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自慢のナナ

 翌日英斗は再びタワーに来ていた。


「21階は一周回って、普通の景色なんだなあ」


 英斗はセーブポイントのあった洞窟を抜けた後、広大な景色を見て言う。

 壁など見えない一面美しい草原であった。草原には巨大な鹿や、馬が自由に走っている。気持ち良い晴天で、牧歌的な雰囲気が漂っていた。


『気持ちいいねえ』


 そう言って、ナナは自由に草原を駆ける。

 空には巨大鳥が飛び交っている。全体的に魔物が大きい。


「行くか」


 英斗達は探索を開始する。広大な21階の魔物を鑑定すると、B、A級の魔物が多い。徐々に魔物の質も上がってきたと言えるだろう。

 質が上がるに反比例して人間の数は減ってきた。たまに人に会うくらいである。だが、皆実力者であることが伺えた。

 途中で巨大鳥の群れ相手に1人で圧倒していた伽藍を見かけたが、声はかけなかった。その殺意の高さに引いたからである。



 その夜には、23階への階段に辿り着いていた。22階の階段付近には何組ものパーティが休んでいた。

 英斗が家を建てようとしていると、女性パーティが英斗に声をかけてきた。

 これは、もしかして遊馬が言っていたモテ期って奴なのか!?と英斗は一瞬浮かれる。


「あのー、もしよければ私達のパーティに入りませんか?」


 と愛想よく上目遣いで美少女に言われる。全員女性の5人パーティである。皆良い装備を付けており、自信が感じられる。一瞬喜んだものの、冷静になる。


 彼女達は……踏破はきついかもしれないな。


 ハーレムに思いを馳せるものの、それが目的に来た訳では無い。


「お気持ちはありがたいんですが、私たちはコンビで組んでいるので、お気持ちだけ頂いておきます」


 と丁重にお断りする。


「ワンちゃんも、一緒に入って大丈夫ですよ?」


「すみませんが……」


 英斗が手で意志を伝えると、そのにこりと笑っていた顔から笑顔が消え、舌打ちされる。


「ふう、じゃあもういいです」


 と言って、5人は去っていく。


「ハウスマンが調子乗りやがって……」


「別に家なんて要らないじゃん。本人弱そうだしさ」


「犬の下僕の癖によ……」


と聞こえるような声で、話している。


「ひでえ……」


 英斗はその酷い言われ様に心を痛める。ナナが悲しむ英斗の頭を撫でる。その夜、ナナが女性パーティの寝床に冷気を送って復讐していたことを英斗は気付いていない。




 立ち直った英斗はナナのために料理を作る。今日獲った巨大鳥『三目鳥(みつめどり)』の唐揚げである。

 ニンニクや生姜などの調味料を漬けておいた一口大に切った三目鳥のモモ肉に片栗粉を付け、油で揚げるという簡単料理である。

 油に入れた時の音に、食欲をそそられる。


『美味しそう~』


「もうすぐできるぞ」


 カラッと揚がった唐揚げを皿に盛る。ナナの分も作ったため大量に積み上げられている。


『美味しい~!』


 ナナが幸せそうに唐揚げを食べている。英斗も一緒に食べていると、向こうから高峰が歩いてきた。


「食べる?」


「お言葉に甘えるわ」


 尋ねると、素直に手を出す。


「ほら」


 皿に盛った唐揚げを渡すと、無言で食べ始める。高峰が食べ終わった後、英斗は家を建てトイレのために少しその場から離れる。


 ナナの元へ戻ると、高峰が少し焦ったようにナナから急いで離れたように見えた。

 英斗は少し疑問に思うも、そのままナナと室内に入る。


「ナナ、高峰と何かあったのか?」


 一応英斗が尋ねる。


『えーーっと、英斗が離れた後とっても撫でられたー。その後抱きしめられて、ジャーキーも貰ったよー』


「……なるほど」


 どうやら、高峰は犬派らしい。英斗の前では恥ずかしかったのか興味の無いそぶりを見せていたが、英斗が離れたためナナとのコミュニケーションを図ったようだ。


「素直じゃないなあ。まあナナは可愛いから仕方ないな。ふふふ」


 英斗も自慢のナナが好かれていることにご機嫌であった。英斗は自分だけの特権と言わんばかりに、ナナの自慢の毛並みに包まれながら眠りに着いた。




 その2日後英斗は25階のエリアボスの扉までたどり着いた。


「流石に休んでから、挑もうかな」


 今まではそのまますぐに挑んでいたが、そろそろ大物が出そうなので万全を期して休むことにした。




 翌日、扉を開ける。英斗は、そろそろS級魔物が出ると考えていた。

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