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来客

「誰だあ、てめえ」


 ナンパを邪魔された男は苛つきながら言うと、拳を英斗に向ける。


「ただの一般人だよ」


 英斗は拳を躱し、その男の顔を掴み、力を込める。


「グ……アアアア! ゴイヅ、すげえ力ダ!」


 レベル56である英斗の握力はゴリラ以上だと言っていい。骨が砕ける前に手を放す。解放された男は信じられないものを見るような目で英斗を見つめた後、尻尾を撒いて逃げ出した。


「大丈夫か?」


 英斗が尋ねる。


「貴方が来なかったら、私がゴミ共を一掃してあげたのに」


 そう言って、剣を空中に生み出す。


「まあ、無駄な血が流れなくて結果的に良かったと言う事で」


 高峰はあの程度の奴等にはやられはしないだろうが、だからと言って絡まれている人を放っておくこともできなかったのだ。


『英斗ー、晩御飯食べようー』


 ナナから念話が届く。


「じゃあな」


 そう言って、英斗はナナの所に戻る。


「今日は寒いからシチューを食べよう」


 そう言って、英斗は、食材を切り鍋に入れる。そしてカセットコンロで火をつける。しばらくすると、クリームシチューのよい匂いが香り始める。


「ハイオークの肉たっぷり入れたから、好きなだけ食べていいぞー」


『はーい』


 そう言って、英斗達はシチューを食べ始める。その匂いを感じ取ったのか、高峰がシチューを見つめていた。


「食べるか?」


 英斗が尋ねる。


「別に要らないわ」


 そう言いつつも、目線はシチューに向いている。


「雪山で体も冷えてるだろう。遠慮なんてするな、ほら」


 そう言って、強引に皿を渡す。しばらく黙って皿を見つめていたが、その後食べ始める。とても綺麗な食べ方である。育ちが良いのだろう。一度食べ始めると、やはりお腹がすいていたのか、すぐに完食した。


「じゃあ、俺達はもう寝るから。そんな恰好で大丈夫か? 家建てる?」


 英斗は再び洞窟内に木造のログハウスを生み出す。


「家を建てる男って、貴方だったのね……。そこまで世話になるつもりはないわ、これで十分よ」


 そう言って、薄い毛布を見せつける。そこまで世話を焼くのも変な話であるので、もう少し厚手の毛布を生み出し、投げる。


「風邪ひくなよ」


 そう言って、英斗とナナは家に入っていった。


「お節介ねえ」


 高峰は警戒しつつも、毛布を纏い眠りに着いた。




 次の日英斗が家から出ると、もう高峰は居なかった。朝から洞窟を出たらしい。13階も雪景色であるが、今雪は止んでいた。


「よし、行こうか」


 英斗達も上階を目指して旅立つ。14階への階段を昼までに見つけることができた。


「おっ、今日は順調ですなあ」


 その言葉がフラグだったのか、14階が広かったのか……英斗達は迷っていた。


「最悪だ……」


 英斗は絶賛遭難中であった。周りは大吹雪、そして先ほど、巨大白熊が徘徊しているのを見つけた。普通の人なら死を覚悟するレベルである。


「なにも見えねえ……。吹雪って本当に何も見えなくなるんだなぁ……」


 英斗は、そう呟くと家を建てる。英斗がダンジョンタワーに潜って一番生み出しているのはもはや家である。


 英斗は部屋に入ると、暖炉に火をつける。


「暖かい……。やっぱりおうちが一番じゃ」


 手を温めながら、呟く。


『相当、天気悪いもんねぇ。今日はもう休む』


「とりあえず、吹雪が収まるまでは引きこもろう。はい、お茶」


 英斗とナナは温かいお茶を啜る。窓から見える景色はいまだ吹雪である。しばらく出る事は出来ないだろう。

 ナナとまったりとした時間を過ごしていると、突然ノックの音が響く。ダンジョンタワー内で来客が来るとは思わない英斗は、とっさに剣を構える。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「次の日英斗が家から出ると、もう高峰は居なかった。朝から洞窟を出たらしい。13階も雪景色であるが、今雪は止んでいた。」 貸してあげた厚手の毛布は、どうなったのだろう?
[一言] 先に進んでるやつらは、どうやってこんな環境を短期間でガンガン進めて居るんだか??
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