分に何が起こっているのか分からず混乱する。


「つれねえなあ……。勝負はこれからだろ? 逃げようとなんてするんじゃあねえよ」


 そう言ってレイズは笑う。


「お前のスキルか?」


「心配しなくても俺もお前から一定距離以上は逃げられねえ。男同士の勝負なんだ、逃げも隠れもしねえよ!」


 そう言うと、レイズは再び襲い掛かって来る。先ほどよりの魔力が込められているのを感じる。


「俺の相手は脳筋ばかりだな、畜生!」


 英斗はそう言うと、巨大大砲を生み出し、砲弾を放つ。直径2mもある巨大砲弾である。


「ハハッ!」


 レイズは、その鍛え上げられた右足で砲弾を高速で蹴り飛ばす。垂直に蹴り上げられた砲弾は衝撃で頭上で花火のように大爆発を起こす。

 そのまま英斗の元へ迫ると、再び大振りで斬撃を水平に放つ。英斗はありったけの魔力を込め白鬼刀を振り返すも、そのまま吹き飛ばされる。

 そして、30mの距離で見えない壁に止められたかのように止まる。


「きいたぜ……重くていい一撃だ」


 英斗は頭から血を流しつつも言う。


「当り前よ。このレイズ様の一撃だからな」


 誇らしげに言う。


「だが……そんな一撃を……よくもナナに向けてくれたなァ!」


 英斗は大声で叫ぶと、大量の樹木を地面から生み出し視界を覆い尽くす。レイズは冷静に魔力を込めた斬撃で木を一閃する。ほぼすべての木がなぎ倒され、そのまま英斗を見定め走って来る。レイズは英斗の懐まで入ると蹴りを放つ。受け止めつつ空中に吹き飛ばされた英斗は、30m地点で見えない何かに弾かれる。そこを目掛けて、魔力を込めた拳をレイズが放つ。


 英斗は、超硬合金の盾を生み出し受け止める。受け止めた後すぐに英斗はそのまま超合金でレイズを繭のように包む。


鋼鉄処女(アイアンメイデン)


 英斗は呟くと、内部に大量の鉄の棘を生み出す。だが、すぐに繭にひびが入ると、レイズの鋭い蹴りが英斗に刺さる。


「グウッ!」


 右腹部にかすり骨が砕ける。だが、そこで引かずに大量の鎖を地面から生み出す。


「こんなじゃ俺は止めれんぞ」


 大剣一振りで両断されるも、レイズの地面に穴を生み出し落とすと地面から鉄の腕を生み出し拘束にかかる。

 だが、レイズはその足に魔力を纏わせ鉄の腕を蹴り砕くと、壁を蹴り穴からすぐに出てきた。

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