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一本角

 そこは大きな聖堂のような場所であった。神聖な、神でも出てきそうな厳かな雰囲気があった。


 その中心には4体の魔物が浮遊している。英斗はその姿に驚く。


 何かで見たことのある屏風の風神様、雷神様の姿にそっくりであったからだ。白い風袋を持ち、雲に乗り浮遊する風神。太鼓を背負い、雷を身に纏っている雷神。炎を纏い、牙が光る炎神。水を軽やかに宙に浮かせ、余裕ある微笑みを浮かべる水神。


 どれも禍々しくも神々しさのある姿であった。


『風神 S級

 白い風袋から風を生み出す。古代では神と崇められていた。時に人に恵を、時に恐怖を与えていたと言われている』


 鑑定すると、やはりS級であるようだ。


『私は炎神を相手にするね』


「俺は雷神だ」


「私は水神にしようかしら」


 皆それぞれ敵を見定める。


「皆、自由なんだから……。俺の相手はあんただな、風神。じゃあ、やろうか」


 4神はどれも敵の強さを感じ取ったのか、すぐに魔力を纏い、英斗達に襲い掛かる。




 英斗達は各自担当する魔物に一撃を加える。英斗の渾身の一刀は、風神の放つ風の刃に止められる。

 弾かれる英斗に、風でできた巨大な空気砲が放たれた。目に見えない圧に英斗は、骨が鈍い音を奏でながら吹き飛ばされる。


「ぐう……本当にこんなの1人で4体も相手にしたのかよ」


 英斗は炎槍を5本ほど生み出し、風神に放つ。だが、それは風により往なされ明後日の方向に飛ばされる。

 そして風神は英斗を遥かに上回る速度で距離を詰めてきた。


「うお!」


 英斗が驚く間も無く、風神はその拳を放つ。風を纏ったその拳は英斗を盾ごと吹き飛ばす。5m程飛んだところで、英斗は踏みとどまると、風神の左右に巨大な鉄の壁を生み出し、そのまま押しつぶすように動かす。

 風神は驚く様子も無く、前方に走る。


「左右埋められたらそう動くわな、普通」


 だが、英斗は前方をわざと開けておいたのだ、前方に進ませるために。


「消し飛べ、『大爆発(エクスプロージョン)』」


 英斗は巨大な爆弾を生み出し、風神に放つ。そしてすぐさま聖堂全体が揺れる程の大爆発が起こる。


「……至近距離でするもんじゃねえな」


 風圧に飛ばされそうになる英斗。爆煙で周囲が白く染まるが、爆炎の中から動く音がする。その瞬間、風の刃が英斗を襲う。間一髪躱した英斗が呟く。


「やっぱこれくらいじゃ死なないか……」


 爆煙から風神が顔を出す。風を纏い爆風を防いだのか、そこまで効いてはいないようだ。だが、このレベルなら確実に勝てる。そう今までの経験が言っていた。


 ナナは炎神と戦っていた。炎神の生み出す火炎とナナの生み出す氷がぶつかり合う。


『中々強いねえ』


 ナナはその自慢の足を使い、炎神を翻弄しながら氷の槍を放つ。炎神は手から火炎を出し、それを溶かす。

 炎神は浮きながら一瞬でナナの元へ近づき、その拳を放つ。ナナは爪に氷を纏わせ真っ向から受け止める。魔力がぶつかり合う鈍い音と共に、両者は弾き飛ばされる。


『強いけど……もっと速くするよ』


 ナナは更に加速する。少しずつ、少しずつ加速していくナナを必死で追う炎神。危機を感じた炎神は顔色を変え、今までと違う青い炎を纏うと光線のように放つ。

 その炎はナナの氷を溶かしつつも、勢いやむことなく襲い掛かる。

 だが、ナナはその光線を躱し、そのままその爪で炎神を斬り裂いた。


「グアアッッ!」


 炎神から、悲鳴が上がる。


『このまま一気に攻め立てる!』


 ナナはこの隙を見逃すまいと、一気に距離を詰める。だが、そんなナナに近づく者が居た。




「あー、確かに強ええな。こいつらじゃ持て余すわ」


 静かに、低い声がナナの後ろから響く。この場に居た誰もが聞いたことの無い声であった。ナナがとっさに後ろを振り向くと、そこには鎧を纏い大剣を背負った(オーガ)将赤鬼(オーガジェネラル)』の姿があった。その赤鬼の腕は丸太のように太く、鍛えられた足は引き締まっており鉄のような硬度を誇っている。頭部には禍々しくも美しく聳え立つ一本の角が生えていた。


 その鬼から放たれた静かな、重い一撃はナナの腹部を斬り裂いた。

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